第33回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 抄録集 会期:2025年8月29日(金)~31日(日) 会場:日本教育会館 主催:視覚障害リハビリテーション協会 主管:第33回視覚障害リハビリテーション研究発表大会実行委員会 目次 1.大会長挨拶 2.開催概要 3.会場アクセス 4.参加者へのご案内 5.発表者へのご案内 6.日程表 7.プログラム 8.シンポジウムⅠ 9.シンポジウムⅡ 10.シンポジウムⅢ 11.ミニレクチャー 12.分科会企画 (1)高齢視覚障害者リハビリテーション事例研究分科会 (2)情報アクセス分科会 (3)Orientation and Mobility(O&M)分科会 (4)ロービジョンクラブ分科会 13.口頭発表 14.ポスター発表 研究発表 活動報告 15.視覚障害リハビリテーション協会主催プログラム 16.機器展示 17.論文募集要項 18.第34回大会案内 口頭発表 演題・筆頭演者一覧 O1-1 視覚障害者の歩行実験に基づくLRT軌道の横断特性に関する一考察 ○田原 明成(東京都市大学) O1-2 視覚障害者の歩行ナビゲーションにおける骨導3次元音響誘導の有効性について ○関 喜一(産業技術総合研究所) O1-3 視覚障害者雪道歩行の課題とその解決策に関する研究 ○安部 信行(八戸工業大学) O2-1 視覚障害者の歩行支援システムに関する研究 -歩行経路生成手法の改良- ○大坪 克俊(金城学院大学) O2-2 盲導犬使用者の歩行行動に関する定量的研究 ○元田 良孝(岩手県立大学) O2-3 歩行訓練士のAI歩行支援機器に対する実態・意識に関する調査 ○青木 隆一(淑徳大学) O3-1 令和6・7年度 杉並区協働提案事業 「住民(移動制約者)参加によるUDのまちづくり」1年目 ○高橋 和哉(特定非営利活動法人グローイングピープルズウィル) O3-2 視覚障害者スキーの現状と課題 -かながわブラインドスキークラブの歩みを通して- ○矢部 健三(神奈川県総合リハビリテーションセンター七沢自立支援ホーム) O3-3 障害者の災害準備状況:特に視覚障害者に注目して ○北村 弥生(長野保健医療大学) O4-1 視覚障害者の通勤や職場等における支援の実施状況アンケート結果報告 ○吉泉 豊晴(社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合) O4-2 働く視覚障害者のための柔軟な訓練支援体制の構築―日本視覚障害者職能開発センターの自立訓練(生活訓練) ○栃木 隆宏(社会福祉法人日本視覚障害者職能開発センター) ポスター発表(研究発表) 演題・筆頭演者一覧 PR-01 凹凸地形における時間的圧迫がロービジョン者の下肢運動および心理反応に与える影響 ○宇野 直士(山陽小野田市立山口東京理科大学) PR-02 新版同行援護従業者養成研修テキストの改善提案 ○関田 巖(筑波技術大学) PR-03 屋内用視覚障がい者誘導路の性能評価:視覚障がい者と晴眼者の比較分析 ○高戸 仁郎(岡山県立大学) PR-04 ロービジョンでも見やすいスポーツウェア:シミュレーションによる研究 ○馬場 優里菜(東京女子大学) PR-05 視覚障害者のニーズを考慮した交差点空間情報データベースの可能性に関する考察 ○小林 泉輝(東京都市大学) PR-06 「しづらさ調査」の調査票のアクセシビリティに関する考察:代筆による回答に着目して ○齋藤 崇志(国立障害者リハビリテーションセンター) PR-07 眼球使用困難(PDE)者向けのアクセシビリティ ○能戸 幸恵(みんなで勝ち取る眼球困難フロンティアの会(G-Frontier)) PR-08 ロービジョン者向けiPhone操作訓練システム「VoiceOverPractice」の開発 ○武地 慈人(東京工業高等専門学校) PR-09 在職者訓練の内容から見えてきた就労中の視覚障害者が必要とするPCスキル ○北神 あきら(特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN)) PR-10 視覚障害者の ICT 訓練 ・利用者発信のニーズ対応型の訓練の成果と改善点 ・ ○宮本 賢介(NPO法人 六星 ウイズかじまち) PR-11 ロービジョン児童生徒の試験におけるタブレット端末やパソコンの利用実態 ○中野 泰志(慶應義塾大学) PR-12 マウス操作・タイピング不要の選択式プログラミングシステムの開発 ○松本 章代(東北学院大学) PR-13 視覚障害教育において卒業後を見通した全般的な支援を進めるために ○刀禰 豊(岡山東支援学校) PR-14 インクルージョンと視覚障害児童生徒への質の高い支援―イタリアの取り組みから― ○大内 進(星美学園短期大学) PR-15 初心者におけるサウンドテーブルテニスの実践的課題と簡易代用台の検討 ○濱中 良(京都先端科学大学) PR-16 美術館等における視覚障害者の美術鑑賞の効果的な支援に関する研究 ○山本 理紗(香川県立視覚支援学校) PR-17 ロービジョン状態で見る楽譜の見えにくさ ○田中 恵津子(NPO法人 六星 ウイズかじまち) PR-18 ロービジョンの音楽愛好家のための楽譜に関する基礎研究 ○中川 百々果(東京女子大学現代教養学部) PR-19 MNREAD-Jにおける読書パラメータ推定法の比較:視覚的推定と計算アルゴリズム ○川嶋 英嗣(愛知淑徳大学) PR-20 ロービジョン者向けのアイトラッキングを用いた眼球運動トレーニングシステムの開発 ○辛島 弘規(東京工業高等専門学校) PR-21 Freiburg Vision Testによるコントラスト感度測定の有用性 の検討 ○山谷 花海(愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻) PR-22 視覚障害者に対する視線制御支援における聴覚フィードバックの有効性の検討 ○寒 重之(立命館大学総合科学技術研究機構,神戸市立神戸アイセンター病院) PR-23 視力低下がもたらす動作の適応過程:協応動作の変化と訓練効果 ○川角 圭祐(愛知淑徳大学大学院心理医療科学研究科視覚科学専修) PR-24 鹿児島心の健康講座  実践報告Vol. 11 ○良久 万里子(鹿児島県視聴覚障害者情報センター) PR-25 読書の際に使用する機器の貸出に関する実態調査 ○青木 千帆子(筑波技術大学) PR-26 生活訓練(機能訓練等)実施機関の変遷及び実態について ○堀内 恭子(日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター養成部) PR-27 「人生の意味を探る対話」の技法―医療とケアにおける「言葉」による回復に向けてー ○沖田 京子(株式会社 日立製作所 研究開発グループ) ポスター発表(活動報告) 演題・筆頭演者一覧 PA-01 自動車の電動化社会に対応した音で学ぶ交通安全教室 ○斉藤 勇(株式会社 オートテクニックジャパン) PA-02 日本弱視者ネットワーク 移動グループ活動報告 ○飯島 雄(日本弱視者ネットワーク) PA-03 誰もが安心できる環境の整備「わたしの居場所」 ○山田 千佳子(公益社団法人 NEXT VISION) PA-04 東北地域で視覚障害者を対象にした鉄道利用講習会の活動報告~視覚リハにつなげる~ ○笹山 夕美絵(公益財団法人 日本盲導犬協会 仙台訓練センター) PA-05 触れて認識するガイドの方法 ―視覚障害者の安心・安全な移動支援のために― ○村上 琢磨(NPO法人 しろがめ) PA-06 信号機と歩車分離式交差点に関わる課題 ○谷田 妙子(視覚障害者信号機横断プロジェクト) PA-07 タートルICTサポートプロジェクト-5年間の活動成果と課題‐ ○山田 尚文(認定NPO法人 視覚障害者の就労を支援する会(タートル)) PA-08 テキストデイジー・マルチメディアデイジーデータ再生機器・ソフトウェア調査結果報告 ○安山 周平(特定非営利活動法人 全国視覚障害者情報提供施設協会/堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センター) PA-09 視覚障害者等の人々も読めるアクセシブルな電子書籍の出版に関する研究 ○久保田 文(日本ライトハウス情報文化センター) PA-10 視覚障害者のiPhone訓練(2)~利用者の満足度と訓練効果の向上を目指して~ ○中津 大介(東京視覚障害者生活支援センター) PA-11 視覚活用訓練に関するまとめ ○和多田 万里子(公益社団法人 NEXT VISION) PA-12 65歳以上の方へのロービジョン訓練について ○木村 宏輝(国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局 函館視力障害センター) PA-13 杏林大学医学部付属杉並病院のロービジョンケア ○新井 千賀子(杏林アイセンター) PA-14 弱視者の見え方・ニーズへの理解促進を目指した3つのツール ○白井 夕子(日本弱視者ネットワーク) PA-15 アプリケーションの共同編集機能を活用した「等可読度チャート」作成教材の開発 ○永井 伸幸(宮城教育大学) PA-16 視覚障害女性のおしゃべり会「アリスの会」の活動報告~個々のLIFEを変える原動力とは? ○吉野 由美子(アリスの会/視覚障害リハビリテーション協会高齢視覚障害者リハビリテーション事例研究分科会) PA-17 第七回ロービジョン・ブラインド川柳コンクール開催報告と記念日制定の報告 ○神田 信(株式会社 パリミキ) PA-18 視覚障害リハビリテーションとレクリエーション 余暇活動分科会 活動報告 ○石川 佳子(視覚障害リハビリテーション協会 余暇活動分科会/京都府視覚障害者協会) PA-19 JRPS高知支部女子会の活動とルミエールサロンの関わりについての報告 ○中川 理紗(高知県身体障害者連合会ルミエールサロン) PA-20 本人からのSOSを通じて訓練利用・生活の安定につながった先天性視覚障害者の一事例 ○平岩 みなみ(七沢自立支援ホーム) PA-21 中高生と取り組むバリアフリー映画制作体験WSの実践報告 ~地域との連携と理解の促進~ ○南 奈々(たかだ電動機(株)視覚障害者支援部てんとうむし) PA-22 活動報告:特に「眼球使用困難症候群」を有する当事者への支援と活動効果の検証 ○荒川 和子(NPO法人 目と心の健康相談室) PA-23 見え方チェックシートを使った近用眼鏡の合わせ方 ○鈴木 理子(東京ライトハウス/堀切眼科/こさか眼科) PA-24 ブラインドメンターによる表現・コミュニケーション能力向上プログラムの実践 ○船戸 輝久(YMCAきらり☆ことばプラス(公益財団法人大阪YMCA)) PA-25 就労を継続しながら入所で訓練を行った一例 ○鈴木 絵理(神奈川県総合リハビリテーションセンター 七沢自立支援ホーム) PA-26 視覚に依存しないボードゲーム『グラマ』を用いた視覚障害者の就労の可能性 ○小寺 佑花(日本視覚障害者職能開発センター) PA-27 能登半島地震の地震発生時アンケート調査報告 ○原田 敦史(社会福祉法人 日本盲人福祉委員会) PA-28 埼玉県眼科医会の大規模災害対策(能登半島地震での視覚障害者支援に学ぶ) ○蒔田 潤(埼玉県眼科医会/埼玉医科大学眼科) PA-29 地域における各種支援者の資質向上を目指す視覚リハ専門職の取り組み ○木村 仁美(世田谷区保健センター) PA-30 「ビジョンサポート川崎」の取り組み ○澤村 実希(川崎市視覚障害者情報文化センター) PA-31 当事者と考える対話で深める相互理解ワークショップ ○山岡 千鶴(兵庫県立大学 看護学部) 1 大会長挨拶 大会長 藤縄 泰彦 (日本視覚障害者職能開発センター)  第33回視覚障害リハビリテーション研究発表大会を2025年8月29日(金)から8月31日(日)まで、日本教育会館にて開催させていただくことになりました。  このような機会を頂きましたこと、大変光栄に感じますとともに、協会員の皆様に心より感謝いたします。  今年のテーマは「LIFE 我々はどう生きるか」とさせていただきました。テクノロジーの進歩、人口減少、少子高齢化、健康寿命の延伸等、時代の急速な変化により人々の価値観や生き方はどんどん変わっていく中で、誰もが多様な転換点や変化を経験します。それは視覚障害を抱える方々にとっても、支援者であっても例外ではなく、むしろ新たなキャリアや生活のあり方を模索する機会であるとも言えます。  視覚障害リハビリテーションの役割は、単に困難を乗り越えるための支援に留まらず、人生の新たなステージへの道を切り開くものであると考えます。新しい時代を医療、教育、福祉、就労・生活環境、地域社会など、多様な分野が連携して「LIFE」を支え、「我々はどう生きるか」考えていくことが重要です。  ライフには乳幼児期から学童期、学童期から成人、壮年期から老齢期など人生の節目に起きる生活の変化とそれを支える制度的な枠組みが変わっていく時期があります。本大会ではこのようなライフのそれぞれの時期の移行期(トランジション過程)における必要な支援や問題点について視覚障害当事者・支援者それぞれの立場から議論するシンポジウムや、人生を豊かにするための余暇、視覚障害者の家探し問題に関するシンポジウム等様々な企画を予定しております。  視覚障害リハビリテーションに関わる方々が一堂に会し、それぞれの視点から活発な議論が行われることを期待しております。この大会を通じて、私たちが直面する課題への新たな解決策が生まれるとともに、多くの方々にとって前向きな変化へのインスピレーションとなることを願っております。 2 開催概要 名称:第33回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 テーマ:LIFE 我々はどう生きるか 会期:2025年8月29日(金)~ 8月31日(日) 会場:日本教育会館(〒101-0003 東京都千代田区一ツ橋2-6-2) 大会長:藤縄 泰彦(日本視覚障害者職能開発センター) 後援(50音順): 特定非営利活動法人 全国視覚障害者情報提供施設協会 全国盲学校長会 公益社団法人 日本眼科医会 社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合 公益社団法人 日本視能訓練士協会 日本歩行訓練士会 社会福祉法人 日本盲人社会福祉施設協議会 日本ロービジョン学会 大会実行委員: 新井 千賀子(杏林アイセンター) 岡島 喜謙(福井県立盲学校) 金井 正紀(公益財団法人 日本盲導犬協会) 金山 佐保(社会福祉法人 山梨ライトハウス青い鳥成人寮) 島田 延明(社会福祉法人 日本点字図書館) 清水 重人(社会福祉法人 日本点字図書館) 白井 夕子(公益社団法人 東京都盲人福祉協会) 高橋 昌希(株式会社mitsuki) 田中 隆二郎(千葉県立千葉盲学校) 中津 大介(東京視覚障害者生活支援センター) 服部 玲奈(杏林アイセンター) 藤縄 泰彦(日本視覚障害者職能開発センター) 南 奈々(たかだ電動機株式会社 視覚障害者支援部「てんとうむし」) 同時開催 視覚障害リハビリテーション協会主催 会員限定企画 自分ごとプロジェクト 会期:2025年8月29日(金) 会場:日本教育会館(〒101-0003 東京都千代田区一ツ橋2-6-2) 3 会場アクセス 日本教育会館 〒101-0003 東京都千代田区一ツ橋2-6-2 最寄駅のご案内 地下鉄都営新宿線・東京メトロ半蔵門線神保町駅(A1出口)下車徒歩3分 地下鉄都営三田線神保町駅(A1出口)下車徒歩5分 東京メトロ東西線竹橋駅(北の丸公園側出口)下車徒歩5分 東京メトロ東西線九段下駅(6番出口)下車徒歩7分 JR総武線水道橋駅(西口出口)下車徒歩15分 東京駅からの主なアクセス 東京駅-(丸ノ内線・池袋方面)-大手町駅-(半蔵門線・中央林間方面)-神保町駅(約15分) 羽田空港からの主なアクセス 羽田空港-(京浜急行・品川方面)-泉岳寺-(都営浅草線・押上方面)-三田-(都営三田線・西高島平方面)-神保町(約1時間) 4 参加者へのご案内 4-1 事前参加登録の方 ・事前参加登録をいただき参加費入金が確認できた皆様には、大会開催までにネームカードと領収証を事前にお送りします。 ・当日の受付は不要です。会場でネームカードフォルダーをお受け取りください。 4-2 当日参加登録の方 参加費は現金でのお支払いのみになります。お釣りがないように用意いただけますと助かります。クレジットカードなどの取り扱いはありませんのでご注意ください。 ・当日参加登録 日時:8月30日(土)8:30~17:00 8月31日(日)8:30~13:00€ 場所:一ツ橋ホールホワイエ(3階)受付 * 8月29日(金)開催の分科会(高齢視覚リハ、情報アクセス)は当日各分科会会場にて参加登録証を確認します。29日に大会参加登録が必要な方は、分科会担当者にご連絡ください。その場で参加登録をさせていただきます。 * 学生の方は学生証をご持参ください。 * 日本ライトハウスが実施する視覚障害生活訓練等指導者養成課程を受講中の方は「養成課程在籍証明書」をご提示ください。 4-3 障害がある方の介助者の同行について ・障害がある参加者の介助者として同行する方の参加費は無料です。会場の受付で「同行者」の名札をお受け取りください。尚、同行者で協会会員ならびに大会参加目的の同行者には参加登録をお願いいたします。 4-4 抄録集 ・大会ホームページに抄録集のダウンロード用データ(PDF、テキスト形式)を掲載します。印刷版の抄録集の配布は行いません。事前にダウンロードをしていたただき、必要な方はご自分でプリントアウトをお願い申し上げます。 4-5 会場内での撮影・録画・録音について ・会場内では、視覚障害の見え方を補償する拡大等の利用目的以外での撮影・録画・録音を禁止します。 ・大会事務局スタッフは、大会報告書作成用に撮影をおこなう場合がありますので、あらかじめご了承ください。 4-6 飲食・ゴミについて ・一ツ橋ホール(3階)の客席ホール内は飲食禁止となっています ・持ち込まれた飲食物のゴミはすべてお持ち帰りいただくようお願いいたします。会期中に発生したゴミ処理は主催者側で行う規定となっており、すべて大会企画運営委員が持ち帰ることになりますのでご協力をお願いします。 4-7 地域ブロック会(一ツ橋ホール・8階休憩スペース等) ・日時:8月30日(土) 17:40~18:40 詳細は当日、お知らせいたします。 4-8 分科会企画 ・33回大会では専門別分科会(高齢視覚リハ、情報アクセス、O&M、ロービジョン)があります。各分科会企画のプログラムについては事前登録が必要なものもありますので、大会HPをご確認いただきご参加ください。(余暇活動分科会はシンポジウムIIIで登壇いただくため今回は分科会企画はありません) ・8月29日(金)開催の分科会(高齢視覚リハ、情報アクセス)は当日各分科会会場にて参加登録証を確認します。30日に大会参加登録が必要な方は、分科会担当者にご連絡ください。その場で参加登録をさせていただきます。 4-9 懇親会 日時:8月30日(土) 19:00~21:00 場所:日本教育会館2階 泰南飯店(中華料理) 会費:6,000円 *事前参加登録の際に一緒にお申し込みください。懇親会の参加費も参加登録費用とあわせて指定期日までにお振り込みください。 *懇親会は障害がある方の同伴者も参加費が必要になります。 4-10 視覚障害者向け生活用具・機器展示 (7階 中会議室 703会議室) 大会参加登録の有無にかかわらず、どなたでも無料で入場できます。 8月30日(土) 10:20~16:30 8月31日(日)  9:00~15:00 5 発表者へのご案内 5-1 口頭発表 (1)口頭発表のプログラム 今回の研究発表大会では、以下の4つのセッションを予定しています。 【口頭発表①】 8月30日(土)  9:10~ 9:50 【口頭発表②】 8月30日(土)  9:55~10:35 【口頭発表③】 8月31日(日)  9:55~10:35 【口頭発表④】 8月31日(日)  14:10~14:40 (2)発表時間 発表:8分/ 質疑応答:4分 ※発表開始後6分経過したところでベルを1回、8分経過したところでベルを2回鳴らします。円滑な進行のため時間厳守でお願いします。 (3)発表会場 日本教育会館3階 一ツ橋ホール (4)進行 ・発表者は発表開始の10分前までに一ツ橋ホール内の「次演者席」(舞台に向かって左側前方)に着き、座長の進行に従って登壇し、発表を行ってください。 ・座長の方は、セッション開始時間10分前に一ツ橋ホール内の舞台右側の座長席にお越しください。 (5)発表時の配慮 1)視覚障害者が言葉のみで理解できるように、具体的な説明を心がけてください。 2)指示語(あれ、これなど)の多用は避け、図や写真も言葉で説明してください。 (6)プレゼンテーション 1)全ての発表は PC によるプレゼンテーションとなります。 2)PC は事務局で用意します。条件は下記のとおりです。 OS:Windows 11 基本ソフト:Microsoft Power Point 2019 以上対応 スライドサイズ:縦横比 16対9 フォント:Windowsで標準に装備されているフォントをご使用ください。 動画・音声:Windows Media Player で再生できるフォーマット 【ハードウェアに関する注意】 ・上記の条件以外では誤動作や誤表示、文字化けなど動作保証ができませんのでご了承ください。 ・動画・音声を使用する場合、事務局で用意した PC では再生できない場合がありますので、念のため発表者ご自身の PC をご持参ください。 【Mac ご使用の方へ】 ・原則、こちらで用意したPCでご発表をお願いします。Power Point で作成していただき、Windowsと互換性のある形式での保存とフォントの使用をお願いします。 ・Mac依存のアプリケーションでの発表を希望の場合にはPCと出力用コネクター電源をご持参ください。 ・Macではプロジェクターとの相性の不具合が発生する可能性があるため、PDFで保存していただき、事前にPCセンターに預けてください。 ・PCをお持ち込みの方はあらかじめ事務局(jarvi33taikai@gmail.com )までご連絡ください。 【作成ファイルに関する注意】 ・発表データファイル名を「演題番号」と「筆頭発表者の氏名」をスペースなしで記入して保存してください。  例:O-01東京太郎 ・PC本体を持ち込む場合は、PC本体のトラブルやデータの破損などに備えてバックアップ用データとして発表データを保存したUSBメモリも必ずお持ちください(CDは不可)。 ・発表データは終了後、大会事務局にて責任を持って消去します。 【スライドデザインへの配慮】 ・背景と文字色の差異に加えて、明るさのコントラストをつけてください。 ・行間を充分とり、字づまりにならないようにしてください。 ・スライドに掲載されている内容を把握するのに充分な提示時間を確保できるスライド枚数としてください。 ・背景色と文字色に、以下の組み合わせはなるべく避けてください。 ※ 2色:赤と緑、オレンジと黄緑、緑と茶、青と紫、赤と黒、ピンクと明るい青 ※ 3色:ピンクと白と灰色、緑と灰色と黒 (7)データ受付と動作確認 ・以下の時間に一ツ橋ホールのホワイエに設置された受付まで持参ください。 31日の発表も30日でのデータ受付になります。この時間帯に来場できない場合には事前に事務局(jarvi33taikai@gmail.com)までご連絡ください。 ・【口頭発表①】に発表の方 8月30日(土)  8:15~ 8:30 ・【口頭発表②】に発表の方 8月30日(土)  8:30~ 9:00 ・【口頭発表③】に発表の方 8月30日(土) 10:20~10:40 ・【口頭発表④】に発表の方 8月30日(土) 12:30~12:50 5-2 ポスター発表 (1)発表会場 日本教育会館8階 第一会議室 (2)ポスター発表のスケジュール 【8月30日(土)】 8:30~10:00 ポスター貼付 10:50~11:50 ポスター討論① 演題番号:奇数番号 【8月31日(日)】 11:50~12:50 ポスター討論② 演題番号:偶数番号 14:00~14:30 ポスター撤去 14:30~ポスター貼付ボードの撤去作業があります。 撤去終了時間前までにポスターをご自身で撤去してください。 ゴミの減量にご協力ください。 (3)ポスター作成時の注意事項 1)ポスターボードの寸法は横90cm×縦210cmでポスターサイズは下30cmを開けて横90cm×縦180cm内のサイズにしてください。(右図参照) 2)ポスターボードの左上部に演題番号を貼り付けます。なお、演題番号はあらかじめ事務局で貼り付けますので、ポスター内に記述する必要はありません。 3)ポスターボード上部右側の横70cm×縦20cmに、「演題名」「所属名」「演者名」を入れてください。 4)A3用紙ですと、10枚分になります。 5)文字サイズ、行間などを適宜調整して、視認性に配慮してください。 (4)ポスター貼付作業について 8月30日(土)の10:00までに演題番号で指定されたパネルに各自でお貼りください。画鋲などはパネルにごとに用意しておきます。画鋲の不足や貼付にお手伝いが必要な方は受付までお越しください。 (5)ポスター討論に関して 指定のポスター討論時間になりましたら筆頭発表者は参加者への説明や質問への対応、ディスカッションをおこなってください。 6 日程表 8月29日(金) 【7階 中会議室(701-702)】 12:30 視覚リハ協会企画受付 13:00~16:30 ★視覚リハ協会企画 未来への挑戦 part9 自分ごとプロジェクト Beyond the barrier ~語ろう!あなたがぶつかった壁~(★協会会員限定企画) 16:50~17:50 ◎分科会企画 高齢視覚リハビリテーション事例研究 18:00~19:00 ◎分科会企画 情報アクセス 8月30日(土) 【3階 一ツ橋ホール】 8:10~ 受付開始 9:00 開会式 9:10~9:50 口頭発表① 9:55~10:35 口頭発表② 11:50~13:10 昼休憩 13:10~16:10 シンポジウムⅠ 公開討論「視覚リハの移行期ートランジションについて語ろう」 16:25~17:25 ◎分科会企画 O&M 17:40~18:40 地域ブロック会(開催場所は当日ホールにて掲示) 19:00~21:00 懇親会 【8階 第一会議室(ポスター会場/休憩スペース)】 8:30~10:00 ポスター貼り付け 10:00~18:00 ポスター供覧 10:50~11:50 ポスター発表①(奇数番号) 16:25~17:25 ◎分科会企画 ロービジョンクラブ 17:40~18:40 地域ブロック会(開催場所は当日ホールにて掲示) 19:00~21:00 懇親会 【7階 中会議室703】 10:20~16:30 機器展示 8月31日(日) 【3階 一ツ橋ホール】 8:10~ 受付開始 9:00~9:50 シンポジウムⅡ ライフの基盤“家”を借りる 9:55~10:35 口頭発表③ 10:45~11:35 シンポジウムⅢ ライフを支える 12:50~14:10 昼休憩 14:10~14:40 口頭発表④ 14:45~15:15 ミニレクチャー 相談支援体制と視覚障害リハ 15:15~ 閉会式 【8階 第一会議室(ポスター会場/休憩スペース)】 9:00~14:00 ポスター供覧 11:50~12:50 ポスター発表②(偶数番号) 14:00~15:00 ポスター撤去 【中会議室 703】 9:00~15:00 機器展示 7 プログラム 7-1 大会プログラム 8月29日(金) 16:50~17:50 高齢視覚障害者リハビリテーション事例研究分科会企画:事前登録有 【7階 中会議室(701・702号室)】 明日からできる取り組みを考えよう ゲストスピーカー1人目:デイサービス花桃  中島 静吾 ゲストスピーカー2人目:井上眼科病院  石原 純子 18:00~19:00 情報アクセス分科会企画:事前登録有 【7階 中会議室(701・702号室)】 視覚障害だからこそ使いたい 生成AIの活用アイデアとこれから 8月30日(土) 9:00~9:10 開会式 【3階 一ツ橋ホール】 9:10~9:50 口頭発表① 【3階 一ツ橋ホール】 座長:原田 敦史(堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センター)    川嶋 英嗣(愛知淑徳大学) O1-1 視覚障害者の歩行実験に基づくLRT軌道の横断特性に関する一考察 ○田原 明成(東京都市大学) O1-2 視覚障害者の歩行ナビゲーションにおける骨導3次元音響誘導の有効性について ○関 喜一(産業技術総合研究所) O1-3 視覚障害者雪道歩行の課題とその解決策に関する研究 ○安部 信行(八戸工業大学) 9:55~10:35 口頭発表② 【3階 一ツ橋ホール】 座長:谷 映志(名古屋市総合リハビリテーション事業団)    田中 恵津子(ウイズかじまち/愛知淑徳大学) O2-1 視覚障害者の歩行支援システムに関する研究 -歩行経路生成手法の改良- ○大坪 克俊(金城学院大学) O2-2 盲導犬使用者の歩行行動に関する定量的研究 ○元田 良孝(岩手県立大学) O2-3 歩行訓練士のAI歩行支援機器に対する実態・意識に関する調査 ○青木 隆一(淑徳大学) 10:50~11:50 ポスター発表① 奇数番号 【8階 第一会議室 ポスター会場】 13:10~16:10 シンポジウムⅠ 【3階 一ツ橋ホール】 公開討論:視覚リハの移行期-トランジション-について語ろう 第一部 トランジションに関する「当事者の困りごと」 座長:南 奈々(たかだ電動機株式会社 視覚障害者支援部 てんとうむし)    田中 隆二郎(千葉県立千葉盲学校) 演者:乳幼児・学童期:沖中 多世(千葉県立千葉盲学校)    青年・成人期:村竹 陽太(株式会社ドコモCS)    壮年・老年期:中谷 数一 第二部 トランジションに関する「現場の困りごと」 座長:南 奈々(たかだ電動機株式会社 視覚障害者支援部 てんとうむし)    田中 隆二郎(千葉県立千葉盲学校) 演者:乳幼児・学童期:古川 千鶴(社会福祉法人 京都ライトハウス あいあい教室)    学齢期:柏木 雅章(静岡県立沼津視覚特別支援学校)    壮年・老年期:髙橋 和哉(特定非営利活動法人 グローイングピープルズウィル) 第三部 総合討論 座長:藤縄 泰彦(日本視覚障害者職能開発センター)    白井 夕子(公益社団法人 東京都盲人福祉協会) 演者:第一部・第二部登壇者 16:25~17:25 O&M分科会企画:事前登録有 【3階 一ツ橋ホール】 大阪・関西万博における視覚障害者移動支援設置への関係者の働きかけ 話題提供者:山田 千佳子(公益社団法人NEXT VISION)       海老澤 弥生(2025年日本国際博覧会ユニバーサルサービス検討会委員)       北山 ともこ(株式会社アクセスムーブコンフォート)       小西 祐一(リンクス株式会社) ロービジョンクラブ分科会企画:事前登録なし 当日先着順 【8階 第一会議室】 ロービジョンとICT ~知ってよかったエピソードを指導者経験者がお話します~ 演者:庄司 健(島根ライトハウス)    林田 茂(社会福祉法人 日本ライトハウス 情報文化センター)    宮本 賢介(NPO法人 六星 ウイズかじまち) 17:40~18:40 地域ブロック会 【開催場所は当日ホールにて掲示】 19:00~21:00 懇親会 【2階 泰南飯店】 8月31日(日) 9:00~9:50 シンポジウムII 【3階 一ツ橋ホール】 ライフの基盤"家”を借りる 座長:高橋 昌希(株式会社mitsuki)    清水 重人(社会福祉法人 日本点字図書館) 演者:三川 草平    宮代 裕司(一般社団法人 全国賃貸不動産管理業協会) 9:55~10:35 口頭発表③ 【3階 一ツ橋ホール】 座長:城谷 直人(一般社団法人 チャレンジド・ヨガ ~視覚障がいの方のヨガ~)    堀江 智子(日本盲導犬協会) O3-1 令和6・7年度 杉並区協働提案事業 「住民(移動制約者)参加によるUDのまちづくり」1年目        ○高橋 和哉(特定非営利活動法人グローイングピープルズウィル) O3-2 視覚障害者スキーの現状と課題 -かながわブラインドスキークラブの歩みを通して- ○矢部 健三(神奈川県総合リハビリテーションセンター七沢自立支援ホーム) O3-3 障害者の災害準備状況:特に視覚障害者に注目して ○北村 弥生(長野保健医療大学) 10:45~11:35 シンポジウムⅢ 【3階 一ツ橋ホール】 ライフをささえる 座長:岡島 喜謙(福井県立盲学校)    服部 玲奈(杏林アイセンター) 演者:小汐 誉(放課後ルームいちご)    石川 佳子(社会福祉法人 京都ライトハウス 鳥居寮) 11:50~12:50 ポスター発表② 偶数番号 【8階 第一会議室 ポスター会場】 14:10~14:40 口頭発表④ 【3階 一ツ橋ホール】 座長:坂田 光子(日本視覚障害者職能開発センター)    別府 あかね(ごめん林眼科/NEXT VISION) O4-1 視覚障害者の通勤や職場等における支援の実施状況アンケート結果報告 ○吉泉 豊晴(社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合) O4-2 働く視覚障害者のための柔軟な訓練支援体制の構築ー日本視覚障害者職能開発センターの自立訓練(生活訓練) ○栃木 隆宏(社会福祉法人日本視覚障害者職能開発センター) 14:45~15:15 ミニレクチャー 【3階 一ツ橋ホール】 相談支援体制と視覚障害リハビリテーション 座長:新井 千賀子(杏林アイセンター) 演者:関谷 香織(社会福祉法人 ソラティオ ソラティオ23) 15:15~15:30 閉会式 【3階 一ツ橋ホール】 7-2 同時開催 視覚障害リハビリテーション協会主催プログラム(会員限定) 8月29日(金) 12:30~ 視覚リハ協会企画受付 【7階 中会議室(701・702号室)】 13:00~16:30 視覚リハ協会企画 未来への挑戦part9 自分ごとプロジェクト 【7階 中会議室(701・702号室)】 「Beyond the barrier ~語ろう!あなたがぶつかった壁~ 7-3 同時開催 機器展示(一般開放) 8月30日(土) 10:20~16:30 【7階 701・702・703号室】 8月31日(日) 9:00~15:00 【7階 701・702・703号室】 8 シンポジウムⅠ 公開討論:視覚リハの移行期-トランジション-について語ろう 【日時】8月30日(土)13:10~16:10 公開討論:「視覚リハサービスの移行期ートランジションーについて語ろう」  第一部 トランジションに関する「当事者の困りごと」   座長:南 奈々(たかだ電動機株式会社 視覚障害者支援部 てんとうむし)      田中 隆二郎(千葉県立千葉盲学校)   演者:乳幼児・学童期:沖中 多世(千葉県立千葉盲学校)      青年・成人期:村竹 陽太(株式会社ドコモCS)      壮年・老年期:中谷 数一  第二部 トランジションに関する「現場の困りごと」   座長:南 奈々(たかだ電動機株式会社 視覚障害者支援部 てんとうむし)      田中 隆二郎(千葉県立千葉盲学校)   演者:乳幼児・学童期:古川 千鶴(社会福祉法人 京都ライトハウス あいあい教室)      学齢期:柏木 雅章(静岡県立沼津視覚特別支援学校)      壮年・老年期:髙橋 和哉(特定非営利活動法人 グローイングピープルズウィル)  第三部 総合討論   座長:藤縄 泰彦(日本視覚障害者職能開発センター)      白井 夕子(公益社団法人 東京都盲人福祉協会)   演者:第一部・第二部登壇者  LIFEのそれぞれの時期である乳幼児期から学童期、青年期から成人期、壮年期から老齢期など人生の節目に起きる生活の変化とそれを支える制度の枠組みが変わっていく時期がある。本プログラムでではこのようなLIFEのそれぞれの時期の移行期を、3つのトランジション過程に分け、それぞれ「現場の困りごと」と「当事者の困りごと」について深堀していきたい。  シンポジウムは3部構成で、第一部はトランジッションに関する「当事者の困りごと」として、乳幼児期から学童期、青年期から成人期、壮年期から老齢期の各過程ごとに3名登壇し、当事者として感じた気持ちを率直にお話しいただく。第二部では、トランジッションに関する「現場の困りごと」として、各過程3名の支援者に登壇いただき、支援者目線での困りごとやその対応方法について提示いただく。休憩をはさみ、第三部では、第一部・第二部で提示された内容をもとに、登壇した6名のシンポジストとフロアを交えたディスカッションを行う。  視覚リハにおいてサービスの移行期における困難を知り、その解決策やそのときの選択した方向がどのように変化していくか、トランジション過程について一緒に考えていきたい。 第一部 トランジションに関する「当事者の困りごと」 【乳幼児・学童期】 沖中 多世(千葉県立千葉盲学校)  高1の全盲の娘がいる。生まれた日に「両眼無眼球症」だとわかり、その日から私の人生も一変した。数年後には知的障害も明らかになり、思春期の現在は、二次性徴ホルモンの補充治療を行っている。その都度、「どう育てていけばいいのか」という不安を抱えながら歩んできた。  乳幼児期は、初めての子育てに奮闘する中、医療機関や義眼製作、福祉サービスや視覚障害支援の窓口を探し回り、全てが手探り状態だった。その中で、多くの支援者様や同じ立場の保護者と出会い、助けていただいたことは私たち親子にとって大きな転機となり、先の見えにくかった日々に光をもたらしてくれた。  この時期は、子どもの障害特性を理解し、何をどう伸ばしていくか、気持ちの折り合いをつけるのも簡単ではなかった。発達の遅れに焦り、迷い、他の子どもと比べて落ち込むことも多かった。そうした中、療育やリハビリ、教育相談などさまざまな支援に助けられてきた。習い事や外部との関わりも増えた時期だった。  娘は幼稚部から盲学校に通っている。就学にあたっては、娘が「自分らしくいられる場所」を重視し、伸び伸びと学べていることに感謝している。在学中は、子供の可能性を最大限に広げたいという保護者の思いがある中、学校にもそれぞれの方針や先生方の考えがあり、その中で調整しながら共に連携していくことは簡単ではない時もあるが、大切なテーマの1つではないかと感じている。  日々の子供の成長を支え、出来る事を増やしていく一方で、将来の進路や生活についても考え続ける必要がある。不安は大きいですが、その都度、学校、福祉、医療機関などと連携し、今後も保護者同士のつながりを大切にしながら、娘の成長を見守っていきたいと思う。当日は当事者家族の立場からのお話をさせて頂く。 【青年・成人期】 村竹 陽太(株式会社ドコモCS) 青年期のライフイベントによる悩みと出会いについて  本パートではライフイベントの多い青年期の困りごとと、出会いについて話す。 (1)障害の発症と高校受験  中学3年時、レーベル病の発症で視覚障害者になる。視力は光格弁。直近の問題は高校受験だった。教師の紹介で鍼灸師の視覚障害者と出会い、筑波大学附属視覚特別支援学校を知り進学。この時の出会いがなければ、先々で会う人たちとの縁もなく、全く違う人生になっていただろう。 (2)障害の受容と大学受験  高校進学後は多くの視覚障害者と出会い、自身の障害受容につながる。しかし、点字を読むのが遅く、大学受験では学習量や受験時の回答に難を感じ苦悩する。  この受験時は努力しても解決が難しいと感じてしまい、再び障害の悩みを抱えたまま高校を卒業することとなった。 (3)就職活動  大学生活は充実していたが、就職活動では再び壁にぶつかる。在学中は就職先を決めることができなかった。キャリアアドバイザーからの助言もあり、卒業後は職業訓練校へ進む。  就職活動を支援してくれた人たちとの出会いもあり、学生時代の就活失敗は私にとってプラスに働くこととなった。 (4)就職してからの業務習熟  就職後しばらくは仕事の進め方に悩んだ。  上司からの助言で提案資料をWordで作るようになる。模索が続くが、多数の先輩から指導を受け形にしていく。  未成熟な新入社員時代、一緒に仕事の進め方を考えてくれた先輩達により、多くの経験が積めた。 (5)考察とまとめ  少年期から青年期にかけては、ライフイベントの予定がみやすい時期であった。しかし、期限がみえているからこそ障害と言うハンデに悩み焦ることもあった。  そんな時、誰かに精神的、知識的、技術的に助けられてきた。  一人では乗り越えられなかったことばかりであり、支援してくれた人たちがあってこそ今の自分である。 【壮年・老年期】 中谷 数一  高齢期を迎えての困りごとにつき、周囲の当事者に聞いてみた。身体機能の衰えによる移動の困難さや、急速に進むデジタル化に取り残されてしまう不安といった意見が多く聞かれた。  しかし皆に最も共通していたのは、もっと深いところでの心理的な問題だった。退職や子どもの独立などライフステージの変化により、これまでの自己の社会的役割を喪失してしまい、新たな役割を見つけるのが難しい、またそれに伴い生じた社会的孤立感や孤独感をどう解消すればよいのかよく分からないという課題である。多くの人が、新たな生き甲斐の発見、居場所となるコミュニティへの参加、社会との繋がりの維持を望んでいた。これはまさに、人生の転換点を迎えた後、視覚障害を抱えながらも次の人生をどう生きていくのかという問題である。  趣味や研究で自己完結できる人は良いが、多くの人はそうはいかない。解決には、ヒントとなる情報を求めて、或いは人やコミュニティとの接点を求めて、外に向かっての積極的な行動が必要となる。ここで重要になるのが情報保障や外出保障であろう。  視覚障害があると必要な情報入手に限界があるし、運良く新しい可能性に出会えても、そこに踏み出す際にはハンディキャップによる不安や困難が伴う。リアルのコミュニティ参加には移動が必要となるし、オンラインコミュニティには一定のデジタルスキルが求められる。このような外部に向かっての新たな行動全般をサポートする指南役というか相談窓口の存在が望まれる。制度や地域資源に詳しい行政のソーシャルワーカーや知見を持つ先輩がいる当事者団体等の役割がおおいに期待される。  加齢により体力・気力が低下する中でも、新たな生きがいや居場所が見つかれば、動機付けが明確となることで、その実現に向けての歩行訓練やデジタル技術習得等のリハビリにも前向きに取り組む様になることが期待される。 第二部 トランジションに関する「現場の困りごと」 【乳幼児・学童期】 古川 千鶴(社会福祉法人 京都ライトハウス あいあい教室) <はじめに>  京都ライトハウス 視覚支援 あいあい教室は、「児童発達支援(0歳~就学前)」と「放課後等デイサービス(小学生~高校生)」の大きな2つの事業を展開している。対象は、視覚に障がいがあったり視覚発達に不安のある子どもたちである。また、教室から遠方であったり家庭事情などで通園できない子どもへの訪問支援を行なうことで、京都府内の見えにくい子どもたちが、家庭事情に関わらず支援を受けられるような体制作りを目指している。  あいあい教室は、早期療育・保護者(家族)支援・地域生活支援などを大切な柱として運営を行っている。  今回のシンポジウムでは、見えにくい子どもたちの乳幼児期から学齢期を支援するものとしての困りごとや課題など、日々感じていることを話題提供したいと考えている。  ①見えにくい子どもたちが、果たして早期に専門機関の支援に繋がっているのか?  ②専門機関では、子どもや保護者(家族)に対して、どのような支援ができているのか?  ③就園や就学など地域生活への支援ができているのか?   ④学校卒業後の子どもたちの生活を見据えたときに、大切な力をいつどのようにつけていくのか?  ⑤ライフステージの中でその時期に応じた必要な情報を、分かりやすく保護者や家族に伝えられているのか?  ⑥その他 <まとめ>  見えにくい子どもたちは出現率も低く居住地域も点在していて、孤立しやすい状況にある。保護者は子どものことが理解できにくかったり、情報の少ない中で子育てをしなくてはならない。そんな中で私たちにできることは何か?見えにくい子どもたちを支援する上で、「専門性の継承」は欠かせないものであるが、とても難しさを感じているのも事実である。他機関や多職種との連携を勧めながら、支援が勧められるようにするにはどうしたらいいのか・・・考える機会にしていきたい。 【学齢期】 柏木 雅章(静岡県立沼津視覚特別支援学校)  学齢期をスタートするにあたり、小学校1年生をどこの学校で、どういった教育課程を選択するのか、障害や課題を有する子供とその家族にとって進路選択を大きく悩むタイミングになることがある。以前に比べると、通常学級、弱視学級、視覚支援学校のいずれかの入学に加え、視覚支援学校の教育相談、通級指導、交流学習、放課後等デイサービス、静岡県ではまだ困難であるが、移動支援を利用など、地域により差はありながらも選択肢や、選択を支援する制度が充実してきている。当然それは良いことであるが、選択肢が増えたからこそ悩んでしまうという部分もある。  こうした状況の中で様々な情報や、子供の育ちを視覚障害児教育の経験や知識から客観的に見て保護者に分かりやすく伝える存在がいることで保護者の不安を軽減できると考える。また入学後も成長するにつれ様々な要因により、進路について悩む本人や保護者は多く、そこに対する支援や相談は重要である。中には保護者も本人も現状を客観的な視点で捉えられないまま年齢を重ねているケースもあり、そういったケースに対する支援や相談は、相談を開始しすぐにうまくかみ合うことばかりではなく、有効な手立てがないままに時間が過ぎてしまうこともあると思う。こうした現状がある中で、本校では本校に入学した子供への指導だけでなく、地域で学ぶ子供たちへの支援や指導を、ニーズや必要性に考慮しながらもできるだけ積極的に行ってきている。  今回の発表ではその取り組みを紹介し、実際に指導や支援を受けた生徒のインタビューも交えながら「小から中」「中から高」「高から大学」という移行期や、進路を選択するタイミングについて長期的な視点での支援の在り方について考えていく。解決策やベストの選択が何かは明らかにできることではないが、よりよい支援や改善に向けた取り組みについて、一緒に考えていただければと思う。 【壮年・老年期】 高橋 和哉(特定非営利活動法人 グローイングピープルズウィル) <プロフィール>  主任相談支援専門員   杉並区自立支援協議会 高齢障害連携部会 部会長 <法律理念の違い>  65歳を境に障害福祉サービスから介護保険サービスに移行することになるが、65歳以前から障害福祉サービスを利用している視覚障害者にとっては外形的には大きな変化はない。しかし、基本理念の違いにより影響を受ける場合がある。  障害福祉サービスの基本理念 全ての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられることにより社会参加の機会が確保されること及びどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられない。(障害者総合支援法第一条)  一方、介護保険制度の基本理念は、要介護状態となった高齢者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うことを目的としている。(介護保険法第1条)  障害福祉サービスは、社会の構成員として活動を保障されるが、介護保険制度は、社会生活の記載がない。 <現場の課題>  高齢になって眼に障害を持った場合、相談支援専門員に繋がらないケースが散見される。相談支援専門員が介護保険制度に詳しくないのと同様、障害福祉サービスに精通しているケアマネは非常に少ない。ましてや視覚障害は障害のマイノリティである。 <中途視覚障害者のメンタル>  多くの中途障害者は、医療の支えだけではなくご自身の工夫で見えづらさを乗り切っている。働き盛りの壮年期に一段と視力が落ちると日常生活・就労に影響を及ぼし、経済的にも困窮する場合がある。この場合、相談支援専門員としての役割は非常に大きい。 <デジタル社会>  2021年9月1日、デジタル庁が発足し、国をあげて社会全体のデジタル化を推進することになっているが、この恩恵を享受するためには最低限のツール(スマホ等)を使いこなす必要がある。 9 シンポジウムⅡ ライフの基盤"家”を借りる 【日時】8月31日(日)9:00~9:50 「ライフの基盤“家”を借りる」  座長:高橋 昌希(株式会社mitsuki)     清水 重人(社会福祉法人 日本点字図書館)  演者:三川 草平     宮代 裕司(一般社団法人 全国賃貸不動産管理業協会)  我々のライフの基盤となる生活の場、衣食住のうちの“住”に焦点を当てて、視覚障害者が賃貸住宅を借りる際の事情と課題を当事者と住宅を貸す側の視点として、一人暮らしをしている当事者と全国賃貸不動産管理業協会からご提言いただきます。 【家を借りる】 三川 草平 1.自己紹介 ・氏名:三川 草平(ミツカワ ソウヘイ) ・年齢:33 ・都内のIT企業でセキュリティエンジニアとして勤務 ・普段は自宅でテレワーク ・主な仕事としてはPythonによるプログラミングやデータベースの管理・集計など 2.経歴 ・生まれは広島県 ・網膜芽細胞腫で5歳のころに全盲になる ・小中学校は広島の盲学校に教育相談として通いつつ、地元の普通校に通う ・高校は東京の特別支援学校(寄宿舎生活) ・大学は岡山の大学に入学 ・就職をきっかけに、再度上京 3.一人暮らしの経験 ・大学時  - 1回生は学生寮に入る  - 2・3回生は一人暮らし  - 4回生は実家暮らし ・社会人時  - 新卒時に一人暮らしを開始  - その後に一度引っ越しを経験 4.物件探しなどについて ・基本的な流れ  - 不動産屋(仲介会社)に行き、こちらの条件を伝える  - 実際の交渉は物件ごとに大家と会社の担当者が交渉をする形式  - 障害を理由に断られることは多かった ・大学時  - 学内で有名な地域の不動産屋で物件を見つけた   *それまでに3件ほど不動産屋巡りをした  - 大手会社にも相談に行ったが、あまり親身になって相談してくれない印象を受けた  - 地域の会社の方が、大家さんとのつながりもあり、交渉もスムーズに進んでいた ・社会人時  - 同じく4・5件不動産巡りをし、物件を見つける  - やはり担当者によって、だいぶ話の進み方が違う印象   *店によっては最初から「目が見えないと一人暮らしは無理」というようなことを言われたケースもあり  - 都内で二度目の引っ越し時も、結果新卒時と同じ不動産屋で物件を見つけた 5.まとめ ・不動産屋の担当者によって、物件探しの難易度は大きく左右されがち ・数件断られても、あきらめず巡ることが大切と感じる ・自分の障害をわかりやすく伝えることも重要  *何ができて、何かができないのかなど(階段があると無理、掃除や洗濯もできないと思われているケースも多い) 【家を貸す側の困り事】 宮代 裕司(一般社団法人 全国賃貸不動産管理業協会) 1.きっかけ  当団体の会議に出席した役員が「視覚障害の方が来店した際、どのように対応してよいかわからなかった」と発言。まずは、実態の把握が必要と感じた。 2.現状把握、行動  視覚障害者を支援している(株)mitsukiの高橋さんから、現状をお伺いすると知らないことばかりで、まずは当会の役員、事務局による勉強会を企画。行政の担当官にも参加いただくことで、今後の政策立案に役立つのではないか。 3.勉強会の開催  実態を知らなすぎるがゆえに漠然とした不安により敬遠しがち。  例えば、視覚障害といっても「全盲の方」、「視野の中心だけ見える方」、「視野の中心に暗点ができる方」、「ピントが合わずぼやける方」等、様々。「白杖を持っている方」イコール「全盲の方」では無い。 【漠然とした不安】  ・視覚障害の方とどのようにコミュニケーションとればいいの?  ・火事になったら大変(ガスコンロからIHへ コストが発生?)  ・近隣の方とトラブルにならないか  ・契約書は点字にしないとダメ? 【少しでも意識が変わると】  ・物件の雰囲気をどう伝えよう  ・駅から歩いて5分だけど、歩行しやすいルートはないか  ・1階の部屋の方が生活しやすいかも  ・掲示板のお知らせをどのように伝えられるか  勉強会後もWEBセミナーや講習会にて高橋さんに協力いただき、多くの方に現状を知っていただけた。 4.おわりに  住宅セーフティネット法に「住宅確保要配慮者」という定義がなされている。この言葉自体が差別に感じてしまう。お互いを想い、理解しあうことで、新たなステージへの道を切り開くものであると考える。  不動産業者は、入居希望者の情報を正確に貸主に伝える必要があるため、障害の有無に関わらず、様々なことを確認、質問する場合もある。借り主にはこの点へのご理解を賜りたい。 10 シンポジウムⅢ ライフをささえる 【日時】8月31日(日)10:45~11:35 「ライフをささえる」  座長 岡島 喜謙(福井県立盲学校)     服部 玲奈(杏林アイセンター)  演者 小汐 誉(放課後ルームいちご)     石川 佳子(社会福祉法人 京都ライトハウス 鳥居寮)  「ライフをささえる」とは、人が生きていく上で必要な衣食住や健康、経済的安定、精神的な充足、社会とのつながりなど、生活の基盤となる部分をサポートすることを指します。具体的には、食事や住居の提供、医療や介護、教育、仕事、趣味や余暇など、多岐にわたる分野での支援が含まれます。シンポジウムⅢでは学校や会社、リハビリテーション施設という場ではない、我々のライフを支える活動にスポットをあてました。子供と大人ではライフの支え方に違いがあるため、子供のライフを支える取り組みとして「放課後ルームいちご」、大人のライフを支える取り組みとして「余暇活動分科会」から報告をしていただきます。 <子供のライフ>  【演者氏名】 小汐 誉 (こしお ほまれ)  【所属機関(団体)名】 放課後ルームいちご、視覚障害児親子の会 いちごの会/株式会社mitsuki  【演題】 移動支援・同行援護を活用した視覚障がい児童への居場所提供の試み 背景:放課後に友達同士で一緒に宿題をしたり、遊んだりする。そんな当たり前のささやかな日常を送ることが、視覚障がい児には困難となる。都内近郊に在住する視覚障がい児童は、居住地の近所に視覚特別支援学校があることは稀なため、小・中学生になっても、毎日片道1時間前後の電車通学をする子が多く、通学を含めて、小学高学年、中学生と思春期に入っても生活環境が常に親と一緒の行動を強いられることが多い。思春期に入っても、いつまでも親子一緒の行動が続く生活環境は、子どもの成長を妨げるのでは?との思いが強くなる。  これまで「いちごの会」という親子会では、親子で一緒に体験活動をして、幼少期の子どもたちが楽しみながら様々なことを体験する機会を作ることを大切に活動してきたが、その先に、今度は少し成長して思春期にさしかかる子どもたちの為に、親とは少し離れ、第3者の大人の見守りの中で、子どもたち同士で放課後活動を楽しめる居場所を作れないだろうか。そんな親の思いを発端に、様々なご縁とご協力をもらい、家とも学校とも異なる放課後活動を行える居場所「放課後ルームいちご」を昨年10月に開所した。 目的:まもなく1年が経過する放課後ルームいちごの居場所開所までの道のりと、放課後ルームいちごでの子どもたちの日常を紹介する。居場所がなぜ必要なのか、視覚障がいがある故の子どもたちが余暇を自由に楽しむ難しさ、それを補うための移動支援・同行援護制度活用の試み、様々な交渉や工夫を経て、子どもたちがガイドヘルパーと居場所に訪れるというシステム構築までの過程、居場所での放課後活動で得られた子どもたちの変化、1年経過した中で感じる課題と今後の展望を伝えていきたい。 <大人のライフ>  【筆頭演者氏名】 石川 佳子(いしかわ よしこ)  【所属機関(団体)名】 視覚リハビリテーション協会余暇活動分科会/京都ライトハウス 鳥居寮/京都府視覚障害者協会メルマガ色鉛筆/視覚障害者ネットワーク きららの会  【演題】人と情報につながることからはじまる一歩~レクリエーションの試みから~ □背景   見えない見えにくい状況で楽しいはずの余暇活動がストレス要因になることもある。また、コニュニケーションの困難から余暇活動については相談内容の優先項目とならないケースも多い。一方、レクに取り組むことで、QOLアップのきっかけになることもある。本シンポジウムでは、当事者活動・リハ支援・余暇活動分科会での取り組みを共有し、見えない見えにくい人の一歩を支える余暇活動とリハビリテーションの関わりについて考える。 □一歩を支える取り組み ①自分事としてどうしたらできるかを同世代交流で実践:視覚障害者ネットワークきららの会では、「やりたいけどできない」を「きららでやってみる」というコンセプトでさまざまなレクを実践してきた。活動そのものがリハ訓練的な働きをする場面もあり、白杖やガイドヘルパー制度の活用が促進され、訓練利用につながるケースもあった。 ②レク要素満載のリハ訓練:京都ライトハウス鳥居寮では、読みながら歌う、イベントであるある川柳の発表を通して、「点字はここで役立つ」を楽しく実感できる訓練を提案している。また、ウクレレ体験では演奏を通して感覚訓練に取り組み、文章講座では誤字突っ込み・作詞などを通して表現スキルアップ訓練に取り組んでいる。 ③余暇情報の獲得:当事者の余暇体験レポートを京都府視覚障害者協会発行のメルマガ色鉛筆で発信している。リハ大会の余暇活動分科会企画では楽器、ダンスやヨガ、ゲーム、大喜利のワークショップを実施し、多職種連携でレクの工夫を考案した。 □楽しいことをやるために想像、そして創造QOLのアップには「何がうれしい」をイメージし、どうしたらできるかを考えその方法をクリエイトすることが、当事者、支援者にとって必要である。人と情報につながることからはじまる一歩へ、本大会ならではの試みとしてミニレクリハ体験を会場の皆様と実践し、「笑顔のレク」の工夫について考える。 11 ミニレクチャー 相談支援体制と視覚障害リハビリテーション 【日時】8月31日(日)14:45~15:15 「相談支援体制と視覚障害リハビリテーション」  座長:新井 千賀子(杏林アイセンター)  講師:関谷 香織(社会福祉法人 ソラティオ ソラティオ23 拠点コーディネーター)  対象者の多様化し、ケースを取り巻く環境によっては、福祉サービスの利用は高齢者だけでなく幅広い年齢層に必要とされることが多い。しかし、必要な知識と思っていても日常業務の中ではなかなか勉強に手が出せない領域でもある。今回のミニレクチャーでは視覚リハと福祉サービスの接点でなにが起きていて、さらに、どんな課題があるか、両方のサービスに携わった経験がある関谷香織氏に「相談支援体制と視覚障害リハビリテーション」というタイトルでご講演をお願いした。 テーマ:「相談支援体制と視覚障害リハビリテーション」 講師:関谷 香織(社会福祉法人ソラティオ ソラティオ23 拠点コーディネーター) 内容:  視覚障害者生活訓練専門職(歩行訓練士)として、視覚障害リハビリテーション施設及び点字図書館にてトータル13年間勤務していました。その後、特定相談支援事業所に転職し相談支援専門員として障害福祉サービスの利用に係る相談及びサービス等利用計画の作成を5年、令和6年4月からは地域生活支援拠点等コーディネーターとなり相談支援の分野で勤務しております。  相談支援専門員として働こうと思ったきっかけは、視覚障害者への支援を違う福祉職の立場でみた時にどう見えるのか、視点を変えることで見える世界が変わるのではないかと思ったことから始まります。  相談支援の現場で直面している視覚障害リハビリテーションに関連した課題や、相談支援体制と視覚障害リハビリテーションついてお話したいと思います。 12 分科会企画 【日時】 (1)高齢視覚障害者リハビリテーション事例研究分科会 8月29日(金)16:50~17:50 (2)情報アクセス分科会 8月29日(金)18:00~19:00 (3)Orientation and Mobility(O&M)分科会 8月30日(土)16:25~17:25 (4)ロービジョンクラブ分科会 8月30日(土)16:25~17:25 (1)高齢視覚障害者リハビリテーション事例研究分科会 「明日からできる取り組みを考えよう」 【企画の内容】  高齢視覚障害者リハビリテーション事例研究分科会(以下、高齢視覚リハ分科会)は、高齢視覚障害者を取り巻く問題や支援者が直面する課題等について、率直に話し合える場作りを目的として設置されました。  今回の高齢視覚リハ分科会企画では、日々の活動の中で、様々な試みを行っている当分科会メンバー2名をゲストスピーカーとして迎え、高齢視覚障害者支援に関する日々の取り組み(実践や多機関との連携等)の報告をしていただきます。  その後、1グループ5名のグループに別れて「明日からできる取り組み」のアイディア出しのグループワークを行います。ここで出されたアイディアが、それぞれの地域での明日からの取り組みを後押しするきっかけになればと思います。 1.高齢視覚障害者支援に関する日々の取り組み(実践や多機関との連携等)の報告    ゲストスピーカー1人目(10分):中島 静吾(デイサービス花桃)    ゲストスピーカー2人目(10分):石原 純子(井上眼科病院) 2.グループワーク「明日からできる取り組み」のアイディア出し(30分) 3.まとめの全体会(10分) 日時:8月29日(金)16:50~17:50 場所:7階 中会議室(701・702号室) 定員:40名(事前申込制、申し込み締切:7月5日(土)ですが、先着順、定員になり次第締め切ります) 申し込み先:koureibunkakai@gmail.com 申し込み方法:メールの件名に「参加申し込み」と書いて本文に氏名・職種 所属を明記し、お申し込み下さい。  下記の※の特記事項がある場合は、その旨申込時に必ず書き込んでください。 ※ガイドヘルパーなど同伴の方は、その旨申込時にお書きください。 ※資料の配付について、事前にテキストデータ送付を希望される方は、申し込み時にその旨を書き込んでください。 ※参加した皆さんとの交流を深めるために、氏名・職種 所属を記入した参加者名簿を配布する予定です。参加者名簿に氏名などの掲載を希望されない方は、その旨申込時にお書きください。 【問い合わせ】 問い合わせ先:koureibunkakai@gmail.com (2)情報アクセス分科会 「視覚障害だからこそ使いたい 生成AIの活用アイデアとこれから」 内容:  近年注目を集める生成AIは、視覚障害者の日常生活や業務をこれまで以上にサポートする可能性を秘めています。たとえば、長文ニュースや書籍などの情報を瞬時に要約し、読む時間を大幅に短縮できます。また、視覚障害者が苦手とする誤字脱字のチェックも、簡単かつ正確に行うことが可能です。さらに、音声対話機能を使えば、こちらが多少言葉に詰まってもAIは文脈を理解し、必要な情報を自然な形で返してくれます。雑談相手として利用することもでき、孤独感の解消にも役立つでしょう。  加えて、図表を画像として送信すると要点をわかりやすく説明してくれますし、目の前の風景や物体を撮影して送れば、周囲の状況を伝えてくれます。たとえば、お弁当を撮影して「視覚障害者向けに説明してほしい」と指示すると、その内容を専門のヘルパー顔負けのレベルで的確に説明してくれるのです。こうした機能は、視覚に頼ることができない私たちにとって、見える人以上に大きな恩恵をもたらす場合があります。したがって、生成AIを活用しない手はありません。  しかし一方で、生成AIが出力する情報はまだ発展途上であり、誤った情報や偏った内容を含むリスクもあります。そのまま鵜呑みにすると、思わぬトラブルや不利益を招く恐れがあります。したがって、利用者自身が「生成AIとの付き合い方」を意識し、得られた情報を批判的に検証する姿勢が求められます。  本企画では、視覚障害者の立場から見た生成AIの有用性と課題を整理し、具体的な活用事例を紹介します。参加者の皆さんとともに、生成AIがもたらす可能性や注意点、今後の展望について意見を交換し、視覚障害者にとってより実践的・現実的な活用方法を探りたいと考えています。 日時:8月29日(金)18:00~19:00 場所:7階 中会議室(701・702号室) 定員:80名 先着順 7月5日締め切り 申し込みフォーム:https://forms.gle/cExeqozhfKqHq3Nq7 問い合わせ先:ia@jarvi.org (3)Orientation and Mobility(O&M)分科会 「大阪万博における視覚障害者移動支援設置への関係者の働きかけ」 内容:  大規模なイベントが開催される際、障害者にとって使いやすい環境を整える視点が、以前に比べて重要視されるようになっています。ただし、現状では既存のルールの範囲内で対応している場合が多く、新しい技術を積極的に取り入れる動きは多くはありません。  今回、大阪・関西万博では、視覚障害者の移動をサポートする新しい技術が導入されました。  どんなイベントでも働きかけなければ既存のイメージで整えられてしまいます。  今回ナビレンス・shikAIの導入を実現するまでに関係者がどのように動き、どのような思いを持って取り組んだのか、そして導入後の状況、そして活用をしてもらうためにどのような動きをしたのか、共有したいと考えています。  話を聞いたら、新しい移動支援技術を確かめに万博会場へ行ってみたくなる…そんな講演にしたいと思っています。 前半では、以下の内容を予定しています。   ①山田 千佳子(公益社団法人NEXT VISION)   ②海老澤 弥生(2025年日本国際博覧会ユニバーサルサービス検討会委員) ・大阪・関西万博開催の決定を受け、「ナビタグで未来を変えるプロジェクトチームOTAGAISAMA(おたがいさま)」が発足し、会場内に新しい移動支援技術であるナビタグの導入について意見交換を始めた経緯。 ・点字ブロックだけでない、新たな移動支援の技術の体験を万博で実現するためのチームの動き。 ・視覚障害のある委員の立場で、他の障害者とのバランスを考えつつ、必要な支援を万博協会に訴え、交渉を続けた経験や苦労。 後半では、実際の技術導入に関する報告を現地の写真等を交えて行います。   ③北山 ともこ(株式会社アクセスムーブコンフォート)   ④小西 祐一(リンクス株式会社) ・万博開催前、開催後に実施した体験会の報告。 ・万博内に設置されたナビレンスとshikAIについて、案内する情報や設置の意図。 ・開幕後の利用状況や、利用する中で判明した改善点や課題についての報告。  参加者の地域でイベント開催時にどのように連携・働きかけるべきか、今回の移動支援技術がどのように活用ができるか、考えるきっかけにしていただければ幸いです。 日時:8月30日(土)16:25~17:25 会場:日本教育会館 3階 一ツ橋ホール 参加対象:視覚リハビリテーション協会会員、または大会参加者 申込方法:グーグルフォームより申し込み:https://forms.gle/XRqnYjHgGGdYcRB28 ※当日参加も大歓迎ですが人数把握のため申し込みに協力いただきますようお願い致します。 問い合わせ先:sp.kobeharata@gmail.com  担当 原田 (4)ロービジョンクラブ分科会 ロービジョンとICT~知ってよかったエピソードを指導者経験者がお話します~ ロービジョンクラブ世話人  田中 恵津子 堀江 智子 新井 千賀子 【概要】  見え方もライフスタイルも千差万別であり、ICT技術への心理的距離も、操作技術を取り込む速度だって人によって大きく違う。スマートフォン、パソコン、スマートスピーカ、スマートグラス、など新しいハードウェアが開発され市場に出回り、これは朗報!とロービジョンにまつわるニュースとして耳にすることも多くなった。とはいえ、それを利用する側がどう使うとどんな風に役立つのかがイメージできないと、人に伝えようにも一番の肝のところが抜けた気のない紹介になってしまう。タメになるらしいよと本のタイトルだけ伝えられても、果たして読みたいと思う人はどれほどいるのか、と同じことである。今年のロービジョン分科会は、地域でICT相談・指導に従事している方々3人にざっくばらんなお話をお聞きする会を企画した。ロービジョンの方に「これ使ってよかった」と言われたエピソードの話や、ロービジョンとICT利用についての雑感をお話いただく。どんな話をヒントに何を紹介して、どんな風に技術を獲得して生活に取り入れたのかを皆でいろいろ聞いてみようと思う。参加いただいた方には、こういう人がこんな風に使っている話を聞いたよ、と眼科のロービジョン外来で、歩行訓練の合間に、ピアの情報交換の場でビビッドな話として話題に出せるようなお土産話をもって帰っていただきたい。 【演者】 庄司 健 (島根ライトハウス) 林田 茂 (社会福祉法人 日本ライトハウス 情報文化センター) 宮本 賢介(NPO法人 六星 ウイズかじまち) 日時:8月30日(土)16:25~17:25 場所:8階 第一会議室(ポスター会場内休憩スペース) 【定員:参加申込】 事前登録なし 当日先着順 定員40名程度 13 <口頭発表> 【日時】 口頭発表① O1-1~O1-3 8月30日 (土) 9:10~9:50 口頭発表② O2-1~O2-3 8月30日 (土) 9:55~10:35 口頭発表③ O3-1~O3-3 8月31日 (日) 9:55~10:35 口頭発表④ O4-1~O4-2 8月31日 (日) 14:10~14:40 O1-1 視覚障害者の歩行実験に基づくLRT軌道の横断特性に関する一考察 ○田原 明成1)、稲垣 具志1)、松井 颯汰1)、谷田 妙子2) 1)東京都市大学、2)視覚障害者信号機横断プロジェクト 【目的】  国土交通省道路局が発出している移動等円滑化に関するガイドラインでは、踏切道の横断支援に関して視覚障害者誘導用ブロックや踏切道内誘導表示の設置指針が規定されている。軌道系交通では、道路との交差部に遮断桿が設置されていない、軌道車両が道路上を一般車両と共存して通行するなど、一般的な鉄道とは異なった環境が整備されている。しかしガイドラインではこのような軌道系交通の特性を踏まえて、軌道横断に関する安全確保について十分な検討がなされていない。そのため各導入地域では独自的に対策が講じられ、統一的なバリアフリー指針は確立されていないのが現状である。視覚障害者にとっては、軌道内にいることに気づかない、意図せず軌道内に侵入してしまうといった危険な事象を誘発させるようなケースも散見される。本研究では、軌道横断部周辺における整備上の課題を把握、明確化するために、実現場において当事者参加による歩行実験を実施し、安全性等に関する評価を行った。 【方法】  宇都宮駅東口の交流広場において、横断部に線状ブロックが敷設されている軌道横断箇所を対象に、6人の視覚障害者による単独歩行の実験を実施した。横断状況をビデオカメラで撮影し記録するとともに、横断試行ごとに空間の整備状況の安全性や適切性について実験参加者へヒアリングした。記録動画からは軌道空間内外の境界位置の認識度として、実験参加者の位置判断のずれを計測した。 【結果・考察】  軌道空間進入時における横断部の線状ブロックの見つけやすさや軌道空間内外の境界位置の認識度は、軌道空間外の誘導用ブロックの配列に影響されることが考えられた。また当事者に整備の適切性が比較的高く評価されていても、実際の軌道空間内外の境界位置の認識のずれが大きい状況が、軌道空間進入時、退出時いずれにおいても確認された。今後は停留場周辺に多くみられる横断歩道上の軌道横断も含めて検証を進める。 O1-2 視覚障害者の歩行ナビゲーションにおける骨導3次元音響誘導の有効性について ○関 喜一 産業技術総合研究所 【目的】  スマートホンなどのICT機器を活用した視覚障害者の歩行ナビゲーションにおいて、従来のモノラル音響(頭の中央など固定した位置から音が聞こえる)誘導方式と比較して、新提案の3次元音響(自分が進むべき目標位置から音が聞こえる)誘導方式が有効であることを実験的に示す。 【方法】  被験者に、骨導ヘッドホンを通してモノラル音響と3次元音響による2種類の提示方法で音声(目標位置を“何メートル何時”と言葉で案内する)による誘導を行い、所定の経路を歩行する課題を課し、(1)所要時間 (2)偏軌(本来の経路から逸出した距離) (3)ストレス(最大心拍数増加率) (4)脳負荷(fp1, fp2, fzの脳波のγα比)を計測し比較した。被験者は、全盲、ロービジョン、視野欠損、及び晴眼の4名とした。 【結果】  全ての指標において、モノラル音響より3次元音響の方が減少する傾向が見られた。また被験者の内観報告として、3次元音響の方が移動すべき方向距離が直感的に分かり易いという回答が得られた。 【考察】  3次元音響の方が所要時間の短縮や偏軌の減少、及び歩行者の心身への負担が少なくなった理由は、3次元音響の場合、音声の言語的内容を解釈せずとも、提示された音の方向と距離だけで自分が進むべき方向と距離が分かるので、脳の思考負担が減り、間違いも少なくなるためであると考えられる。心身へ負担の減少は、白杖や盲導犬の操作、及び環境音の聴取と言った基本的歩行技能への集中度に与える影響を軽減し、より安全な歩行を実現すると考えられる。 【結論】  従来のモノラル音響誘導と比較して3次元音響誘導のほうがより視覚障害者の歩行ナビゲーションとして有効であることを示した。今後、現在市販されている各種ナビゲーション製品への実装を啓発して行きたい。 O1-3 視覚障害者雪道歩行の課題とその解決策に関する研究 ○安部 信行 八戸工業大学 【目的】  視覚障害者が雪道歩行する際にどのような困難に遭遇しているかを明らかにし、ハード・ソフトの両面における課題整理と、それらの解決策について提案することを目的としている。 【方法】  視覚障害者の歩行事故に関する全国調査の結果から、雪道歩行における事故の詳細な分析を行い、多雪地域在住の視覚障害者に対してヒアリング調査を行った。その上で、雪道歩行のハード・ソフトの両面から課題と解決策について述べる。また、雪道歩行における円滑な歩行のための、雪の中の状況を音で把握できる反響体の開発を同時に行う。 【結果】  雪道歩行に関する重大事故に関しては、東北など北国のみならず、比較的温暖な関東地方においても重大事故が発生していることが分かった。ケガの程度としては、打撲や骨折の他、靱帯損傷のような大怪我に至ったケースも見られた。また、盲導犬誘導時にも事故が発生していることが分かった。多雪地域在住の視覚障害者へのヒアリング調査の結果、雪道での歩き方については、ほぼ全員が雪の壁(除雪後の堆雪帯など)や、踏み固められた雪道を利用して歩いている。殆どの方が雪道において日常茶飯事に転倒しており、ケガを負ったケースもみられた。最も危険を感じる所は、新雪が10cm以上降った後の道である。雪質別の歩きやすさ・にくさの質問に関しては、新雪、しまり雪(踏み固められた雪)、ざらめ雪(シャーベット状の雪)の3種類に分けて質問したところ、ざらめ雪が最も歩きづらいという意見が多く、場合によっては方向感覚を失う時もあるということが分かった。 【考察】  視覚障害者の雪道歩行に関する課題に関しては、除雪や歩行訓練の充実など、ハードとソフトの両面から考えていかなければならない。 【結論】  視覚障害者による雪道歩行中の事故は少なからず発生しており、骨折や靱帯損傷のような大怪我に至る歩行事故も発生していることが分かった。 O2-1 視覚障害者の歩行支援システムに関する研究 -歩行経路生成手法の改良- ○大坪 克俊1)、染川 舞2) 1)金城学院大学、2)松新開発株式会社 かちがわの杜 【目的】  本研究では、視覚障害者による白杖を用いた安全な単独歩行の実現を目的として、スマートフォンを用いた振動刺激の提示で目的地までの安全な経路への誘導を行うシステムを開発している。前稿では、晴眼者が予め経路上を歩行中に設定した基点を順序依存で結ぶアルゴリズムに基づく経路生成を行っていたが、生成可能な経路は単純なものに限られていた。本稿では、新たに開発した任意の歩行経路の自動生成手法を提案し、本手法のアルゴリズムを実装した試作システムによる実験結果を示し、実用レベルの歩行経路の効率的な生成に対する有効性を論じる。 【方法】  本稿の提案手法のアルゴリズムは次の通りである。  (1)スマートフォンを持った晴眼者が経路を歩行し、空間中の構造物の三角形メッシュ(歩行空間メッシュ)をシステムで自動生成し、晴眼者の歩行軌跡、晴眼者が設定した経路上の基点と共にデータを記録する。  (2)歩行空間メッシュから経路上の床の三角形メッシュ(床メッシュ)を生成する。  (3)床メッシュの位相に基づき、全ての基点間の最短距離の稜線列(経路グラフ)を調べる。  (4)経路グラフの稜線列を平滑化する。  (5)任意の基点間の経路グラフ上で最短距離の稜線列を歩行経路として求める。 【結果】  提案手法を実装した試作システムを用いて、金城学院大学の校舎内において歩行経路の生成実験を行った。結果として、晴眼者による平均歩行経路との平均絶対誤差は30cm以内となった。 【考察】  結果から、提案手法には実用レベルの歩行経路の生成に対する有効性が認められる。 【結論】  本稿では、歩行経路の自動生成手法を新たに提案し、実装した試作システムによる実験結果から、本手法の有効性を示すことができた。今後は、より多くの場所で実験を行うことによる実用上の課題の収集、より自然な誘導のための振動提示手法の検討を行い、本システムの改良を目指す。 O2-2 盲導犬使用者の歩行行動に関する定量的研究 ○元田 良孝、宇佐美 誠史 岩手県立大学 【目的】  盲導犬による歩行誘導は白杖と比べて優れていると言われているが、定量的な研究は少ない。本研究では盲導犬使用者の歩行行動と白杖使用者の歩行行動の比較から盲導犬使用の特徴について実証的な研究を行った。 【方法】  アンケート調査による盲導犬使用者の意識と被験者による歩行観測により意識と行動での分析を行った。アンケート調査では盲導犬使用者がそれまで使用していた白杖との利便性比較を聞いた。複数の盲導犬育成団体を通じて調査票が配布され99通の有効回答が得られた。歩行観測では都内2カ所の歩道をそれぞれ1名の被験者に歩行してもらい、歩行速度等を測定した。1カ所では白杖使用者にも歩行してもらい行動を比較した。 【結果】  アンケート調査では障害物との接触、外出機会の増加、疲労の軽減、歩行速度、頭の中の 地図の簡略化を白杖使用と比較してもらった結果いずれも殆どの回答者が盲導犬使用のメリットを指摘した。  歩行速度については、健常者とほぼ同じ速度が得られた。白杖使用者との比較では文献による調査、盲導犬使用者と同じ条件での白杖使用歩行調査ではいずれも盲導犬使用者の方が速かった。また歩行観測では歩行速度の他に障害物との接触回数や直進性等で盲導犬使用者の方が優れていることが明らかとなった。 【考察】  盲導犬使用者のヒアリングでは「風を切って歩けるようになった」との話も聞いた。しかし既往文献では盲導犬使用者の歩行速度は白杖使用者と変わらないとするものと、盲導犬使用者の方が速いとするものがある。歩行速度が変わらないと結論している文献は被験者がアイマスクをした晴眼者であり検証方法に疑念があった。今回被験者数は少なかったが盲導犬使用者の歩行速度等の優位性は確認できた。 【結論】  盲導犬使用者の意識調査と歩行観測により、白杖使用と比較した場合障害物接触回数の減少や疲労軽減等のメリットや歩行速度、直進性も優れることが明らかとなった。 O2-3 歩行訓練士のAI歩行支援機器に対する実態・意識に関する調査 ○青木 隆一 淑徳大学 【目的】  AIを活用した視覚障害者の歩行支援アプリやウェアラブルデバイス(以下、AI歩行支援機器)の開発が目覚ましい進展を見せている。発表者が歩行訓練を学んだ当時、ソニックガイドやモーワットセンサー程度の機器しか存在しなかったが、現在では十数種類が実用化されている。視覚障害者の歩行の安全性や確実性の向上が期待される一方で、歩行訓練士がそれらの情報や取り扱いに追いつけていないのではないだろうか。そこで本研究では、歩行訓練士がAI歩行支援機器をどのように取り扱い、どう考えているのかについて、現時点での実態・意識及び課題を明らかにすることを目的とした。 【方法】  歩行訓練士会MLを通じてWebアンケート調査を実施した。設問は全13問で、基本属性に加えて、AI歩行支援機器の取り扱いの有無、その経緯や内容、自由記述等で構成した。 【結果】  51名が回答(回答率24.7%)。主な結果として、約7割が「取り扱いあり」と回答。きっかけについては、「歩行訓練士からの提案」と「当事者からのニーズ」がほぼ同数であった。全回答者から自由記述による意見が寄せられた。 【考察】  予想以上にAI歩行支援機器を取り扱っている割合が高く、歩行訓練士・当事者の双方が高い関心を寄せていることが明らかになった。全体的な傾向としては、「基礎的な歩行技術の確立が大前提であること」および「安全性への慎重な配慮が必要であること」が浮かび上がり、これらは歩行訓練士ならではの視点であると考えられる。一方で、取り扱いや考え方には個人差や地域差が見受けられた。 【結論】  こうした現状を踏まえ、より安全で確実な歩行訓練を実現するためには、歩行支援機器に関する情報の一元化、メーカーとの連携による安全性・確実性の検証、訓練マニュアルの整備などが求められる。また、現時点ではAI歩行支援機器だけで単独歩行が可能になるわけではないことを強調する必要がある。 O3-1 令和6・7年度 杉並区協働提案事業 「住民(移動制約者)参加によるUDのまちづくり」1年目 ○高橋 和哉 特定非営利活動法人グローイングピープルズウィル 【背景】  杉並区においても平成6年以前に建てられた公共施設は多数あることから、今後、施設の改築、新築、移転が多く発生すると考えられる。このような状況に置いて、改正バリアフリー新法を熟知する設計者が少なく、移動制約者を理解している設計者も少ない。一方、公共施設設計に明るい当事者も少ないのが現状である。これは杉並区だけでない。 【目的】  一つは、設計段階から議論に加わる当事者を増やすこと。もう一つは、杉並区が真の障害理解ができることである。 【方法】  当事者10名で委員会を結成し現存する一つの公共施設を対象にして、平面図(触知模型図)からこの公共施設を理解することを確認する。アクセスに関しても同様に平面図から現状を把握することを確認する。  この過程で、建物・アクセス双方の改善点を洗い出し、委員会が建物管理者、道路管理者と話し合いを行う。 【結果】  設計段階の建物を想定して現存建物内の移動確認を行った。5名の視覚障害者は平面図を正しく読み解き、指示通りに移動した。彼らが平面図を読み取る力があることを証明した。  建物の改善点を管理者と話し合うことによって、管理者にとって「目からうろこ」の指摘が多くあったことから、管理者にとっても良い影響を与えた。  アクセスに関して、点字ブロック敷設が難しい生活道路において、視覚障害者が比較的安心して歩く環境づくりが可能であることが分かった。 【考察】  視覚障害委員全員が、平面図から現実空間を正しく認識できることは、設計段階の建物であっても移動空間を把握できる可能性を示した。  アクセスに関しては、実際に歩くことから課題を発見できたことから建物施工時からアクセスのバリア除去が可能であることがわかった。 【結論】  2年間の中間での結論となるが、視覚障害者が設計段階から議論に加わる環境は作ることができ、当事者参加は可能。また、障害理解ができる自治体と間に入る支援者の存在も欠かせない。 O3-2 視覚障害者スキーの現状と課題 -かながわブラインドスキークラブの歩みを通して- ○矢部 健三1)、市川 健太2)、井上 浩一2)、射場 眞行2)、太田 充咲2)、加藤 秀美2)、小平 幸絵2)、志村 好枝2)、清宮 幸子2)、竹内 智樹2) 1)神奈川県総合リハビリテーションセンター七沢自立支援ホーム、2)かながわブラインドスキークラブ 【はじめに】  かながわブラインドスキークラブは、今年結成40周年を迎え、同種の団体として最も長い歴史を持つ。その歩みを振り返り、視覚障害者スキーの現状と課題を報告する。 【方法】  記念誌『声のきずな』、会報『クラブニュース』、総会議案書などを参照した。 【結果】  KBSC結成当初、視覚障害スキーヤーの誘導は、視覚障害関連機関の職員やボランティアが中心だった。しかし、1990年代以降、活動が各種メディアに取り上げられることで、一般のスキー愛好家の協力が増えた。スキーツアーも1992年から年2回の実施が可能となった。  2000年前後他団体が活動を開始した影響で参加者が減少し、スキーツアーも再び年1回に縮小。活動が停滞する時期が続いた。  しかし、視覚障害スキーヤーから複数回のスキーツアー実施を求める声が上がり、2013年より年2回の開催が復活。2015年には結成30周年を記念し、同種の他団体との交流イベントを開催。これを契機に、他団体とツアー情報の共有や晴眼スキーヤーの相互協力など、連携を強化することができた。  2017年には、視覚障害スキー誘導法をまとめたマニュアルを作成したほか、スキーツアーとは別に、晴眼スキーヤーを対象とした雪上研修会の開催を開始。さらに、2020年には動画共有サイトで活用するプロモーションビデオも作成した。  SNSを活用したPR活動やマスメディアへの露出により、晴眼スキーヤーの数が増えたことを背景に、2024年からは年3回のスキーツアーを実施。スキー未経験の視覚障害者の受け入れも積極的に行う体制が整った。 【おわりに】  他団体との交流、マニュアルによる研修体制の整備、積極的なPR活動の成果もあり、過去10年間で会員数は1990年代の規模に回復した。しかし、年齢構成は中高年層に偏っており、活動の持続可能性を確保するためにも、若年層への働きかけが急務である。 O3-3 障害者の災害準備状況:特に視覚障害者に注目して ○北村 弥生 長野保健医療大学 【目的】  本研究では、厚生労働省による令和4年「生活のしづらさなどに関する調査(以下、生活のしづらさ調査)」において初めて採用された「災害に対する準備状況」の①設問の有用性と課題、および②視覚障害者の特徴を明らかにすることを目的とする。 【方法】  生活のしづらさ調査の公開資料(エクセル形式)のうち、「災害に対する準備状況11項目」(問34)の結果(災害準備率)を再集計し、一般市民を対象にした3調査よる災害準備率と比較した。「生活のしづらさ調査」は、全国の自治体を介した標本調査で、有効回答数32,284であった。そのうち障害者手帳所持者数(3障害)は22,044、視覚障害者数961名はであった。 【結果】  ①災害準備率は、「生活のしづらさ調査」の障害者は、先行調査における一般市民2割から4割であった。②「近隣住民による避難支援」という設問は一般市民への調査にはなかった。③65歳以上では、移動だけでなく認知に関わる「持出荷物の準備」「備蓄」の準備率が低かった。④視覚障害者では、他の障害に比べて著しく準備が悪い要素はなかったが、「リスク確認」「避難生活の買置」「防災訓練への参加」は低率であり、「支援者と連絡方法の確保」は高率であった。 【考察】  結果から下の3点が示唆された。第一に、障害者では一般市民よりも災害準備率が低い理由として、(i)防災情報の入手が不十分であること、(ii)障害に応じた準備方法が未開発なこと。視覚障害者では、特に、ハザードマップによる災害リスクの確認、防災訓練への参加、避難生活のための準備に困難があること。②近隣住民による障害者の避難支援の範囲と方法の明確化が必要であること。③高齢期に達する前に災害に対する準備を進めて習慣にすることが有効なこと。 O4-1 視覚障害者の通勤や職場等における支援の実施状況アンケート結果報告 ○吉泉 豊晴 社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合 【目的】  自営等や企業で働く重度障害者等に対して、通勤や職場等における支援として市区町村が行っている「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」(下記:本事業)の実施状況を把握するとともに、実施事例を基に就労支援の効果を考察すること。 【方法】  厚生労働省が公表している令和4年度事業を実施している市町村(32)、政令指定都市、中核市、東京23区の合計137ヶ所の自治体を対象として、2023年9月から10月にアンケート調査票を郵送した。  また、2025年3月以降、日本視覚障害者団体連合の加盟団体(60)の会員の利用状況を調査し、12の事例を収集した。 【結果】  自治体の調査では129件(94.2%)の回答を得た。実施しているが60件、そのうち視覚障害向けに事業を実施している自治体が58件であった。視覚障害者向けに事業を実施していない理由として、「申請が無い」と回答しており、制度周知の必要性が伺えた。  また、自治体が事業を実施していく上で、事業所の確保、財源予算の確保、利用者のニーズの把握に課題があると回答があった。  さらに、収集できた事例では、視覚障害のある自営業者や民間企業に勤めている方々がそれまで、家族に職場まで送り迎えをしてもらっていたが、本事業を利用したことにより家族の負担が軽減されると共に、利用者が安心して就労可能となった例などがあった。 【考察】  本事業は、視覚障害者が安全に通勤・移動でき、書類の代筆・代読、整理等の仕事の効率化につながり、就労支援を促進するための有効な事業であると考えられる。 その一方で、事業を必要としている利用者や支援者を派遣する事業所に対して、事業内容等の周知方法に課題があることがわかった。 【結論】  視覚障害者を含む重度障害者に対する通勤・就労時の支援において、本事業は重要な役割を果たすことができる事業であるため、引き続き、事例収集等をし、公表することで、自治体への事業実施の働きかけを行う必要がある。 O4-2 働く視覚障害者のための柔軟な訓練支援体制の構築ー日本視覚障害者職能開発センターの自立訓練(生活訓練) ○栃木 隆宏、岡﨑 あずさ、海田 展子、藤縄 泰彦、坂田 光子 社会福祉法人 日本視覚障害者職能開発センター 【目的】  視覚障害者の中でも、すでに就労している在職者が職業的スキルや生活能力を維持・向上させるための訓練を受けられる制度は非常に限られている。令和5年4月から開始した本事業では、在職中の視覚障害者を主な対象とし、働きながらでも受けられる自立訓練(生活訓練)を通じて、職業継続や生活の質の向上を支援することを目的とした。 【方法】  令和5年4月@゚和7年3月にかけて、在職中の視覚障害者27名に対して延べ1,334回の個別支援・グループ形式の訓練を実施。対象者は就業時間や時差出勤等を活用し、ICT機器操作(音声読み上げソフト、スマートフォン活用)、通勤ルートの確認、安全な移動支援、職場環境の整備、生活管理等の訓練を受けた。また、必要に応じてオンライン訓練も併用した。・ 【結果】  在職中であっても継続的に訓練を受ける体制を確保できたことにより、訓練参加者は自身の職務継続に必要なスキルや情報機器の活用力を習得・強化することができた。実施期間中、退職に至ったケースはなく、各自が就労を継続しながら日常生活スキルの向上にも取り組む様子が見られた。 【考察】  在職中の視覚障害者にとって、就労と訓練の両立を可能とする支援体制は極めて重要である。従来の職業訓練制度では対応が難しい時間的・内容的なニーズに応えられた点において、自立訓練が代替的な受け皿として有効に機能したと考えられる。特にICT訓練の需要は高く、支援内容の柔軟性が訓練継続の鍵となった。 【結論】  在職中の視覚障害者に対する訓練機会の提供は、就労の継続と生活の安定を支えるうえで大きな意義がある。今後は、自立訓練を制度的にも職業訓練の一環として位置づけるとともに、より多様な就労者に対応できる柔軟な支援体制の構築が求められる。 14 <ポスター発表> 研究発表 【日時】 ①奇数番号 8月30日 (土) 10:50~11:50 ②偶数番号 8月31日 (日) 11:50~12:50 PR-01 凹凸地形における時間的圧迫がロービジョン者の下肢運動および心理反応に与える影響 ○宇野 直士1)、Ping Yeap Loh2) 1)山陽小野田市立山口東京理科大学、2)九州大学大学院芸術工学研究院 【目的】  ロービジョン者の転倒や定位喪失の一因として、行動遂行時に生じる時間的圧迫が挙げられる。本研究では、凹凸地形を想定した空隙回避動作において、時間的圧迫が加わった状況下での下肢動作および心理的反応の特徴を明らかにすることを目的とした。 【方法】  視覚障害を有する14名(43.2±9.1歳)を対象とした。被験者は、高さ30cmの土台から、空隙10cmを隔てて設置された3種類の高さ(15cm、30cm、45cm)の土台へ移動する動作を、各条件3回ずつ実施した。時間的圧迫条件では、シグナル音提示後3秒以内に動作を開始することを求めた。実験前には特性不安(STAIS-5:例「本当はそうたいしたことでもないのに心配しすぎる」等)を、各試技終了後には状態不安(STAIT-5:例「気が動転している」等)を4件法で評価した。さらに、下肢動作の定量的評価のため、モーションキャプチャシステムを用いた三次元動作解析を実施した。 【結果】  実験開始前の特性不安値は13.9±1.8であった。空隙回避後の状態不安値は、時間的圧迫条件下において全体的に高値を示した。特に、15cmの土台へ降段する試技において、時間的圧迫の影響が顕著であった。また下肢運動の分析では、時間的圧迫条件下において動作遂行時間および踏み込み足挙上時の変動係数が上昇する傾向が認められた。 【考察】  本研究により、時間的圧迫がロービジョン者における心理的不安の増大および下肢動作の不安定化に影響を及ぼすことが示された。特に、降段動作時には心理的負荷が高まり、動作時間や下肢動作のばらつきが顕著となった。これらの結果は、視覚制限に加え時間的制約が加わることで、ロービジョン者の転倒リスクが一層高まる可能性を示唆している。今後は、こうした圧迫感を軽減する支援技術や動作訓練のあり方について検討を深める必要がある。 PR-02 新版同行援護従業者養成研修テキストの改善提案 ○関田 巖1)2)、村上 琢磨2)、石川 光英3)2)、河原 佐和子4)2)、山口 規子5)2)、遠藤 律子2)、中澤 由美子6)2)、千葉 康彦7)2) 1)筑波技術大学、2)NPO法人しろがめ、3)東京視覚障害者生活支援センター、4)国立障害者リハビリテーションセンター学院、5)関西盲人ホーム、6)宮城県立視覚支援学校、7)宮城県立視覚支援学校 【目的】  同行援護従業者養成研修のカリキュラムが2025年4月1日より更新され、新版の研修テキスト[1]が刊行され、今後とも改善を図っていく旨が記されている。  NPO法人しろがめでは、当法人の著書等に基づき、2005年3月から養成研修を実施してきた。本稿の目的は、[1]の批判ではなく、より充実した養成研修の実現に向けた改善提案を行うことである。 【方法】  新カリキュラムでの白杖利用者に対する誘導法を研修するにあたり、今年3月16日と20日に検討会を実施した。 【結果と考察】  検討結果に基づき、安全性と安心感の視点で、主な改善提案を示す。以降、同行援護従業者をG、視覚障害者をUと記す。  溝などをまたぐ場面では、重心を前足に移して渡るタイミングを伝えるよりも、重心を後ろ足から両足の中央にゆっくり動かして、Uが自らの方法で片足を前方に移すまで待つことで、Uを引っ張る危険性を減らせるのではないか。そして、この方法を、電車やバスに乗降する際にも応用すべきではないか。  Gが後ろ足を前に移すタイミングとして、Uの「両足」が前方に移るまで待つのではなく、「片足」が前方に着地した段階でGも後ろ足を前方に移すほうがよいのではないか。理由として、UをGの前に位置するような姿勢を避けられ、また、Uが後ろ足を安心して前に出せるようになるからである。そして、この方法を電車やバスの乗降のときにも、応用すべきではないか。  階段の手すりやイスへUの手を導く場合に、Uの「手の甲」を導く方法は、白杖をもっているUの手を導く場合に有効な方法とすべきではないか。  階段の最終段のところでは、Gが「少し前に」足を出してUが最終段に移動しやすくしているが、Uを前に引っ張る恐れがあるため、最終段でもGは「今までの歩幅で」足を出し、「Uが最終段にきちんと移動できるところまで少し前進して止まる」方法がよいのではないか。 【結論】  養成研修の向上に向けて、本稿が一助になれば幸いである。 PR-03 屋内用視覚障がい者誘導路の性能評価:視覚障がい者と晴眼者の比較分析 ○高戸 仁郎1)、植野 英一2)、伊勢 菜摘3)、田内 雅規4) 1)岡山県立大学、2)専門学校穴吹リハビリテーションカレッジ、3)社会福祉法人 幸風会、4)岡山県立大学/モビリティ・ソリューション研究所 【目的】  近年、点字ブロックとは異なる形式の屋内誘導路が利用されている。本研究では、視覚障がい者と晴眼者の比較から、視覚障がい者が屋内誘導路に求める性能を明らかにすることを目的とした。 【方法】  被験者は単独歩行歴10年以上の視覚障がい者12名、および晴眼女性9名とした。誘導路は錦城護謨株式会社製「歩導くんガイドウェイ」と(既存タイプ)、それを加工した2種(全充填タイプ、両端充填タイプ)を用いた。既存タイプは裏面に凹凸加工が施され、足底や白杖で誘導路を検知できる。全充填タイプは裏面全体にソリッドゴムを用い、両端充填タイプは進行歩行提示のため左右端のみソリッドにした。被験者は、ランダムに組み合わせた2種類の誘導路(5m)を手引き歩行後に一対比較で歩きやすさを評価した。各組み合わせ3パターンを4回、計12回実施した。さらに、単独で誘導路を検出・定位後に歩行し、誘導路から片足又は両足逸脱回数を計測した。実験は全員イヤーマフを装着し、全盲者以外はアイマスクを使用した。 【結果】  一対比較の結果、視覚障がい者は両端充填タイプを最も歩きやすいと評価し、有意差も認められた。一方、晴眼者は全充填タイプを最も歩きやすいと評価した。歩行方向定位時間は視覚障がい者・晴眼者ともに両端充填タイプが最短で、既存タイプ、全充填タイプの順となった。誘導路からの逸脱数は両群とも、両端充填タイプで最も少なく、既存タイプ、全充填タイプの順であった。 【考察】  視覚障がい者においては両端充填タイプが主観・客観の両面で優れた歩行性能を示した。一方、晴眼者は客観的評価では両端充填タイプが最も高く、主観的な歩きやすさでは全充填タイプを最も評価しており、誘導路に求める性能に違いが認められた。 【まとめ】  誘導路形状の違いが視覚障がい者の歩行や評価に影響を与えることを明らかにした。視覚障がい者の安全・快適な歩行支援には両端充填タイプが有効であることが示された。 PR-04 ロービジョンでも見やすいスポーツウェア:シミュレーションによる研究 ○馬場 優里菜、佐藤 美咲、座間 愛祐子 東京女子大学 【目的】  ロービジョンでも見やすいスポーツウェアの先行研究は少ない。人工的にロービジョンにした状態で、ウェアと背景のコントラストが着ている人の動作の判別にどのように影響を与えるかを実験的に検討し、必要なコントラストを提供することの重要性を探った。 【方法】  実験刺激は4種類の動きを行う人の3Dアニメーションで、背景と服のコントラストを10,5,2.5%の3段階、合計12種類の動画であった。刺激の大きさは視角6度と24度の2種類を用いた。12名の晴眼の実験参加者は、晴眼、小数視力0.1と0.2、視野狭窄の5度の計4つの視覚状態で、動きの種類の判別と見えやすさの評価を行った。 【結果】  観察者の視力・視野と刺激のコントラストが動きの種類の判別や、見えやすさの評価に影響するかを、被験者内二要因分散分析で検討した。いずれの結果も、視力・視野およびコントラストに主効果が認められ、視力・視野とコントラストの交互作用もみられ、コントラストが高い方が正答率と評価が高かった。 【考察】  視力が低下しても動作の判別は可能だが、見えやすさは低下し、認識に時間がかかる傾向がみられる。視野狭窄で大きさが視覚6度の刺激を見たとき、見えやすさは相対的に評価が高く、動作の判別ができた。そのため動作の核となる部分が視野に入っているときには成績が良いことが伺えた。コントラスト10%では、正答率と見えやすさの評価が高かったことから、ロービジョンに配慮したスポーツウェアには背景との適切なコントラスト確保が重要であることが示唆された。 【結論】  視認性の高いスポーツウェアの実現には、動作の核となる部分を強調しつつ、背景とのコントラストを適切に確保することが重要だと考えられる。今後は、様々なシチュエーションに応じた最適なユニフォームのデザインや動作の視認性を高める要素についてさらに検討し、ロービジョンでも見やすいスポーツウェアの提案に繋げていきたい。 PR-05 視覚障害者のニーズを考慮した交差点空間情報データベースの可能性に関する考察 ○小林 泉輝1)、秋本 敏樹2)、谷田 妙子3) 1)東京都市大学、2)株式会社Ashirase、3)視覚障害者信号機横断プロジェクト 【目的】  視覚障害者の道路横断は非常にリスクが高く横断支援の様々な整備が進んでいる。しかし重要な課題として、例えば音響式信号機の運用状況が的確に周知できていない現状に代表されるように、当事者が横断支援に関する整備状況を把握することが困難な実態が指摘できる。本研究では視覚障害者の移動支援設備マップやナビゲーションの展開を念頭に、現地調査を基本とする交差点空間情報のデータベース構築を目指し、その有効性と適用可能性を考察することを目的とする。 【方法】  交通運用、道路整備といった都市交通計画の観点ならびに視覚障害者のニーズを考慮しながら、データベース項目を当事者参加型で検討した。対象地域は当事者の移動ニーズが高く、長期にわたり整備が進められ多種多様な音響式信号機が導入されている高田馬場周辺を選定した。現地調査では音響式信号機の音響、青要請・青延長・音響要請といった機能種別のほか、エスコートゾーン、歩車道境界段差、誘導用ブロックといった横断支援に関する項目について横断箇所・方向別にデータベース化した。 【結果】  調査対象範囲では120のうち62の横断箇所に音響式信号機が設置されていたが、常時鳴動は極めて少なくボタン操作が必要とされる状況が多く見受けられ、同じ交差点でも視覚障害関連の施設側の横断箇所のみに音響機能が導入されているケースが確認された。そのため目的地までの経路において同じ道路区間であっても、選択する歩道によって音響式信号機の有無が異なることが判明した。 【考察・結論】  信号機の音響機能と関連づけたナビゲーションにおいては、同一の道路区間であっても横断歩道別に運用情報が整備され、当事者の高精度な位置情報と連係させた情報提供が重要と考えられる。現在、AI画像解析により交差点周辺の空間情報を収集するシステムの開発を予定しており、本データベースが今後のモデル精度検証に有効に活用し得ることが確認できた。 PR-06 「しづらさ調査」の調査票のアクセシビリティに関する考察:代筆による回答に着目して ○齋藤 崇志、今橋 久美子、松井 孝子、清水 朋美 国立障害者リハビリテーションセンター 【目的】  生活のしづらさなどに関する調査(しづらさ調査)は、障害者等を対象とした全国世論調査であり、障害者等の生活実態に関する代表性のあるデータの収集を目指している。調査票の読解や回答記入の容易さ、すなわち、調査票のアクセシビリティは、データの代表性を左右する要因のひとつである。本研究ではアクセシビリティを間接的に反映していると考えられる代筆による調査票への回答に着目し、しづらさ調査の調査票におけるアクセシビリティについて検討した。 【方法】  しづらさ調査(令和4年)の二次データ(n=14,079)の中から、19歳以上、かつ、身体障害者手帳を有する者を解析対象者として抽出した。対象者を4群(視覚障害群(V群), 聴覚障害等群(H群), 肢体不自由群(L群), 内部障害群(I群))に分け、各群における調査票への回答方法(本人が記入(本人), 他者が代筆(代筆), 他者が意向を汲み取り代筆(汲取り), 不詳)の内訳を算出した。 【結果】  解析対象者は4085名(平均年齢73.74歳、V群347名,H群448名,L群1439名,I群1851名)であり、回答方法の内訳は、本人,代筆,汲取り,不詳の順番に、65.39%(n=2671), 18.14%(n=741),11.04%(n=451),5.43%(n=222)であった。代筆割合は、V群51.87%, H群17.41%,L群16.12%,I群13.56%であった。 【考察】  V群の代筆割合が最も高かったことから、視覚障害者にとって、しづらさ調査の調査票のアクセシビリティが低い可能性が示唆された。 【結論】  ある集団にとって調査票のアクセシビリティが低い場合、その集団の有効回答割合が低下し、結果的にその集団の特徴がデータから抜け落ちる可能性がある。視覚障害者を念頭におき、しづらさ調査の調査票のアクセシビリティを改善する取り組みの必要性が示唆された。 PR-07 眼球使用困難(PDE)者向けのアクセシビリティ ○能戸 幸恵 みんなで勝ち取る眼球困難フロンティアの会(G-Frontier) 【目的】 眼球使用困難(PDE)者向けのアクセシビリティ 【方法】  令和7年4月18日から5月5日までウェブを用いてPDE者に対してアンケートを行った。 【結果】  回答者は31名、症状は複数回答可で光過敏(羞明)が26名(86.7%)、まぶたの運動障害が12名(40%)、視点移動困難が4名(13.3%)である。  さらに苦手な光として、「強い光」が19名(73.1%)、LEDが17名(65.4%)、「暗闇の中の光」が12名(46.2%)、「動く光」が9名(34.6%)となった。  以上の回答者からPDE者の求めるアクセシビリティとして特徴的な結果が以下の通りであった。   ・ディスプレイの最低輝度を持っと下げて欲しい…14名(48.3%)   ・勝手に動く光をなくしてほしい…15名(62.5%)   ・「プルダウンメニューなど、ポインタを持っていったときに変わる背景色のカラーコントラストの抑制」を求める…11名(45.8%)  また、読書アプリに求める表示方法では以下の結果となった。   ・カラーコントラストを下げる(背景色の選択)」…16名(59.3%)   ・段組表示…9名(33.3%) 【考察】  光過敏者が求める表示方法として、低コントラスト、光の動きの抑制があるのは当然の帰結であるが、未だ読書アプリには採用されていない「段組表示」を求める声が33.3%であったことは見過ごせない。  また、PDE者に苦しい表示は、一般層にとっても刺激が強く、視認性重視のデフォルトの表示方法は疲労感を早く生じさせる可能性がある。 【結論】  現時点では「視差効果を減らす」「ホワイトポイントを下げる」等、OSの設定で対応しきれない部分がある。OSの設定充実のほか、ウェブやアプリ製作者の協力、そしてハード面においても企業の協力が必要であろう。 PR-08 ロービジョン者向けiPhone操作訓練システム「VoiceOverPractice」の開発 ○武地 慈人1)、山下 晃弘1)、松林 勝志1)、小林 一哉2)、石川 充英2) 1)東京工業高等専門学校、2)東京視覚障害者生活支援センター 【目的】  本研究では,視覚障害者がスマートフォン操作時に日常的に直面する操作上の課題を克服し,スマートフォンをより自立的かつ効率的に活用するためのトレーニングアプリケーションを開発することを目的とする. 【方法】  iOSのアクセシビリティ機能である,VoiceOverを利用した文字入力習得の支援を目的としたアプリケーション「VoiceOverPractice」を開発した.実際に利用している入力方式に適応できる設計を行うため,東京視覚障害者生活支援センターを訪問し,ヒアリングを行った結果,標準タイプ入力モードのスプリットタップが最も多く利用されていることが明らかとなった.スプリットタップはトグル入力方式を採用しているため,本研究ではトグル入力における正誤判定機能を実装し,ユーザーが適切に入力できるかをシステム上で評価できるようにした.  また,本アプリケーションの使用評価として,東京都新宿区の東京視覚障害者生活支援センターにおいて1週間,タイピング練習機能に限定して実験・評価を行い,アプリケーションの有効性や操作性に関するフィードバックを収集した. 【結果】  使用実験では,部分的に視力を有する方から課題文字の表示が強調されており見やすい点が高く評価された.また,各行ごとに練習メニューが設けられていることについて,「タップ間隔の把握に役立つ」,「キーボードの配置を理解するのに有効」といった具体的な効果が報告された. 【考察】  使用実験は短期間かつ被験者数が限定的であったため,入力精度や速度の向上といった定量的な訓練効果を評価するには至らなかった.一方で,課題文字の明確な提示や,タップ間隔のガイド機能がユーザーの学習支援に有効であることが示唆された. 【結論】  本研究で開発したアプリケーションは,視覚障害者のスマートフォン操作習得を支援するツールとしての有用性を示すものであり,今後の改良を通じて,より多くのユーザーに適したトレーニング環境を提供する可能性を有している. PR-09 在職者訓練の内容から見えてきた就労中の視覚障害者が必要とするPCスキル ○北神 あきら、中川 文 特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN) 【目的】  SPANが公益財団法人東京しごと財団から受託している在職者訓練のうち、2020年から2024年に実施した44件を分析して就労中の視覚障害者が必要とするPCスキルを明らかにすることにより、より的確な就労支援を行うための指針とすることを目的とする。 【方法】  各訓練の記録から受講者のPC環境、学んだ内容を抽出し、数値的な分析を行った。 【結果】  受講者のPC環境は、OSはWindows10が43件、OfficeはMS365が22件、2016が15件だったほか、GoogleWorkSpaceも5件あった。画面読み上げソフトは、PC-Talker35件、JAWS13件だった。ブラウザは、Edge25件、PDF閲覧ソフトはAdobe27件だった。このほか、Teamsが20件あった。  学んだ内容は、Wordでは、文字・段落書式やページ設定、Excelでは、セルの書式設定、オートフィルターなど基本的なものが多かった。このほか、PowerPoint33件、Outlook30件とMS Office系が多かったが、Adobe33件、Teams19件、Gmail9件は注目に値する。 【考察】  訓練の中心はMS Officeだが、その他のアプリケーションについても一定のニーズがあることが分かった。また、画面読み上げソフトはPC-Talkerが多かったが、JAWSも一定数が使用していた。そして、TeamsやZoomといった通信アプリは増加傾向だったが、これはコロナ禍で在宅勤務やオンラインでの会議などが増えたことが要因の一つと考えられる。 【結論】  就労中の視覚障害者が必要としているPCスキルは多様化してきており、訓練機関にもそれに対応することが求められているが、必ずしもできていないのが現状。今後は、各訓練機関が持つノウハウや教材などの情報を関係者の間で共有していくことが必要だと考える。 PR-10 視覚障害者のICT訓練 ・利用者発信のニーズ対応型の訓練の成果と改善点 ・ ○宮本 賢介、田中 恵津子、古橋 友則 NPO法人 六星 ウイズかじまち 【目的】  通所型生活訓練施設ウイズかじまちでは訓練の85%がICT関連であり、利用者の日常生活にある細かなニーズに一つずつ対応する訓練方式で進めてきた。本研究では過去2年間の対応内容とその成果を分析し、改善点を考察する。 【方法】  半年以上ICT訓練を受けた21名の利用者(59.3±15歳)について、訓練と事例検討会の記録から、ニーズの内容、選択された操作方法、訓練過程の特記事項、ニーズ毎の最終達成度(1.断念、2.支援があれば達成、3.限定的だが単独で達成、4.応用も可)を抽出した。また、本訓練で扱った操作内容と、市販の入門教本の内容を比較した。 【結果】  対象者の機器操作は音声のみ33%, 一部音声48%, 視覚のみ19%であった。頻度の高いニーズはメモ、ネット登録、電話、作表、アクセシビリティー設定、読書、web情報取得であり、個別にあわせた操作方法が選択された。達成度は3が最も多く(43%)、4は35%であった。音声利用の要否で達成度に違いはなかった(F(2, 18)=3.55, p=0.38)。ニーズ別の達成度では「ネット登録」が顕著に低く(1.2)、指導者が代行することが多かった。特記事項には、問題解決が次の動機づけになる、日常で使用頻度が低いと操作を忘れる、階層構造の理解困難、独自のショートカット作成が奏功、等があった。市販教本の内容のうち平均79%の操作は習得済みであったが、訓練中に触れそびれた操作内容も存在した。 【考察】  習得した操作技術は限定的な目的達成の場合も多く、訓練期間終了後の継続的なICT利用を目指すには、単独で参照できるメモの作成、単発で相談対応ができる場所の確保、偏りのない基本操作の技術提供が考えられた。 【結論】  予め教示内容が固定されていないニーズ対応方式の訓練でも一定の効果が確認できたが継続的なICT利用に繋げるためには改善の余地も見つかった。 PR-11 ロービジョン児童生徒の試験におけるタブレット端末やパソコンの利用実態 ○中野 泰志 慶應義塾大学 【目的】  教育のデジタル化が進む中、タブレット端末やパソコン(以下、タブレット等)の試験利用やCBTの導入も進展している。大学入試センターでは合理的配慮としてタブレット等の利用が明記され、全国学力・学習状況調査でもCBTが本格導入されつつあるが、ロービジョンの児童生徒の試験におけるタブレット等の利用実態は明らかでない。そこで、利用状況に関する全国調査を実施した。 【方法】  2024年度にデジタル教材「PDF版拡大図書」を活用した全国の小・中・高校生1,001人(小学生310人、中学生327人、高校生364人)に対してWEB形式のアンケート調査を実施した。なお、本研究は、慶應義塾研究倫理審査委員会の審査を受けた上で実施した。 【結果】  有効回答が779人(小学生236人、中学生233人、高校生310人)から得られた(回収率77.8%)。タブレット等での試験の希望者は395人(50.7%)であったが、実際の利用者は10.8%の84人(小学生12人、中学生23人、高校生49人)であった。利用した試験の種類は、定期試験66.7%、授業内小テスト58.3%、学力テスト32.1%、資格試験6.0%、入学試験3.6%であった。利用したアプリは、UDブラウザ56.0%、Googleフォーム17.9%、ロイロノート9.5%であった。なお、大学入学共通テストでUDブラウザが利用できる実態を知っていた児童生徒は14.9%であった。 【考察】  試験においてタブレット等を希望する児童生徒が多い一方で、実際の利用率は低く、実施しやすい環境整備や制度の普及・啓発に課題が残されていることが示唆された。 【結論】  教科書・教材の閲覧には日常的にタブレット等を利用しているにもかかわらず、試験で利用を希望するケースは半数程度であった。また、実際の試験での利用率は1割程度に留まっており、環境整備や普及・啓発に課題があることがわかった。 PR-12 マウス操作・タイピング不要の選択式プログラミングシステムの開発 ○松本 章代、菅原 研 東北学院大学 【目的】  我々は、2022年度から視覚障害を持つ小学生から高校生を対象としたプログラミングの講座を実施している。その際にはプログラミングシステムとして、我々が独自に開発したものを用いている。画面に表示される命令のブロックの代わりに玩具のブロックに点字・墨字の命令を貼り、それを組み立ててプログラムを作成する仕組みとなっている。しかし、作るプログラムに応じてあらかじめ命令ごとにブロックを用意する必要があるため、講座の参加者が自宅で実習の続きをおこなうことができないなど、柔軟さに欠ける側面がある。そこで我々は、ブロックを必要とせずPCのみで容易にプログラムを作成できるプログラミング環境を構築する。 【方法】  本システムは公開されたウェブサービスであるため、インストール不要で誰でも利用可能である。PC-Talker(スクリーンリーダー)を用いることを前提とし、タッチタイピング未習得の全盲の児童・生徒が操作できるよう、ブロックの替わりにあらかじめ用意された命令リストから選択しテキストボックスにプログラムを入力していく仕組みである。 【結果】  本システムを用いて、音楽の演奏やゲームを題材とした日視連主催のプログラミング講座を実施した。2023年度まで参加者は新宿区にある日本視覚障害者センターまで足を運ぶ必要があったが、2024年度は自宅からもオンラインで参加できるようになった。 【考察】  実際に本システムを利用した講座の受講生によるアンケート結果からは、スクリーンリーダーの利用者と画面拡大の利用者で好まれるUIが異なることが分かった。その対応が今後の課題だと考えられる。 【結論】  マウス操作もタイピングも不要で、プログラムの作成から実行までをPCのみで完結するプログラミングシステムを開発した。プログラミング実習にPC以外のものが不要になったことにより、視覚障害を持つ児童・生徒がプログラミングをおこなう機会を広げられた。 PR-13 視覚障害教育において卒業後を見通した全般的な支援を進めるために ○刀禰 豊 岡山東支援学校 【目的】  視覚障害教育において、就労だけでなく卒業後の生活全体を支援するものとして認識されるようになってきている。ただ、従来の特別支援教育の中で幅広く支援のメニューを提示していくのは限界があることも事実である。ニーズに応じた多様な支援はどのように整備されていくべきかその要素を明らかにしたい。 【方法】  在学中から、卒業後までの状況が把握されている3名の卒業生のライフステージでの対応について実態調査等を通じて状況を整理する。また、現状を含めて意識、思い等を聞き取ることによって、一人一人の抱えている問題を明らかにし、それによって支援の在り方の実情も探っていく。 【結果】  3名の実態から明確になったのは就労面での対応の偏重と余暇や就労面以外での個別の支援に対する不十分さ、支援体制の地域さ福祉サービスの希望との不一致などであった。また、卒業後も学校等の人間関係を維持するとともに、卒業後の多様な人間関係を自分から創り出していくこともできるような支援を個々に展開することは難しいかもしれないが個人的につながりを作って自分の思いを実現している例も見られた。彼らの中では地域での当事者による支援グループとのつながりをしている例もあった。 【考察】  3名のインタビュー等で明らかになってきたキーワードは、「人とのつながり」「自己決定」「自分の思いの実現」等であった。人から決められ、社会に適応することは大切だが、意外に在学中から「自分の思いが生かされる体験が少なかった」との意見があった。在学中、生徒一人一人の考え等を活動の中である程度生かした活動が好かなったという指摘もあった。 【結論】  AFBの「コア・カリキュラム」には余暇等の分野での支援をあげているが、その意味で日本の視覚障害教育での個々のウェルビーリングの視点での支援も必要になってくるように思われる。 PR-14 インクルージョンと視覚障害児童生徒への質の高い支援―イタリアの取り組みから― ○大内 進 星美学園短期大学 【目的】  インクルーシブ教育の進展に伴い、全盲児童生徒が地域の学校に在籍している。しかし、現状では適切な支援がなされにくい。イタリアでは、外部の「視覚障害教育支援センター」(以下「センター」)が、学校と連携して地域の学校に在籍する児童生徒を支えている。わが国での対応改善に資するために「センター」を訪問し、聞き取り調査を行った。 【方法】  イタリア国内3つの「センター」を訪問し、①「センター」の目的、②施設の概要と活動内容、③課題と展望について聞き取り調査した。 【結果】  ①「センター」の目的:通常の学校や教師、保護者への相談支援、情報提供、児童生徒への指導を通じて、インクルージョンを促進するための活動を推進する。②施設の概要と活動内容:現在全国に19の施設がある。異なる視覚障害関連3施設が母体となって設立、視覚障害教育関連の教材・教具、機器、図書等が備えられていた。各センターには、視覚障害教育や福祉に精通したスタッフが常駐し、訪問や来所による指導・相談・支援を行っていた。点字、歩行、弱視保障機器に関する指導にも対応していた。③課題と展望:イタリアの学校には、「支援教師」が加配されているが、視覚障害に関する専門性が低く、「センター」の協力連携が不可欠になっていた。施設間の情報共有の強化が課題だったが、近年ネットワークが形成された。「視覚障害」のみに精通するのではなく、インクルージョンの充実に貢献できる「質」の高い専門スタッフの育成が課題で、それへの対応が検討されていた。 【考察】  通常の学校の努力だけではなく、外部機関である「センター」が積極的に関与していくというイタリアの取り組みは、インクルーシブ教育体制で質の高い支援を可能にする方法の一つだといえる。関係機関の連携という観点からも学ぶところがある。 【結論】  我が国でも外部からの組織的支援が課題となっており。イタリアの取り組みは、大いに参考になる。 PR-15 初心者におけるサウンドテーブルテニスの実践的課題と簡易代用台の検討 ○濱中 良1)、宇野 直士2) 1)京都先端科学大学、2)山陽小野田市立山口東京理科大学 【背景・目的】  近年、共生社会の実現を目指し、教育現場でのパラスポーツ体験が注目されている。視覚制限を伴うゴールボールやフロアバレーボールについては徐々に実践報告が蓄積されつつあるが、サウンドテーブルテニス(STT)に関する報告は限定的であり、初心者が取り組む際に生じる困難や課題は十分に明らかにされていない。また、STT専用台は高額であることが導入上の障壁となっており、通常の卓球台を活用した簡便かつ安価に代用可能な実践方法の検討も求められている。そこで本研究では、晴眼の大学生初心者を対象にSTTを体験的に実施し、実践における困難や教育的効果、さらに代替台の有用性を探索することを目的とした。 【方法】  K大学の男子大学生5名(STT未経験者)を対象に、60分間のSTT実技を実施。前後にアンケート調査を行い、定量・定性的に分析した。分析にはWilcoxonの符号付き順位検定を用い、有意水準は5%とした。また、ホームセンターで入手可能な木材(60cm×3cm、120cm×3cm)を用いて、通常の卓球台に工夫を加えた簡易的なSTT台を作成し、実践での使用感と妥当性を検討した。 【結果】  有意な変化は確認されなかったが、「初心者でもすぐに試合ができそう」(p=0.057)、「安全で怖さをあまり感じない」(p=0.201)などの項目で肯定的な変化傾向が見られた。また、初心者が困難を感じた点として「打感の加減がわからない」「コースの打ち分けができない」「ボールの前後の把握が難しく打つタイミングがわからない」といった声が挙げられた。なお、代用台は60分間の実技を支障なく使用でき、実用性と汎用性が示唆された。 【結論】  本研究により、STT初心者の実践的課題と導入における障壁の一端を明らかにするとともに、簡易に代用可能な導入モデルを提示することができた。 PR-16 美術館等における視覚障害者の美術鑑賞の効果的な支援に関する研究 ○山本 理紗  香川県立視覚支援学校 【目的】  近年ミュージアムにおいて取り組まれている、視覚障害者へむけた取り組みを調査し、視覚障害者が行なっている鑑賞活動を把握することを通して、視覚障害者が美術鑑賞を深める上で効果的な支援の実態を明らかにする。 【方法】 調査1:文献調査  視覚障害教育の実践を多く掲載している視覚障害教育ブックレット(筑波大学附属視覚特別支援学校視覚障害教育ブックレット編集委員会編)記事を対象として情報収集を行い、掲載された情報について分類した。 調査2:インタビュー調査  視覚障害者が参加できる企画を継続して開催している美術館に勤務する学芸員1名を協力者とした。 【結果】  文献調査では、全41件の記事があり、最も多く企画を実施したのは博物館、機関の所在地域は関東地方に集中していた。インタビュー調査では、美術館の実践から見えてきた触ることによる鑑賞についての論が展開した。 【考察】  調査1における武蔵(2012)は、実践において重要視したことの一つとして目的の明確化を挙げている。本研究協力者も、様々な鑑賞方法をくみあわせ、コンセプトを意識した展示キュレーションの重要性について語った。また、H29年学習指導要領においても、配慮事項として、「指導内容の精選」「基礎的・基本的事項の習得」を挙げており(文部科学省、2017)、鑑賞を通して伝えたいこと、それを伝えることに適している方法を選択することが必要と考えられる。 【結論】  学校とミュージアムが積極的に連携事業を行うこと、ミュージアムにおける視覚障害者が美術にアクセスするための支援、五感で美術鑑賞ができる環境構成の必要性が示された。また、視覚障害者自身も、美術館を訪れ、あるとうれしい支援や合理的配慮について発信することが求められていると考えられる。今後、美術鑑賞活動がより活発に行われるよう、それぞれの機関における支援の具体化、視覚障害者とミュージアムの対話などが積極的に行われることが必要である。 PR-17 ロービジョン状態で見る楽譜の見えにくさ ○田中 恵津子、宮本 賢介、古橋 友則 NPO法人 六星 ウイズかじまち 【目的】  娯楽として音楽を楽しむ人口は多い。しかしロービジョンの状態では譜面読みに困難が伴う。これは、視覚リハの分野では取り残された問題の一つとなっているが、情報のデジタル化や操作機器の普及は新たな解決策を探る好機といえる。本研究では、その予備的な研究として、当事者が訴える楽譜の読みにくさの詳細を集め分類することを目的とする。 【方法】  通所型視覚障害生活訓練施設ウイズかじまちの利用者の記録の中から、楽譜読みの困難を訴えたコメントを抜き出し、読みにくさの詳細を分類した。 【結果】  楽譜の読みにくさを訴えた4名が困難を指摘した箇所は、音符玉(小さい)、音符の旗(玉は見えても旗が見えない)、五線(細い)、周囲の記号(#,三連符, dim等/小さい、音符と同時には見えない)、小説区切り(音符棒と見分け難い)、段数(多いと迷子に、次段頭が検出困難)、スペース(不要な空間)、一段の小節数(多い)、視線移動(指揮者と楽譜の行き来困難、音楽にあわせて辿れない)、背景色(反転しないと見えない)であった。楽譜専用のOCRで要素ごとに調整すると、五線幅(=音符玉)、五線の太さ、音符間スペース、一段の小節数、1ページの段数の変更で見やすさが向上した利用者がいた。 【考察】  楽譜も文字読み同様、サイズや線の太さの不足で見えにくさが生まれていた。さらに、要素が多いことと、それぞれに必要な拡大率が異なる特徴は、市販楽譜の単純な拡大コピー(画面拡大)では解決しにくい側面を作っていた。ナビゲーションの課題は、視野狭窄があると特に困難が強く、小節内スペース、段幅、段数、行間といったレイアウトも読みにくさに影響していた。注目対象が増える合奏、合唱となるとさらに困難になった。 【結論】  楽譜の見えにくさには複数の要素がある。サイズの異なる要素がある点、決められたタイミングでナビゲーションを行う必要がある点が関係している可能性がある。 PR-18 ロービジョンの音楽愛好家のための楽譜に関する基礎研究 ○中川 百々果、戸口 菜月、小田 浩一 東京女子大学現代教養学部 【目的】  ロービジョンの音楽愛好家は、楽譜を読む際に困難を抱えている。本研究は、MNREADの読書測定法に類似した手法を適用することで、個々のニーズに適した楽譜の拡大方法を見出すことを目的とする。 【方法】  実験用楽譜として、ハ長調2オクターブ(GからH)の範囲の3小節、24個の8分音符の楽譜を多数作成し、読みやすさが均等になるよう工夫した。0.1 logステップで縮小表示した楽譜を、音符が一つも読めなくなるまで、可能な限り速く正確に演奏させ、演奏時間と誤りを記録した。視力正常かつ初見で演奏できる20名の女子学生が参加した。参加者は、正常視力の他に小数視力0.2、0.1、視野制限2.4度および1.2度で測定を繰り返した。MNREADも合わせて測定し、RA、CPS、MRSを比較した。 【結果】  楽譜のサイズに対する演奏速度は、MNREAD読書機能に類似した二肢関数を示し、RA、CPS、MRSを計算することができた。シミュレートされた低視力条件でのRA、CPS、MRSに関する反復測定ANOVAにおいて統計的に有意な主効果が確認され、視覚障害が楽譜の可読性に大きく影響を与えるという臨床的観察結果を再現した。楽譜のCPSと文字のCPSの間には強い相関が認められた。 【考察】  視覚障害の程度とCPSの間に読書の場合と同じような量的関係が観察できた。本研究の結果はシミュレーションによる低視力を基にしており、実際の楽譜には臨時記号や付点を含む音の長さの違いなど、より多くの要素が含まれているため、さらなる研究が必要である。 【結論】  本研究の結果から、楽譜の可読性に関するCPSが存在し、これを用いることでロービジョンに適した楽譜の拡大率を提供できる可能性が強く示唆された。さらに、MNREAD読書測定は楽譜のCPSを正確に推定できる可能性が高い。 PR-19 MNREAD-Jにおける読書パラメータ推定法の比較:視覚的推定と計算アルゴリズム ○川嶋 英嗣1)、合田 優希2) 1)愛知淑徳大学、2)藤田医科大学病院 【目的】  MNREAD-Jでは文字サイズ別に読書速度を測定し、読書関数に基づいて臨界文字サイズ (CPS) と最大読書速度 (MRS) を推定する。本研究では、評価者によるグラフからの視覚的推定と、自動計算アルゴリズムによる推定との間で、CPSおよびMRSの推定値を比較することを目的とした。 【方法】  矯正視力1.0以上の50名 (平均年齢20.34±0.87歳) を対象に、iPad版MNREAD-Jを用いて読書速度を測定した。得られた読書関数に対して、6名の評価者がCPSとMRSを視覚的に推定した。また、読書曲線の平坦部における1.96 SDに基づく自動計算アルゴリズムにより、同様のパラメータを推定した。推定値の比較には対応のあるt検定を用いた。 【結果】  CPSは、視覚的推定で0.038±0.18 logMAR、計算アルゴリズムで0.068±0.16 logMARであり、両者に有意な差は認められなかった (t(49) = 1.49, p = 0.14)。MRSは視覚的推定で346.2±41.3文字/分、計算アルゴリズムで348.82±42.27文字/分であり、有意差は認められなかった (t(49) = 1.35, p = 0.18)。 【考察】  CPSとMRSの推定値に両手法間で有意な差が認められなかったことから、視覚的推定と計算アルゴリズムは、臨床や研究の場面において目的や状況に応じてそれぞれを使い分けることが可能であると考えられる。今後は評価者の熟練度の影響や、平坦部を有さない読書関数に対する推定法についても検討が必要である。 【結論】  平坦部を有する読書関数においては、MNREAD-JによるCPSおよびMRSの推定において、視覚的推定と計算アルゴリズムの間に有意な差は認められず、いずれも有効な手法として期待される。 PR-20 ロービジョン者向けのアイトラッキングを用いた眼球運動トレーニングシステムの開発 ○辛島 弘規1)、黒木 大地1)、山下 晃弘1)、松林 勝志1)、久保田 真紀2)、石川 充英2) 1)東京工業高等専門学校、2)東京視覚障害者生活支援センター 【目的】  本研究では,特に視野に障害を持つロービジョン者向けの眼球運動訓練システムの開発を目的とする.先行研究では,体系的にトレーニングを行えるようなシステムはほとんど存在せず,また訓練中の眼球運動の様子を可視化して評価する方法も確立されているとは言えない.そこで,カメラを用いたアイトラッキングと,タッチスクリーン端末を用いて,眼球運動トレーニングを体系的に実施できるシステムの実現を目指す. 【方法】  ユーザーは画面上に出現する円形のオブジェクトを目で追い,タッチすることで訓練を進めていく.訓練では,オブジェクトの色,サイズ,背景などを詳細に設定できる機能や訓練モードも複数実装されており,中心視野に困難のある方や周辺視野が狭い方など,多様な症状に対応した個別最適化された訓練が実現できる.  アイトラッキングには,特別な機器を必要とせず,一般的な端末に接続されたWebカメラを用いたアピアランスベースの手法を採用している.これにより,特別な設備を用意せずに,比較的安価かつ簡便にシステムを導入できる点が本システムの大きな利点である. 【結果と考察】  開発したプロトタイプシステムを用いて,東京視覚障害者センターにて実証実験を行い,ロービジョンの方に使用していただき,システムの使用感に関するアンケートを通して定性的な評価を行った.評価では,本システムに対する訓練意欲や継続 した訓練が可能であることが確かめられた一方,キャリブレーション手法や音声に関する課題が明らかになり,改良が必要であることが判明した.今後は,システムの改良に加えスクリーン上の視点位置の取得を目標に開発を継続してゆく. 【結論】  カメラとタッチスクリーン端末を用いた眼球運動トレーニングシステムのプロトタイプを開発し,実際に利用頂く形で実証実験を実施した.システムの使い勝手や今後の改良点についての知見を得ることができた. PR-21 Freiburg Vision Testによるコントラスト感度測定の有用性 の検討 ○山谷 花海、川嶋 英嗣 愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻 【目的】  コントラスト感度は、検出可能な最小の明暗の違いを評価する視機能であり、段差の検出など日常生活において重要である。Freiburg Vision Test(FrACT)は、視力やコントラスト感度を測定できる iPad や PC 上で動作するブラウザベースのソフトウェアである。本研究では、FrACTによるコントラスト感度測定の有用性を検討するために、視覚正常者を対象に、FrACTとMars Letter Contrast Sensitivity Test(Mars test)で測定されるコントラスト感度の比較を行った。 【方法】  矯正視力1.0以上の10名(平均年齢 20.3歳)を対象とした。FrACTは24インチiMac(Apple製)上で使用した。FrACTおよびMars testともに視標にはスローン文字を用い、検査距離は40cm、視標サイズは視角2.5度、視標背景輝度は100cd/m2に設定した。両検査とも所定の手続きに従いコントラスト感度(logCS)を測定した。 【結果】  平均コントラスト感度は、FrACTで1.82 logCS(SD = 0.12)、Mars testで1.78 logCS (SD = 0.05)であった。対応のあるt検定の結果、有意差は認められなかった (t(9) = 1.18, p = 0.27)。 【考察】  本研究の結果は、両検査が実質的に同等のコントラスト感度を測定していることを示唆している。FrACT は PC 画面上で実施できるため、Mars testのように外部照明の影響を考慮する必要がなく、簡便な測定手段として有用であると考えられる。 【結論】  FrACTで測定されたコントラスト感度はMars testと有意な差を示さなかった。FrACTは、Mars testと同様に有用なコントラスト感度測定法の一つとして期待される。 PR-22 視覚障害者に対する視線制御支援における聴覚フィードバックの有効性の検討 ○寒 重之1)2)、仲泊 聡1)2)、横田 聡2) 1)立命館大学総合科学技術研究機構、2)神戸市立神戸アイセンター病院 【目的】  視覚障害者は、見た目の視線(外的視線)と自身が認識している視線(主観的視線)が乖離して、他者とのコミュニケーションに支障をきたすことがある。本研究は、視覚障害者に対する視線制御支援の可能性を探るため、聴覚的手がかりによる視線位置フィードバックを使って外的視線と主観的視線のずれが改善し得るかを検討した。 【方法】  視力0.03以下の視覚障害者12名(女性7名、平均年齢58.6±10.9歳)を対象に、聴覚フィードバックを用いて外的視線と主観的視線を一致させる視線制御訓練をおこなった。視線計測には赤外線視線計測装置を用い、聴覚フィードバックの提示には自作プログラムを用いた。また、訓練の前後に聴覚フィードバックなしで視線のずれを計測した。訓練前、訓練前半、訓練後半、訓練後の視線のずれに対して、対応のある一元配置分散分析と事後検定(Holm法)を実施した。 【結果】  外的視線と主観的視線のずれは、訓練前13.2±6.8°(視角、平均±標準偏差)、訓練前半5.1±5.3°、訓練後半3.2±3.0°、訓練後6.9±3.3°であった。視線ずれの大きさに評価時点間で有意差が認められ(F(3,33)=21.315, p<.001)、訓練前に対し訓練前半(p=.001)、訓練後半(p<.001)、訓練後(p=.049)で有意に減少していた。 【考察】  本研究の結果は、聴覚情報で視覚情報を代替することにより、視覚障害者であっても自己受容感覚を基にして視線制御ができることを示唆している。また、視線制御訓練の効果は、視線のずれを意識し記憶することで、一定程度持続するものと考えられる。 【結論】  本研究は、視覚障害者が聴覚情報を基に自らの視線を制御でき、聴覚フィードバックを用いた視線制御訓練が外的視線と主観的視線の一致を促進する可能性を示した。今後、視線の情報を組み込んだ支援技術への応用が期待される。 PR-23 視力低下がもたらす動作の適応過程:協応動作の変化と訓練効果 ○川角 圭祐1)、高橋 啓介2) 1)愛知淑徳大学大学院心理医療科学研究科視覚科学専修、2)愛知淑徳大学健康医療科学部視覚科学専攻 【目的】  視力低下は視覚情報に基づいて動作を調整する知覚♂^動協応に影響し、日常生活や訓練の遂行に困難をもたらす(Kuyk et al., 2004)。特に視覚的手がかりの曖昧さは空間認知や動作計画を困難とし、協応動作の精度に影響を及ぼす。こうした課題は視覚障害者のリハビリテーション場面において訓練設計や支援方法の工夫が求められる根拠となる。本研究では、模擬的な視力低下環境における知覚♂^動協応の学習過程を明らかにし、リハビリテーション支援の理論的基盤となる知見の獲得を目的とした。縺 【方法】  健常成人9名に+4.0D、+5.0D、+6.0Dのレンズを装用させ視力低下を模擬し、上下反転図形の描写課題(鏡像描写)を実施した。統制条件(+0D)では試行回数は10回、defocus条件では統制条件(+0D)と同等の成績に至るまで反復試行を行い、課題遂行時間と逸脱回数を評価した。 【結果】  すべてのdefocus条件で課題成績は統制条件と比較して有意に低下していた( p < .001)。しかし+4.0D、+5.0Dでは統制条件よりも6回、+6.0Dでは9回の反復試行により、統制条件と同等の成績にまで改善した。 【考察】  視覚的明瞭度の低下は知覚♂^動協応の精度を損なわせる(Wilkins & Wolfe, 1986)。本研究では反復試行により成績が回復し、再連合学習が成立した。+6.0D条件でも改善が見られ、感覚♂^動の対応関係が再構築されたが、他条件より試行数が多かったことから、曖昧な入力下では、動作フィードバックの解釈や選択に過剰な負荷がかかり、学習が遅延したと考えられた。このことは、視覚障害者への支援では単なる繰り返しでなく、負荷を調整した段階的な学習設計が必要であることを示唆する。限られた視覚情報の中でも、操作可能な情報に焦点を当てた支援が学習成立の鍵となる。ク・ 【結論】  視力低下下でも、反復訓練により知覚♂^動協応は改善される。・ PR-24 鹿児島心の健康講座  実践報告Vol. 11 ○良久 万里子1)、田中 桂子2)3) 1)鹿児島県視聴覚障害者情報センター、2)神戸市立神戸アイセンター病院、3)橋村メンタルクリニック 【はじめに】  「鹿児島心の健康講座」は、視覚リハ担当者と心理カウンセラーが協働し、視覚障害者およびその家族、支援者を対象に、メンタルヘルス維持を目的とし、平成24年度から実施している。  ここではVol.10以降の実施分を報告する。 【内容】 1.視覚障害者及び家族の総合的支援  医療機関に繋いだり、講座への参加を促したりしつつ、継続して支援している。 2.支援者対象の講座の実施  「支援者の心のケア」  セルフケアができるようになることを目指し、心のケアについての講義を取り入れた。  「活動する前に知っておいて欲しいこと」  視覚障害者を支援する際に、自身の心身のコントロールのため注意すべきことについての講義を取り入れた。 3.他分野の専門職との連携・協働による視覚障害者・関係者対象の講座の実施  「チャレンジド・ヨガ教室」  日常生活の中に潤いを見いだし、自信が持てるようにするとともに、自身でも心身のケアができるようになることを目指した。 【結果と考察】 <支援者対象>  支援者が自分自身の考え方の傾向を知り、活動する際の留意点を知ることができた。また自身の心身の安定の大切さを理解してもらえた。  活動に入ってからの支援者の心の不調時に、視覚リハ担当者に気楽に相談してもらい、回復に向けての支援をした。 <他分野との連携・協働>  ヨガ教室では、自身の身体状態を把握でき、継続してケアすることの大切さを理解してもらえた。参加時に視覚リハ担当者に気楽に相談できる体制ができたと共に、参加者同士の交流の場にもなった。 【今後の展望】  視覚障害者および関係者が、心身の健康を保ち、その能力を最大限に発揮し、それぞれが心穏やかに豊かに過ごせるような企画を立案していきたい。 PR-25 読書の際に使用する機器の貸出に関する実態調査 ○青木 千帆子1)、石原 純子2)、氏間 和仁3)、清田 公保4)、小林 真1)、坂本 康久5)、仁科 恵美子6)、能美 由希子1)、野口 武悟7)、宮城 愛美1)、山賀 信行8)、山口 和紀9) 1)筑波技術大学、2)井上眼科病院、3)広島大学、4)熊本高等専門学校、5)オーテピア高知声と点字の図書館、6)NPO法人 ICT救助隊、7)専修大学、8) NPO法人 スラッシュ、9)立命館大学 【目的】  読みづらさを抱える方が、気軽に機器を手に取り多様な読書方法にチャレンジできる環境整備を目指し、読書支援機器の貸与に関する実態調査を行った。 【方法】  読書支援機器の所有状況、貸出の有無、未実施の理由、貸出条件、貸出期間、利用者負担、管理方法、破損・紛失対応、貸出文書の有無などを質問項目とした。図書館、医療機関、障害者IT支援団体、福祉用具事業者、開発事業者を対象に、オンライン調査の協力を郵送で依頼し、2024年9・0月に回答を受け付けた。・ 【結果】  1895団体に依頼を送付し、94団体から回答を得た。多くの団体が機器を所有しているが、館外貸出には対応していなかった。理由としては台数不足という回答が多く、管理の難しさを挙げる声もあった。貸出を行っている団体では、サービス利用登録を条件とする場合が多く、福祉・教育機関への団体貸出も見られた。貸出期間は1か月以内が最多で、約8割の団体は費用負担を求めていなかった。負担がある場合も、主に送料にとどまっていた。在庫管理はアナログな手法が多く、周辺機器も含めて記録し、返却時に確認していた。返却時の対応は機器により異なるが、クリーニングが最も多く行われていた。破損・紛失への対応は、故意や過失が明らかな場合には弁償を求める団体が多かった。貸出に関する文書は6割が未整備で、整備している場合は借用規定や借用書であった。 【考察】  館外貸出を実施する団体は少なく、読みづらさを抱える人が機器を試す機会は限られていることが明らかになった。 【結論】  今後の環境整備に向け、貸出実施団体の一覧を作成し、3団体への追加取材を行い、事例として公表した。 ・読書バリアフリーコンソーシアムテクノロジーハブ  https://www.i.tsukuba-tech.ac.jp/techhub/information/information-946/ PR-26 生活訓練(機能訓練等)実施機関の変遷及び実態について ○堀内 恭子 日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター養成部 【目的】  傷痍軍人対策としてリハビリテーショが始まった。1965年には日本ライトハウスに職業・生活訓練センターが設立され、視覚障害者に対するリハビリテーションが開始され、1970年には日本初の歩行訓練士が誕生した。  歩行訓練を始め、コミュニケーション訓練や日常生活動作訓練などの訓練は従来「社会適応訓練」や「生活訓練」と表現していた。障害者総合支援法の制定後は、「自立訓練」の「機能訓練」が同義となっている。  日本において、どれくらいの施設や機関が生活訓練を実施してきたのか、またどのような施設種別があり、経済的基盤で生活訓練を実施しているのかを明らかにすることを目的とする。 【方法】  日本ライトハウスが発行している「視覚リハビリテーション」第29号(1989年6月号)から第99号(2024年6月号)に掲載されている生活訓練実施機関について調べた。  尚、「視覚リハビリテーション」は、「視覚障害研究」「視覚障害リハビリテーション」を改題したものである。 【結果】  生活訓練実施機関数は、最低29機関から最高93機関、平均70.2機関でわずかに減少した年があるものの年々増加傾向にあった。  「視覚リハビリテーション」第99号によると医療機関3機関を含む91機関で生活訓練を実施しており、視聴覚障害者情報提供施設20機関(22%)、指定障害者支援施設20機関(22%)、視覚障害者福祉協会15機関(16.5%)が上位を占めた。経済的基盤は、委託費や寄付金・補助金が78機関(61.4%)、機能訓練や生活訓練等、障害者総合支援法による機関が33機関(26%)であった(重複あり)。 【考察】  生活訓練実施機関は増加傾向にあったが、歩行訓練士の退職に伴い撤退した機関もあった。経済的基盤が委託費等による機関が6割を超えたことから、委託元次第で事業の継続性が左右されることがわかった。 【結論】  今後も生活訓練実施機関の経緯を見守り、生活訓練等の理解啓発に努める必要性を感じた。 PR-27 「人生の意味を探る対話」の技法―医療とケアにおける「言葉」による回復に向けてー ○沖田 京子1)、髙橋 政代2)、仲泊 聡2)、三宅 ・)、和田 浩一2)、山田 千佳子2)、オ 武田 志津1)、半澤 宏子1) 1)株式会社 日立製作所 研究開発グループ、2)公益社団法人 NEXT VISION 【目的】  医療やケアはパーソナルなものでありながら、社会における普遍的な機能でもあり、今回、パーソナルな視点からインクルーシブな医療と社会を実現するために必要な観点を抽出することを試みた。特に、新型コロナパンデミックによる障害者の在宅勤務や暮らしにおいて生じた様々な問題も踏まえ、QoLやウェルビーイングについて掘り下げる。 【方法】  2020年度から年に一度、視覚障害当事者・支援者や医療関係者とともに、計5回の公開型対話イベント:「人生の意味を探る対話」をオンライン開催した。各回で、宗教倫理学者、クラウンドクター、文筆家、落語家、絵本作家、人類学者をゲストに迎え、視覚障害当事者、医療・ケア従事者、研究者が多様な概念やパーソナルなエピソードを対等に語り合った。後日、アンケートなどの記録から意識や行動の変容につながる観点を抽出した。 【結果】  対話イベントには、累計約1000名が参加し、事後アンケート218件を回収した。死生観、利他、医療情報・制度、可笑しみ、東洋思想、認知といった観点に対して、言語化することで言語化できていなかったことに気づきがもたらされ、生きる力や幸福度が向上したという参加者が多かった。一方で、医療や社会に対する課題感も共有された。 【考察】  「人生の意味を探る対話」は、ノンテクニカルスキルとして多くの現場で活用できる枠組である。今後、新たなサービス・テクノロジーを創出する社会イノベーションでの応用につなげていきたい。 15 <ポスター発表> 活動報告 【日時】 ①奇数番号 8月30日 (土) 10:50~11:50 ②偶数番号 8月31日 (日) 11:50~12:50 PA-01 自動車の電動化社会に対応した音で学ぶ交通安全教室 ○斉藤 勇1)、佐藤 諒1)、岡島 喜謙2)、大島 正行3)、本郷 秀治4)、谷田 妙子5) 1)株式会社 オートテクニックジャパン、2)福井県立盲学校、3)栃木県立盲学校、4)横浜市立盲特別支援学校、5)視覚障害者信号機横断プロジェクト 【背景】  自動車の電動化によりエンジン音のない車が増加し、視覚障がい者が車両の接近に気づきにくくなるという新たな歩行の課題が生まれている。  そのため自動車には、歩行者に車両の接近を気付かせるように、車両接近通報音(※1)を発生させることが法規で義務付けられている。  しかし、2023年の自社調査(N=22/5~18歳)では、車両接近通報音の認知度はわずか5%であり、その存在や役割が十分に伝わっていない現状が確認された。 ※1車両接近通報音とは:電気自動車などが低速走行時、歩行者に車両の接近を知らせる音響装置 【目的】  視覚障がい者に対し「音で学ぶ交通安全教室」を実施し、電動車の音を手がかりとした交差点横断を習得する機会を提供することで、安心して交差点を渡れる社会の実現を目指す。 【方法】  屋内および屋外(校舎前や教習所など)で実施できるカリキュラムを用意した。 1.違いを知る:座学にて車両接近通報音の仕組みやエンジン車・電動車の音の違いを解説 2.実体験する:実車を用いた走行音の聴き比べと模擬横断の体験 3.補助技術を活用する:信号横断の課題や安全に渡るためのポイントを踏まえ、篠原電機製の振動する音響補助装置の体験を提供 実施校:栃木県立盲学校、横浜市立盲特別支援学校、福井県立盲学校 実施協力:視覚障害者信号機横断プロジェクト 【結果および考察】  教室の満足度は5段階中4.7であり大変有効である。  参加者の反応には歩行経験により差が見られ、小学生など自立歩行の経験が少ない層からは、音の印象や楽しさに関する感想が多く、  一方で、歩行訓練中または自立歩行を行っている層では、「歩行時に聴こえていた音が電動車と紐づいた」「今後の歩行に役立つ」といった実用的な意見が多く得られた。  本取り組みは、視覚障がい者の安全歩行のための重要な情報であり、盲学校のみならず中途視覚障がい者のリハビリなどにも有効と考える。 PA-02 日本弱視者ネットワーク 移動グループ活動報告 ○飯島 雄、谷田 光一、丸山 央、荻野 哲夫、吉永 円、西畑 佳央里、川島 源樹、荒谷 広和、佐藤 由希恵 日本弱視者ネットワーク 【はじめに】  移動グループは、視覚障害者の移動に関する情報発信や意見交換を行っている。これまでオンラインイベント「移動を語る会」や誌上ブログを通じた情報発信を継続してきた。本報告では、これまでの主な活動について紹介する。 【活動概要】 (1) オンラインイベント「移動を語る会」   2020年以降、年1回オンラインで開催し、視覚障害者の移動に関する意見交換を行っている。他団体にも声がけをし、幅広い参加者を募った。 (2) 誌上ブログ   2020年から2025年までの間に17回掲載。主なテーマとして、以下のような内容を取り上げた。   ・ガイドボランティアさんと一緒に大阪旅行に行ってきました!   ・盲導犬の暑さ対策   ・視覚障害者の安全な空の移動を考える   ・AIスーツケース体験会へ参加して (3) ロービジョンキャスト   2024年、新たな情報発信手段としてYouTubeで「ロービジョンキャスト」を開始。ラジオ形式の動画配信で、視覚障害者の移動に関する情報を発信している。 【考察】  オンラインイベント、誌上ブログ、動画配信といった多様な情報発信手段を活用することで、視覚障害者の移動に関する情報提供の幅が広がった。特に「移動を語る会」は、参加者同士の意見交換の場として機能し、誌上ブログは継続的な情報提供手段として有効である。また、ロービジョンキャストの開始により、SNSを活用した情報発信の可能性も広がった。 【結論】  移動グループは、オンライン・誌上・動画と多様なメディアを活用し、視覚障害者の移動に関する情報発信を続けている。今後も、多くの人に役立つ情報を届けるため、活動を継続・発展させて行く。 PA-03 誰もが安心できる環境の整備「わたしの居場所」 ○山田 千佳子、三宅 =A和田 浩一、和多田 万里子、仲泊 聡・ 公益社団法人 NEXT VISION 【目的】  コロナ禍が落ち着き、人が集う機会が増えている。また、ハイブリッド開催により、より多くの参加可能な環境が整ったが必ずしも参加者本人の満足、発言のしやすさ、こころの安定につながっているとは言えない。発言を否定され、誹謗中傷を受けることで参加意欲が低下することがあり、これはメールやSNSの中でも起こりうることである。そこで、心理的安全性を担保し、活動継続を促す仕組みを検討し、誰もが安心して自己実現できる社会を目指す。 【方法】  絵本作家のヨシタケシンスケ氏が制作した公式キャラクター「テンボー」。この「テンボー」は「新しい展望をつくる場所。新しい展望を見つける場所。」をキャッチフレーズに、神戸アイセンターという建物をキャラクター化したもので、建物の中に並んだ2人の人物が外(未来)を見ている。人物は年齢や性別、病気や障害の有無など関係なく、立場の異なる二人を表している。社会を構成するのは人であり、人と人をつなぐ「対話」が重要だという我々の考え方を表出しており、異なる立場の人々が同じ景色を見る「並話(ヘイワ)」が心理的安全性の高い環境整備に役立つのではないかと考えた。そこで、「並話」を基本にしたあらゆる活動に適用できるルールを作った。  〔平和(へいわ)な並話(ヘイワ)のルール〕    違いに気づき、学び、楽しむこと。自分自身とその場にいるすべての人の価値観やモノの見方を否定せず、静観し、違いを楽しみ、常に学習者でいるという行動規範。    ルールが守られる公共空間は居心地の良い、自己実現できる場所「わたしの居場所」となる。 【考察】  「平和な並話のルール」では、すべての発言が許容されるだけでなく、不快に感じる発言や行動に対してはその場で相手に伝えることができる寛容さも必要であり、お互いに見守りあう姿勢が重要となる。今後もこのルールがもたらす影響や効果を観察し、誰もが自己実現できる社会の醸成に役立てたい。 PA-04 東北地域で視覚障害者を対象にした鉄道利用講習会の活動報告~視覚リハにつなげる~ ○笹山 夕美絵1)、大谷 孝典1)、菅原 美保1)、堀江 智子2) 1)公益財団法人 日本盲導犬協会 仙台訓練センター、2)公益財団法人 日本盲導犬協会 日本盲導犬総合センター 【目的】  仙台訓練センターでは、主に東北6県、新潟県を対象に視覚障害リハビリテーション(以下、視覚リハ)事業を行っている。今回、安心して鉄道利用ができる方法の紹介に加え、まだ白杖を所持していない人や視覚リハの情報がない人にも広く周知し、当協会とつながり、歩行訓練等の様々な内容の視覚リハにつなげることを目的に、視覚障害者の鉄道利用の為の歩行講習会を実施したので報告する。 【方法】  東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR)の全面協力のもと、打ち合せ等を重ね各地域の駅での実施が可能となった。講習会の内容は、切符購入から電車乗降とJR職員の講話、質疑応答で2時間15分。募集方法は当事者団体、眼科、当協会HPや名簿を利用し、募集人数は最大12名。各地域でメディアリリースも行った。 【結果】  2018年度から東北6県主要駅6カ所、計8回延べ人数69名が参加。安全確保の観点から一人の歩行訓練士に対して参加者2名の体制で実施。参加者の内訳はLVが68%、全盲が29%、不明が3%だった。白杖を持っていなかった参加者は当日貸し出し、活用方法を知ったことで申請に繋がった人もいた。参加者の感想として、「白杖の使い方や乗降訓練を教えてくれる施設があると初めて知った」「安心して電車を利用できると思った。」などがあった。 【考察】  参加者の感想からも、外出方法の選択肢が広がり、鉄道利用の安全意識が向上したり、白杖の必要性も具体的に体験する機会が提供できた。鉄道会社は、会社としての取り組みを参加者に示すことができ、視覚障害者の気持ちや要望を聞くことで、鉄道利用時のサポートや駅舎内の環境整備の理解をより深めていた。メディアの活用は、当事者団体に入っていない人にも視覚リハの存在を広める媒体となる。今後、さらに実施駅数を増やし、地元の歩行訓練士とも連携協力して行うことで、多くの人を視覚リハにつなげていきたい。 PA-05 触れて認識するガイドの方法・視覚障害者の安心・安全な移動支援のために ョ ○村上 琢磨1)、関田 巖2)1)、河原 佐和子1)、山口 規子3)1)、石川 充英4)1)、中澤 由美子5)1) 1)NPO法人 しろがめ、2)筑波技術大学、3)関西盲人ホーム、4)東京視覚障害者生活支援センター、5)宮城県立視覚支援学校  視覚障害の方のガイドによる移動支援において、安心して空間を把握しながら通過できるようにするため、我々は「触れて認識するガイドの方法」を実践してきた。  本方法は、1970年の日本初のO&M訓練士養成で学んだ「後ろに回る」方法に加え、晴眼者の行動観察から着想を得て、視覚障害の方が自由手(ガイドに掴まっていない手)で壁や障害物などに触れて方向や距離を把握できるよう支援するものである。  移動の際に「触れること」によって空間を確認できることは、安心感や主体性につながる重要な手がかりとなる。  従来の「後ろに回り込む」誘導方法は、足腰の状態によっては負担が大きく、すべての方に適応できるわけではない。  本方法において特に重要なのは、ガイド者が狭所の直前で立ち止まり、状況を伝えてから、自由手を対象物に導き、触れることで進路を明確にし、安全な通過を可能にする点である。  実際の支援場面では、足腰が弱く後方に回り込めない方に対しても、自由手を対象物に導き、安全に通過することができた。  また、白杖歩行が可能な方からも「安心できた」との声が寄せられた。  対象物に触れる際には手の甲ではなく手の平で触れることで多くの情報が得られることがわかったが、白杖を持つ場合には手の甲の接触も選択肢となる。  同行援護従業者養成研修におけるアイマスク体験では「距離や空間を把握できた」との声もある。  この方法は、移動スキルの有無にかかわらず活用可能であり、触れることに抵抗がある方には、状況に応じた柔軟な対応が求められる。  現在、我々の同行援護従業者養成研修では、既存の教材に加え『ガイドヘルプの基本(第2版)』も補助的に用い、この方法の理解を深める取り組みを行っている。  今後は、講師や教材を通じて普及が進み、多様な移動支援の広がりが期待される。 PA-06 信号機と歩車分離式交差点に関わる課題 ○谷田 妙子、神田 信、佐々木 裕司、佐藤 一人、城谷 直人、森 雅子 視覚障害者信号機横断プロジェクト 【目的】  バリアフリー信号機は各県により、設置が様々なものを採択しており、統一されていない。  都道府県ごとに異なる種類の信号機設置ではなく、用途に合わせた設置とする必要がある。  また、近年では歩車分離式交差点が多くなっていることから、行政、警察と視覚障害者が横断する際の課題を共有し、全国統一して音響式信号機を併設したい。 【方法】  オンラインサロンでの課題共有と各都道府県の視覚障害者福祉協会を主とし、各県の施設団体と統一した内容の要望書を連名で提出する。 【結果】  大阪府、福島県、埼玉県に提出し、大阪府警では、歩車分離式交差点の一覧表を掲載すること、その他、視覚障害者に寄り添ったHPの対応をしてくれた。 【考察】  各都道府県で、主要な組織の連名で要望書を出すことは、県警にとっても重くうけとめてもらえ、対応が速やかになると考えられる。 【結論】  全国47都道府県で同様の要望書を出し、歩車分離式交差点に音響式信号機を設置することを目指す。また、種類の多いバリアフリー信号機の統一も併せて目指す。 PA-07 タートルICTサポートプロジェクト-5年間の活動成果と課題‐ ○山田 尚文、伊藤 裕美、大橋 正彦、神田 信、熊懐 敬、高原 健、松坂 治男、吉泉 豊春 認定NPO法人 視覚障害者の就労を支援する会(タートル) 【目的】  視覚に障害があっても、当たり前に働き続けるために、視覚障害者の就労におけるICTのさまざまな課題に取り組む。 【プロジェクト発足の経緯】  認定NPO法人視覚障碍者の就労を支援する会(通称タートル:以下タートル)は、1995年に発足した視覚障害者の就労支援に特化した当事者団体であり、今年30周年を迎える。  タートルが発足した1995年はWindows95が発売された年であり、それに続くデジタル化の進展は視覚障害者の就労環境を大きく変化させた。業務の多くがパソコン上で処理されるようになり、視覚障害者はスクリーンリーダー(画面読み上げソフト)などの支援ソフトを習得することでさまざまな職場や職種で働けるようになったが、近年のさらなる技術進化により新たな課題も生じている。それゆえに、タートルでは2020年にICTサポートプロジェクトを立ち上げた。 【活動内容】  プロジェクトでは、グループメールやICTサロンなどによる視覚障害当事者のスキル向上を目的とした情報交換に加えて、支援制度や職場の取り組みをテーマにしたイベントの開催、アンケートによる実態調査やポータルサイトでの情報発信など、課題解決に向けたさまざまな取り組みを継続してきた。  プロジェクト発足時に実施したアンケートでは、84.6%の視覚障害者が何らかのICT分野での困りごとを抱えていると回答した。発足5年目を迎えるにあたり、再度アンケートによる実態調査を実施し、発足時の調査と比較・分析することで、近年の就労環境の変化と今後取り組むべき課題について報告する。 【まとめ】  約5年間の活動を通じて、支援制度や職場の理解、業務システムのアクセシビリティなど、様々な課題も見えてきている。今後も、就労におけるICT分野での情報ハブとして関連機関との連携を強化しつつ、視覚障害者のスキルの向上とよりよい就労環境の実現に寄与していきたいと考えている。 PA-08 テキストデイジー・マルチメディアデイジーデータ再生機器・ソフトウェア調査結果報告 ○安山 周平1)2)、神 尚喜1)3)、豊田 祐輔1)4)、松本 一寛1)5) 1)特定非営利活動法人 全国視覚障害者情報提供施設協会、2)堺市立健康福祉プラザ 視覚・聴覚障害者センター、3)視覚障害者生活情報センターぎふ、4)視覚障害者総合支援センターちば、5)日本ライトハウス情報文化センター 【はじめに】  全国視覚障害者情報提供施設協会電子書籍委員会では、2025年度にテキストデイジーおよびマルチメディアデイジー再生機器・ソフトウェア(以下、再生機器類)に関する調査を実施した。2015年度の前回調査以降、インターネットやサピエ(視覚障害者等総合情報ネットワーク)対応機器の普及、電子書籍の国際標準フォーマットEPUB3への対応が進み、再生機器類の状況は大きく変化している。読書バリアフリー法の理念に基づき、読書に困難を抱える人々が適切な機器を選べるよう、現状把握と課題の整理を試みた。 【方法】  本調査は、アンケートと実機検証の2つの方法で実施した。 アンケート調査:8つの企業・団体・個人に対して、全20機種を対象にアンケートを実施した(回答率100%)。 実機検証:国内で利用可能な23機種について、操作性・再生機能・対応フォーマットなどを確認した。 【結果】  前回調査時より、スマートデバイスやPC向けストアアプリが7から14機種に、EPUB3対応機器が3から17機種に増加した。また、実機検証により読書支援現場での製品選定や利用者へ案内を行う上での有用な情報が得られた。 【考察・まとめ】  本調査の結果、技術の進展によりスマートフォンやタブレットに対応したアプリが増加し、専用機器に依存しない読書環境の整備も進んでいることが明らかになった。一方で、一部の機器ではマウスやタッチ操作でしか利用できない機能があるなど、操作性やアクセシビリティに課題があり、視覚障害者にとって使いやすい操作体系の実現は今後の重要な課題である。また、利用者や支援者が各機器の特性や対応フォーマットを正しく理解し、目的に応じて機器や端末を選択できるよう、情報の継続的な整理と共有の仕組みが求められる。本調査結果は、全国視覚障害情報提供施設協会が行うサピエ研修会およびHPで公開予定である。 PA-09 視覚障害者等の人々も読めるアクセシブルな電子書籍の出版に関する研究 ○久保田 文、数又 幸市 日本ライトハウス情報文化センター  読書バリアフリー法に定められた「障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会」の実現には、視覚障害者等が健常者と同じタイミングで、同じ情報を入手できる環境を整える必要がある。  当館では、昨年度、日本デイジーコンソーシアムと協働し、インクルーシブな出版(出版社自身がアクセシブルな電子書籍を発行し、障害者にも健常者にも同じ電子書籍を同じタイミングで提供する出版形態)を促進する事業に着手した。  インクルーシブな出版の条件として ・コンテンツがアクセシブルであること(テキストの音声読み上げ、フォントの拡大、図表等の説明がAltテキストで保障されていること、等)。 ・DRMがアクセシブルである(特定のリーダー以外でも読める)こと。 ・流通サイト(電子書店、及び電子図書館)がアクセシブルであること。 などが挙げられる。  2024年度は、一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)の助成を得て、出版社が発行するEPUBフォーマットの電子書籍(以下、「EPUB書籍」)のアクセシブル化に向けて、以下の事業を行った。 ①EPUB書籍のアクセシブル化に必要なツール類の日本語化と日本語化に伴う改良:国際デイジーコンソーシアムが提供している、EPUB3.3、EPUB Accessibility1.1の検証に必要なツール「エース」を日本国内向けに改良し、メニュー類を日本語翻訳。併せてEPUBアクセシビリティ規格を解説したデータベース「アクセシブル出版ナレッジベース」も、「エース」で摘出されるエラーのカテゴリーを中心に日本語化。企業・団体・個人などの電子出版者が活用できるよう、当館のHPで公開した。 ②EPUB書籍のアクセシブル化マニュアルの作成と公開:日本語化した「エース」および「アクセシブル出版ナレッジベース」の使用方法についてマニュアル化(Web版、EPUB版、PDF版)。①の成果物と共に公開。 PA-10 視覚障害者のiPhone訓練(2)~利用者の満足度と訓練効果の向上を目指して~ ○中津 大介、久保田 真紀、小林一哉、酒井 智子、渡邉 美幸、石川 充英 東京視覚障害者生活支援センター 【目的】  東京視覚障害者生活支援センター(以下当センター)の機能訓練では、2024年4月より、音声教材を用いた集団訓練と、個別訓練を行っている。集団訓練は、支援者の知識・力量に左右されにくく、属人化しない訓練を多くの機会で提供できる。個別訓練では、教材化が難しい個別の状況に対応ができる。昨年は集団訓練を報告したが、今回、個別訓練の工夫を報告する。 【現状】  機能訓練の定員は、一日あたり25名、登録している利用者は40名~50名である。集団訓練では、Voiceoverのジェスチャー、Siri、電話、LINEなどの基本となる操作の習得を行っている。頻度は、1回50分、毎週1~3回、利用者1~3人対支援者1人である。一方、音声教材だけでは対応困難なニーズもあるため、個別訓練で、iPhoneの初期設定を工夫したり、OCR、銀行、乗換案内、SNS、ラジオ、ポイントカード、交通系IC、文字入力の補助シールの作成やBluetoothキーボード、OCRのサポート台の紹介、AIアプリ、ナビアプリなど多岐に渡るアプリの操作方法を行っている。頻度は、2,3週間に1回、50分である。 【考察】  一対一の訓練のみを行っていた時には、ニーズの多さに対して提供頻度が安定せず、習得に影響があった。集団訓練でiPhoneの構造やVoiceoverのジェスチャー習得を教材で繰り返し行うことで基本操作の定着が図られており、個別訓練のアプリの習得がスムーズになっている。また、教材学習の隙間を埋めるように質問対応ができ、効率化が図られている。設定の工夫で、記憶に頼った操作の負担を減らし、利便性と自分でできる自信や自己効力感の向上、繰り返しによる訓練担当者の負担の減少につながっている。  約40名~50名の利用者に対応するためには、個別訓練のみでは対応できない。集団と個別の訓練は相乗効果はあるものの、まだ十分に検証できていないため、今後はさらに両訓練の併用効果を検証し、効果的な訓練提供に繋げていきたい。 PA-11 視覚活用訓練に関するまとめ ○和多田 万里子、原田 敦史、山田 千佳子、仲泊 聡 公益社団法人 NEXT VISION 【目的】  本訓練は、視力が比較的保たれているにもかかわらず視野障害により日常生活で困難を抱える患者に対し、眼球運動と視野活用を通じて安全かつ快適な生活実現を支援することを目的として実施した。 【方法】  2020年12月~2024年12月に神戸アイセンターで実施した訓練に関する121名の記録を、生成AI「Gemini」をエンジンとするNotebookLMRを用いて解析し内容を抽出した。訓練では、まず来談者の状況(視力、視野、疾患名、困りごと)を把握し、眼球運動と視野の確認を行った。その後、眼球運動の練習方法、視野の活用方法、環境調整、補助具の活用など困りごとに対する解決策を提案し、必要に応じて関係機関も紹介した。訓練の主な方法として、眼球を動かして探索する方法や、見える部分・見えない部分の確認、偏心固視、照明等の環境調整による視覚の活用を提示した。 【結果】  訓練により、見落としの減少、安全な移動、文字の読みやすさ向上、精神的安定などの効果が報告された。具体例として、食事の食べ残しが減る、写真の全体像を把握できるようになる、安全に歩行できるようになる、見え方を受け入れ前向きに生活できるようになるなどの事例があった。 【考察】  視覚活用訓練は、残存視覚を最大限に活かし、生活の質向上に寄与する支援策である一方、効果には個人差があり、継続的な意識と具体的な場面を想定した訓練が重要である。また、本人の精神的な安定にも寄与し、自己肯定感の向上、不安の軽減、自己理解の促進、新たな目標設定につながるが、視覚活用訓練は医学的治療ではなく、あくまで見え方を理解するためのものであるため、さらに多角的なアプローチや個人に合わせた評価方法の充実が求められる。 【結論】  視覚活用訓練は、視覚障害者が自信と希望を持って人生を送るための重要な一歩となり、自身の障害と向き合う契機となる。今後は、訓練の効果を定量的に評価する手法を確立し、より個別化された包括的支援を展開する必要がある。 PA-12 65歳以上の方へのロービジョン訓練について ○木村 宏輝 国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局 函館視力障害センター 【目的】  函館視力障害センターにおいて、65歳以上の方へのロービジョン訓練を行った2年間において、その多くがQOLの向上につながるなどの効果が得られたため、その活動について報告する。 【方法】 (1)65歳以上でロービジョン訓練を実施した者:4名 (2)ロービジョン訓練の内容 〇保有視機能の評価 〇視覚補助具の活用方法 〇支援機器等の紹介・操作方法の習得など 〇ご自身の見え方の理解を図り、保有視機能を最大限活用できるよう取り組む。必要に応じて、家族にも見え方が理解できるような支援を実施した。 【結果】 〇優位眼のみで足元を確認し身体バランスを崩していたため、家族等の誘導が必要だった者が、両眼の保有視野を活かし単独移動ができるようになった。 〇片眼の視機能は活用できないと思っていた者が、視機能を保有していることを再認識し、その後、視覚補助具での読み書き、移動に活用ができるようになった。など。 【考察と課題】  結果のとおり、65歳以上の者でもロービジョン訓練を実施することで、QOL向上につながる。それを阻むものとして、高齢者はもう年齢的に訓練は無理と消極的になる心理状況に加え、介護支援専門員等が適切なサービスに繋げられていないなどの要因も挙げられる。  高齢視覚障害者が「当センターの利用に至った経緯」として、眼科病院から情報を得たケースが多く、眼科医や視能訓練士からロービジョンケアを勧めてもらうことで、本人の意識が変化した者も少なくない。また、高齢で目の不自由さを感じている者のうち、身体障害者手帳の取得に至らず、ロービジョンケアができる専門機関の存在を知らない者は多い。高齢者に限らず見えにくさで困っている方が、眼科病院等からロービジョンケアのできる機関を気軽に紹介してもらえるための環境づくり、ツール作成等を行っていく。 PA-13 杏林大学医学部付属杉並病院のロービジョンケア ○新井 千賀子1)2)、尾形 真樹1)2)、中村 翔1)、横田 瑞江1)、石田 友香1)、渡辺 交世1)、北 善幸1) 1)杏林大学医学部付属杉並病院、2)杏林アイセンター 【はじめに】  杏林大学医学部付属杉並病院は杏林大学病院の第二病院で2024年4月に東京都杉並区に開院した。眼科は緑内障、網膜硝子体、糖尿病(眼科/内科合同)、水晶体、ぶどう膜、小児眼科、小児網膜の専門外来があり月2回ロービジョンケア(LVケア)を実施。 【LVケアの体制】  杏林アイセンター(本院)と同様に、主治医がLVケアまで責任を持つ方針をとりLVケア担当医は置いていない。月2回の完全予約制で、視能訓練士1名と本院から視能訓練士1名、視覚障害生活訓練指導員(生活訓練指導員)1名が各1回出向し対応した。LVケア開始時に検眼レンズセット、単一近見視力表、拡大鏡、アムスラー、遮光眼鏡トライアルセット、MNREAD-J(iPad版)を用意した。白杖、拡大読書器(携帯型)については本院より持参した。 【2024年度実施内容】  1年間(21回)の対応件数は79件、患者実数43名、平均年齢66±13歳、疾患は緑内障19名(糖尿病網膜症と合併が9名)糖尿病網膜症10名でこの2疾患で67%となり、糖尿病の合併症疾患が多かった。患者の視力は平均0.5logMAR(少数視力0.3)±0.5logMAR 、視野障害は視野狭窄が45%であった。視能訓練士は光学的ケアを中心に47件、生活訓練指導員は歩行や生活関連の指導を中心に32件を実施。患者43名のうち約50%は複数回ケアが必要であった(2回28%, 3回12%)。障害者手帳はケア開始時に取得済みが33%、該当するが未取得が30%、非該当が19%であった。患者の主なニーズは見え方の改善が60%(羞明の他に白っぽくみえる、眼鏡があっていないなどを含む)、読み書きが51%、移動が30%であった。対応したケアは補装具や眼鏡、白杖選定、歩行訓練などの上記のニーズへの対応の他に障害者手帳取得や福祉サービスの利用の紹介を行い必要に応じて他施設の紹介を実施した。 PA-14 弱視者の見え方・ニーズへの理解促進を目指した3つのツール ○白井 夕子、清水 和久、岡島 喜謙 日本弱視者ネットワーク 【目的】  弱視者の見え方は千差万別であり、自分の見え方やニーズを理解すること、それを周囲に伝えることに困難を伴う。今回は、これらの困難解消の一助とするべく作成した3つのツールについて報告する。 【3つのツール】 1.見え方紹介アプリ  スマホ・タブレット用のアプリケーション。スマホのカメラを通した映像を画像処理し、弱視者の見え方に近い映像を作り出す。ぼやけ・視野狭窄・中心暗転・羞明・夜盲の程度を設定することが可能。これにより、多様な見え方を多くの人が体験できる。 2.私の見え方紹介カード  日本弱視者ネットワークホームページからダウンロードし、デジタル機器や紙に印刷して使用。内容は、「見え方紹介」「視野」「学校・大学」「歩行・移動」「日常生活」「食事」「趣味・余暇」「パソコン・スマホ」の8つのカテゴリーに分かれ、それぞれの場面に合った質問と選択肢が割り振られている。また、コラムや視野に関するイメージ画像も掲載。それぞれの質問に対応した選択肢を選ぶ作業を繰り返し、必要なカードを整理することで、自分だけの説明書が完成する。 3.弱視者生活いろはにほへと  完売した「弱視者いろはカルタ」(弱視者の日常で陥りやすい状況を川柳と絵でユーモラスに表現)の内容を本にしたもの。川柳・解説・絵を見開きで配置し、絵の説明を含めた本全体の内容をQRコードから読み込めるようにした。 【効果と展望】  上記3つを多くの方に利用いただく中で、弱視者が自身の見え方やニーズを把握すること、周囲に見え方や手助けの方法などを伝えることに有効であり、視覚障害者や高齢者支援に関わる方たちの障害理解のツールとして役立つことがわかった。弱視者と支援者双方に対し、見え方への理解を広めるため、ツールを活用していきたい。 PA-15 アプリケーションの共同編集機能を活用した「等可読度チャート」作成教材の開発 ○永井 伸幸 宮城教育大学 【はじめに】  中心暗点のある弱視者と関わる上で、中心窩以外の位置で見ることの理解は重要である。将来視覚障害児者の教育や福祉に携わる者に対する教育においては、このことを学習者に実感させる事が求められる。周辺視でどのくらいの文字拡大が必要かを直感的に理解できるものとして、「等可読度チャート(Anstis, 1974)」がある。今回、アプリケーションの共同編集機能を活用すると、この「等可読度チャート」を作成する演習を行うことができるのではないかと考え、教材開発を行うととした。 【方法】 材料:google社のアプリケーション「googleスライド」とそれを表示する複数のパーソナルコンピュータ(PC)を用いて教材が作成できるようにした。 手続き:PCでgoogleスライドを開きレイアウトを空白にし、スライド中央を中心とする十字線をスライド全体に引いた。続いてスライドの高さを直径とする円とその半分の直径の円を、十字の交点を中心とした同心円となるよう配置した。さらに任意の1文字を入力したテキストボックスを、十字線と円の各交点および中心に設置した。スライドへの編集権を共同学習者(別アカウント)に付与し、リンク情報を提供した。その別アカウントでスライドにアクセスし、作成した同心円が表示できることを確認した。 【結果】  2台のPCで同一スライドを表示し、一方のPCの操作で他方のPCの画面上の任意の位置の文字サイズを変更することができた。このことにより、ペア学習によって、1名が画面中央を注視しながら配置された文字に意識を向け、もう1名がその文字のサイズを調節する演習を行うことができることが確認された。 【今後の課題】  文字サイズ拡大に伴って位置がズレていくことが示されたため、そうした操作中に起きる不具合への対応が必要である。また、具体的な演習課題および手順の作成が必要となる。 PA-16 視覚障害女性のおしゃべり会「アリスの会」の活動報告~個々のLIFEを変える原動力とは? ○吉野 由美子1)2)、澤崎 弘美1)3)、木幡 由美子1)4)、大野 佐由巳1)、山本 明美1) 1)アリスの会、2)視覚障害リハビリテーション協会高齢視覚障害者リハビリテーション事例研究分科会、3)いけがみ眼科整形外科、4)日本弱視者ネットワーク 【目的】  「アリスの会」は、2021年12月、視覚障害者の団体が無い地域で、女性視覚障害者5人のおしゃべり会として始まった。現在約80人の女性視覚障害者と女性支援者が関わっていて、「できないをできるにする」という理念の元に様々な参加形態で活動している。その過程と、活動に参加する中での個々人の変化について報告する。 【活動の経過】 1 最初は月に一度集って、視覚障害になった時の苦しい胸の内などを話し合っていたが、しだいに積極的にそれぞれの経験や情報を交換し合うようになった。すると、「もっと情報を得たい」「ほかの視覚障害者に情報を届けたい」というモチベーションが生まれた。「自分たちでできることを増やすこと」「ひとりで悩んでいる視覚障害者に寄り添い、力になること」が会の目的になった。 2 会の決め事はなるべく作らず、だれも取り残さず、何事もあきらめずにできる方法を考える。それは仲間の多様なニーズに応える対応力をはぐくみ、会に加わる者は次第に増えていった。 3 日常生活の工夫や社会参加のための情報、支援制度や視覚障害リハビリテーションについても知るようになった。それに伴い、新たに障害者手帳を取得する人、訓練を体験する人、盲学校に入学する人などが出て来て、それが他の仲間にも刺激を与えている。また、地域のボランティア団体との交流や、視覚障害者支援イベントでブースを出展するなど地域での活動範囲も広がっていった。 4 「アリスの会」で笑顔を取り戻した人が、みずから寄り添い励ます側になっていくという好循環が生まれている。 【考察】  女性の会として始まったこと、決まりごとの無いことが、会の広がりを支えた。中でも、女性特有の共感力や生活者としての力は無視できない要素と考える。  活動は多方面に広がり続けて、現在、男性の相談も受けるようになっている。そのような変化についても今後報告していきたい。 PA-17 第七回ロービジョン・ブラインド川柳コンクール開催報告と記念日制定の報告 ○神田 信1)、青山 ゆう子2)、北村 紀子1)、中村 成美2) 1)株式会社 パリミキ、2)株式会社 パリミキホールディングス 【開催目的】  視覚障害当事者だけでなく、それぞれの立場から、川柳を通して視覚障害を表現し、互いの理解と愉(たのしみ)を提供。また、広く一般に視覚障害についての理解を促し、啓発する。 【開催概要】  募集期間:2024年12月1日~2025年1月31日  募集部門:(1)見えにくさを感じている方部門:ロービジョン・ブラインド・色覚障害・盲ろう等の当事者       (2)メディカル・トレーナー部門:医療関係者、訓練施設職員等       (3)サポーター部門:家族、友人、職場関係者、ヘルパー、一般等  募集方法:特設サイトの専用フォームより応募する形式  後援:NEXT VISION 日本眼科医会の他、厚生労働省が加わった。  協力団体:視覚障害リハビリテーション協会、日本視能訓練士協会、日本歩行訓練士会を始め、今回より全国盲学校長会等17団体にも新たに加わってもらった。また、その他にも、多くの団体・個人に協力をいただいた。  応募総数4,004作品の内、サポーター部門が2,163作品と半数を上回り、メディカル・トレーナー部門も136作品が集まり、いずれも過去最高の応募数となった。  これまで最優秀賞はすべて見えにくさを感じている方部門の方が受賞してきたが、今回、初めてサポーター部門の方が受賞する他、すべての部門から選ばれるNEXT VISION賞、日本眼科医会賞もサポーター部門からの受賞となった。回を重ねるごとにコンクールが一般の方に浸透して行った結果と考えられる。  また、3月28日、29日、30日を「見えない・見えにくい人と共生社会を考える3日間」としてロービジョン・ブラインド川柳コンクールの協力団体や関連する個人の有志の方々と共に日本記念日協会を通じて制定した。是非この3日間を多くの団体、個人に活用していただき、まだまだ知られていない視覚障害や視覚障害者についての情報や活動を、一般の方やマスコミ等にアピールし、人的・物的環境整備につなげたい。 PA-18 視覚障害リハビリテーションとレクリエーション 余暇活動分科会 活動報告 ○石川 佳子1)2)、岩村 亜紀1)、岡島 喜謙1)3)、和多田 万里子1)4) 1)視覚障害リハビリテーション協会 余暇活動分科会、2)京都府視覚障害者協会、3)福井県立盲学校、4)公益社団法人 NEXT VISION 【目的】  視覚障害者の余暇活動に必要な支援やその効果について情報を整理し、視覚障害リハビリテーションの促進とQOL(生活の質)の向上を目指す。 【方法】  見えない・見えにくい方を対象に、余暇活動に関するアンケート調査を実施。 【実施期間】  2025年4月10日~5月10日 【結果】  回答者数:129名(先天:43名、中途:86名)  以下は主な回答の一部である。  読書:デイジー81 点字30 電子書籍34 一般書籍29  音楽:鑑賞106 コンサート80 歌う45 楽器演奏44  コミュニケーション:実際に会って話す121、オンライン81、SNS39  旅行:鉄道60 名所旧跡61 温泉70  食事:食べる116、作る41 飲酒66  スポーツ:視覚障害者対象61 一般(観戦含む)78  映画:映画館・テレビ73 シネマデイジー35  散策:自然散策68 近所72  娯楽:ラジオ76 テレビ64 ネット動画74  買い物:実店舗110 ネット68  芸術:美術館博物館59 写真29 手芸17 陶芸16 【考察】  視覚障害に特化した活動に限らず、多くの方が自分の「好きなレクリエーション」に積極的に挑戦していることがわかった。一方で、現在取り組んでいる活動と「やりたいができない」とされる活動に重複が見られることから、必要な情報や工夫を得るためのスキルが十分でない可能性がある。  また、食事や外出、一般書籍、テレビ、動画など、視覚的な困難が伴う場面においても、レクリエーションを通じて楽しみや充実感を得ている方が多く見受けられた。  これらの結果から、早期のケアの重要性と、視覚リハを通じたスキル獲得が、レクリエーションの選択肢を広げ、QOLの向上につながると考えられる。 PA-19 JRPS高知支部女子会の活動とルミエールサロンの関わりについての報告 ○中川 理紗1)、金平 景介1)、日浦 胡桃1)、安芸 久美子2) 1)高知県身体障害者連合会ルミエールサロン、2)JRPS高知支部女子会 【概要】  2023年6月に「JRPS高知支部女子会(以下女子会)」が発足した。女子会では「一人では難しいことも、仲間となら楽しく取り組める」という思いを大切にしながら、音楽療法や調理、千羽鶴の寄贈など多彩な活動を行っている。これらの活動を通じて、視覚リハへつながるケースも増えている。本発表では、女子会の活動報告と視覚障害者向け機器展示室ルミエールサロン(視覚リハ訓練施設)(以下ルミエールサロン)との関わり方を報告する。 【発足経緯】  ルミエールサロンでは、2009年頃からICT訓練を受けた利用者の交流の場として、「PCフレンズ」というサークルを運営している。このサークルでは、月に2回、Skype(現Terms)を使ったグループ通話や、日々の出来事をメールで報告しあうといった活動が行われている。コロナ禍で外出が難しかった時期も当事者同士の繋がりの場として活動が続いていた。2023年6月から一部のメンバーから「実際に集まって交流したい」という声が高まり「JRPS高知支部女子会」が発足した。 【活動内容】  女子会の活動は月に1度の頻度で行われている。内容はメンバーの話し合いによって決まり、会場の予約や講師の手配、参加費の収集、バスの手配等、活動に必要な手続きは自分たちで行っている。訓練士の参集の養成があった場合、内容を鑑みて各種訓練の体験や講義を行っており、個別訓練につながるケースもある。 【考察・結論】  年齢や見え方が異なる女子部のメンバー同志、ピアカウンセリングのような場になることもすくなくない。おしゃべりの中から視覚リハを受けることなど進められたり、苦手だったICTにチャレンジしたりする参加者もいる。ルミエールサロンとして、自立した活動を見守りつつ、過度な関わりをせずに、参加した方の自立に向けたツールの一つとして、関わり方を続けていきたい。 PA-20 本人からのSOSを通じて訓練利用・生活の安定につながった先天性視覚障害者の一事例 ○平岩 みなみ、内記 郁 七沢自立支援ホーム 【はじめに】  家庭環境の難しさから十分な義務教育や生活が送られず、本人のSOSにより訓練利用につながった先天性視覚障害者の事例を報告する。 【プロフィール】  20代女性。網膜芽細胞腫により両眼義眼。盲学校高等部普通科卒業。卒業後は生活介護事業所に通所。義眼洗浄を含め、身辺処理は可能。毎日の服薬あり。自由に使える金銭はない。 【経過】  養育に課題のある家庭で、食生活や登校時間もまばら、公共インフラも度々停止し、本人の年金をあてにした生活だった。相談支援と成年後見人が介入。介入当初は本人からの発信も少なく、支援が難しい状況が続いていた。関わりの中で「お腹がすいている」「(安全に暮らせる施設を)利用したい」とあり、有期限で他施設へ入所。その後、基本的な生活技術と社会性獲得、今後の方針決定を目的に当施設入所となる。  訓練では、スマートフォン、点字、日常生活動作、歩行などを実施。初期では、生活に慣れたいとのニーズがメインだったが、徐々に、スマホや電子レンジを使えるようになりたい等、詳細なニーズが出るようになる。また、週1回担当との面談を実施し、関係性の構築を図った。心配事の相談の他、時間の意識や他者との関わり方、金銭管理の助言等を行った。 【結果】  家庭環境から社会性・経験に乏しく、自己決定の経験も少ない印象だったが、当施設での生活や訓練を通して自己発信の方法を学んだ。洗濯や金銭管理等、多岐にわたり体験したことで単独でできることも増えた。服薬も1週間分の自己管理が可能となる。  入所時は自宅への退所を希望していたが、1年間の訓練成果の発揮場所として、グループホーム入居へ自ら方針を変更。就労支援B型へ通所となる。発信はゆっくりで断片的であるが、投げかけの工夫や焦らない会話でやり取りが増える。各関係者の介入と訓練利用で退所後の安定した生活につながり、緊急的な入所だったが、訓練が効果的な事例であったと考える。 PA-21 中高生と取り組むバリアフリー映画制作体験WSの実践報告 ~地域との連携と理解の促進~ ○南 奈々1)、梅﨑 智香1)2)、森 きみ子2)、重松 恵理子2)3)、松本 昌代2)、大歯 雄二2) 1)たかだ電動機(株)視覚障害者支援部てんとうむし、2)みないろ会、3)ひとてまシネマ 【目的】  視覚障害者をはじめとする情報アクセシビリティの保障において、バリアフリー映画の普及は重要な役割を果たしている。みないろ会(みんなでいろんな映画が見たいからバリアフリー映画をつくる会)ではこれまで、障がいのある人もない人も映画を通して交流し、つながることのできる環境づくりを目指し、バリアフリー映画制作や上映会の開催等の活動を行ってきた。本報告では、地域と連携し、地元中学校・高校等を対象として実施したワークショップの概要と成果を紹介する。 【方法】  令和6年度に鹿島・太良広域連携SDGs推進協議会(チームかしたら)主催で、県内の中学校・高校、一般のボランティア等を対象に、全3回のワークショップを開催した。参加者は、目が見えなくても映画を楽しむための方法を知り、バリアフリー映画についての概要や音声ガイドの役割を学び、音声ガイド制作体験、実際の台本を使った脚本づくりを通じて、バリアフリー映画の制作プロセスを学んだ。 【結果】  3回のワークショップでは、のべ80名の参加があった。ワークショップでは、音声ガイドの役割を知り、より情景が伝わる言葉を探して、参加した中高生等が自ら音声ガイド付きの短編映像作品を完成させた。参加者からは「初めて視覚障害の方の視点を知った」「場面場面でいろいろな表現があることがわかった」「ディスクライバーという仕事があることを初めて知った」等といった声が寄せられた。また、講師として参加したみないろ会メンバーにとっても、いろいろな感性の言葉選びを知りとても有意義であった。 【考察・結論】  若年層を対象としたバリアフリー映画制作ワークショップは、視覚障害理解の促進と、地域におけるアクセシビリティの意識向上に有効であると考えられる。今後は、より多くの教育機関との連携や、制作作品の地域上映等を通じた発信を検討している。 PA-22 活動報告:特に「眼球使用困難症候群」を有する当事者への支援と活動効果の検証 ○荒川 和子、若倉 雅登、岡野 直美、青木 万里 NPO法人 目と心の健康相談室 【背景】  目と心の健康相談室は、2015年4月に東京都町田市で発足し、非営利活動法人として目と心の不調に悩む方々を支援してきた。当室は、眼科専門の医師と看護師などが相談に当たり、全国から延べ800名近くの利用者を受け入れてきたが、約半数は眼球自体に異常はないのに、眼症状を持つ「眼球使用困難症候群」(以下本症)の方々である。 【目的】  本症に対するサートプログラムを紹介し、その活動と成果を検証すること 【方法】  当室では、本症の支援室を併設して身体的・心理的不調に対する支援を包括的なアプローチにより医師と共に行っている。また、令和3年から厚生労働省 障害者総合福祉推進事業や令和6年の厚労科学研究班の依頼で研究補助業務も行った。また、年に1度の無料講演会、相談員を育てる講座などの啓発活動も行ってきた。これらについて、2019年から2024年までの5年間の相談者記録を集計、分析した。 【結果】  5年間相談者数は489名で289名が本症だった。彼らは、特定の眼疾患がないにもかかわらず、光過敏、目の痛み、頭痛、開瞼困難などの症状を持ち、日常生活に著しい不都合を生じていた。そこで、4つのサポートプログラム(医療、心理、生活、社会・公的支援)を実践した。当事者の満足度調査は行っていないが相談できる場所があるということの満足は多く聞かれた。当事者共通の悩みは、本症が難治であり、かつ一般人に理解されにくく、必要な支援が得られにくいことであった。 【考察】  サポートプログラムは相談者個々に与えた効果はあっても今後より定量的に評価し、その成果を持続的に追跡することが今後の課題である。また、本症への理解を深めるための活動や、全国支援ネットワークの構築が、今後必要と考える。 【結論】  目と心の健康相談室での支援活動は、本症の理解と対策に重要な役割を果たしており、継続的な活動が求められる。 PA-23 見え方チェックシートを使った近用眼鏡の合わせ方 ○鈴木 理子1)2)3)、小田 浩一4)1) 1)東京ライトハウス、2)堀切眼科、3)こさか眼科、4)東京女子大学 【はじめに】  遠近両用コンタクトレンズの見え方チェックシートを用い、患者の希望距離で近用眼鏡を選定する活動について報告し、ロービジョンへの応用について考察する。 【方法】  5mの距離で視力検査を行い、片眼ずつ完全矯正のレンズを両眼開放で装用する。左右のバランスを調整し、患者が最も楽にかけられるレンズを選択する。次に、遠近両用コンタクトレンズの見え方チェックシート(メニコン)を使用しながら日常生活や活動において「何をどのくらいの距離で見たいか」を具体的に聞き出す。見え方チェックシートには新聞、雑誌、レシート、辞書、成分表、ゴルフのスコアシート、楽譜、子どもの宿題など、いわゆる読書距離だけでなくやや中距離の読み材料も載っている。患者が希望する視距離に基づき、必要な加入度数を算出する。 加入度数 (D)=1/希望距離 (m) 遠見の度数にプラスして、算出した加入度数を左右均等に加えつつ患者の装用感や見え方を確認しながら微調整し、最も見やすく楽にかけられる近用レンズを決定する。 そのレンズで希望距離での視力を測定し装用テストを行う。 【考察】  教科書的な方法では、近用眼鏡を合わせる際は遠見での測定につづいて30cmの距離で近方視力を測定、左右それぞれ遠見の度数に3.00D加入してからベストの視力を決定し、加入度数に左右差がないか確認する。最後に患者の希望距離で加入し直して近用眼鏡度数を決定する。対して、本検査方法は、遠見で合わせた度数から患者の希望距離で加入度数を決めてその距離での視力を測るので検査時間が短縮され、患者の満足度が高いように思われる。ロービジョンでは眼鏡選定は困難で検査時間が長くなりやすく、簡便化は有益なはずである。遠近両用コンタクトレンズの見え方チェックシートは一般のクリニックでも入手しやすく、ロービジョン・ケアで効果的と考えられる。 PA-24 ブラインドメンターによる表現・コミュニケーション能力向上プログラムの実践 ○船戸 輝久1)、岡田 太丞1)2)、石川 佳子1)3) 1)YMCAきらり☆ことばプラス(公益財団法人 大阪YMCA)、2)視覚障害者就労相談人材バンク、3)社会福祉法人 京都ライトハウス 【はじめに】  ブラインドメンターとは、表現・コミュニケーション能力の向上を図る視覚障がい者のファシリテーターである。参加型研修を通して、表現・コミュニケーション力の向上を推進する役割を担う。 【目的】  視覚障がい者が社会的価値を創造する存在として認識されることを促し、視覚障がいの課題である就労の機会やサポートについて改善を図る。 【方法】  YMCAきらり☆ことばプラスプロジェクトを創設し、以下に取り組む。 1.ブラインドメンター養成講座:視覚障がい者がブラインドメンターになるためのスキルを学ぶ講座の開講。表現・コミュニケーションの実践的訓練(全6日間30時間コース) 2.表現・コミュニケーション研修:ブラインドメンターとなった視覚障がい者が企業、学校等で研修を実施 3.ボランティア活動の推進:活動をサポートするためのボランティア養成を行い、視覚障がい者と晴眼者が理解を深め、学び合う活動を展開 ブラインドメンター及びその名称によって提供されるサービスは公益財団法人YMCAと岡田太丞の商標である。 【結果】  2024年度ブラインドメンター養成講座:修了者10名。研修実績(2024~2025年):5月現在参加者総数 172名。朝日放送テレビアナウンサー研修・株式会社赤ちゃん本舗社内研修・大阪YMCA 国際専門学校高等課程など。ボランティア参加(2024年度):総参加者33名(のべ86名) 【考察】  企業や学校等において、参加者の発想力・想像力・思考力・表現力を高め、コミュニケーションがより豊かになる機会を提供できた。晴眼者が擬似的に見えないワークも行うことで、メンターや参加メンバーそれぞれの豊かなパーソナリティに触れ、相互に尊敬する心を涵養する機会を提案できた。今後、多様な参加者ニーズに合わせたセミナー内容の拡充と全国でのセミナー実施を目指し、視覚障がい者の就労機会の獲得に取り組む。 PA-25 就労を継続しながら入所で訓練を行った一例 ○鈴木 絵理、小野 正樹、角石 咲子、矢部 健三 神奈川県総合リハビリテーションセンター 七沢自立支援ホーム 【はじめに】  七沢自立支援ホームでは、入所・通所・訪問の形態で機能訓練を提供している。就労を継続しながら訓練を受ける場合、通所での利用が一般である。今回は就労中、入所で訓練を行った事例を報告する。 【事例】  50代男性 緑内障により障害等級1級。  車関連会社の障害者雇用にて、週1~2回の出勤と在宅ワーク勤務。出勤時は、家族や社員の送迎にて移動。在宅ワークはWeb会議システムで会議等に参加。家族や社員が代わりに文字入力をするなどPC操作支援をしていた。タイピング等PC操作を目的に利用となる。 【経過】  週1回、妻の送迎にて通所で利用開始。しかし、週1回では訓練が思うように進まず、復習環境が整わないこともあり習得に時間を要すこと、訓練数が限られるため全般的な訓練がうけられないこと等の理由により、入所希望となる。  職場との調整により、出勤は月に数回、訓練に支障のない範囲でオンラインでの会議等に参加しながら就労を継続しての入所となる。オンライン会議は、社用のPCとモバイルWi-Fiを使用。職場とは、メールや本人を介してスケジュールを共有し、勤務や訓練を調整した。 【結果と考察】  入所となり訓練時間や自習環境の確保が可能となった。職場の環境や支援機器について、担当者と連絡を取りながら情報交換。実際に職場にて、環境確認と歩行訓練を行い、社員へ誘導歩行や支援について説明をした。  入所のため本人の現状を把握しやすく、訓練進度を職場と情報共有しながら職場での支援体制を整えることが出来た。また通所では仕事に関わるPCやスマートフォン操作など限られた訓練のみ習得になることが多い。入所では訓練時間の確保が出来るため、生活面での家事動作など全般的な訓練が可能となった。  今回は在宅ワークがメインであり、職場への出勤が限られていたことから実現できた事例ではあるが、就労を継続しながら入所で訓練を行うことで得られるものは多いと確認できた。 PA-26 視覚に依存しないボードゲーム『グラマ』を用いた視覚障害者の就労の可能性 ○小寺 佑花、岡本 明、加藤 俊和、金井 政紀、辻 拓也、仲泊 聡、中村 透 日本視覚障害者職能開発センター 【はじめに】  日本視覚障害者職能開発センターでは、就労移行支援のほか、就労継続支援B型として音声の文字起こし事業を行っている。しかしAI技術の進化等に伴い、受注の件数は減少傾向にあり、新たな事業の検討が必要になった。今回は新事業の一つである、グラマを用いた企業研修に関して報告を行う。 【概要】  グラマは一般社団法人ビーラインドプロジェクトが開発した「見ても見なくても見えなくても楽しめるボードゲーム」である。重さの感覚と対話を中心としたゲーム性を有しており、視覚障害者と晴眼者が同一のゲームを同一のルールのもと囲むことができる。該当のゲーム性から、障害の有無に関わらずコミュニケーションを通して相互理解を深める、一種の「ダイバーシティ&インクルージョン」の推進を促すことができるものとして、企業研修に導入しようとしたのが今回の発端である。  グラマを用いた企業研修に関しては、企業研修関連を担当している株式会社HEART QUAKE、グラマを開発した一般社団法人ビーラインドプロジェクト、当センターの3本柱で取り組んでいる。企業研修が必要な企業や団体に対して、当センター就労継続支援B型にて仕事をされている方を講師として派遣し賃金を貰うシステムになっている。 【現状】  現在はまだ依頼の量が少なく、積極的に広報活動も行えていないため、受注の件数はそう多くない。東京法務局人権擁護部より受託し、原宿外苑中学校にて行われている『原リンピック』に二度出展を行った他、2・3社、研修を行うことができそうな話は進んでいるが、具体化はしていない。 【今後に関して】  「ダイバーシティ&インクルージョン」の概念は広がりつつあるが、実際の体験として学べる機会はまだ多くない。また、ゲーム性の高い研修も同様にまだ数が少ないと思われるが、今後のニーズは十分に見込まれるものであると考える。視覚障害に関する理解や啓発を深めるためにも、当該事業が一助となれれば幸いである。 PA-27 能登半島地震の地震発生時アンケート調査報告 ○原田 敦史、岡本 明、加藤 俊和、金井 政紀、棚橋 公郎、辻 拓也、仲泊 聡、中村 透 社会福祉法人 日本盲人福祉委員会 【目的】  社会福祉法人 日本盲人福祉委員会(以下、日盲委)では、大きな災害が発生するたびに対策本部を設け支援を実施してきた。2024年1月1日に発生した能登半島地震では現地支援を行ったが、今回改めて被害の大きかった6市町の視覚障害手帳者所持のうち約7割の方々に対して地震発生直後の行動や他からの支援状況についてアンケート調査を行うことができたため報告する。 【方法】  アンケート(拡大文字版・点字版)を自宅に送付し、Googleフォームまたは用紙に回答を記入後、返信してもらう形で実施した。  アンケート期間 2025年1月22日~2月15日 アンケート送付数 204件  回答数 125件 回答率61.3パーセント 【結果】  回答者は60~90代で85%を占め、手帳等級は1.2級所持者が64.5%であった。発災時の状況については、地震後の行先を聞いたが、37.5%が避難所、避難所ではないが安全なところに避難したが19.6%と半数以上が避難をしていた。避難所への移動は家族とした方が最も多かったが、13.1%が近隣の人と避難をしていた。避難所での困りごとも聞いているが、①トイレの利用、②移動困難、③情報収集の困難があげられ、この問題点は従来から改善できていないことが明らかとなった。また支援状況については60%が近隣からの声掛けがあったと回答したが、行政や障害者団体から支援があったと回答した者は約30%であった。 【考察】  震災直後の現地支援では、13名の方と接触をできただけであった。今回の調査で発災後は避難所に行った方、行ったものの困った方が多く、十分な支援を行えたといえない状況が明らかとなった。現地支援の際に、地元行政が支援を行うという話もあったが、十分な対応ができていなかったことも明らかとなった。日盲委は視覚障害者に特化した災害支援の実績があるため、今後は災害が発生する前に地元団体と連携し、被災地の行政と支援を行う体制を整えられるように準備をしていく必要がある。 PA-28 埼玉県眼科医会の大規模災害対策(能登半島地震での視覚障害者支援に学ぶ) ○蒔田 潤1)2)、竹内 智一1)3)、江口 万祐子1)4)、高野 俊之1)5) 1)埼玉県眼科医会、2)埼玉医科大学眼科、3)竹内眼科、4)武蔵浦和眼科クリニック、5)たかの眼科 【目的】  埼玉県眼科医会(県眼科医会)が令和6年以降に取り組んだ大規模災害発生を想定した視覚障害者支援対策について報告する。 【背景】  視覚障害者が被災した場合、自宅避難か避難所かという避難形式の決定、避難所への移動、見知らぬ場所での避難生活開始といった問題が被災の初期から発生するため、視覚障害に配慮した速やかな支援が必要となる。そのためには、被災した視覚障害者の、誰がどこにいるのかを把握することが重要である。近年の大災害では、日本盲人福祉委員会(日盲委)が主となり、行政や当事者団体と情報を共有し、専門的な視覚障害者支援(支援)が行われるようになってきた。  しかし、令和6年能登半島地震では、日盲委の支援に対して当事者団体の協力が得られず、市町村からの被災視覚障害者情報が一切開示されなかった。その結果、発災初期において、日盲委は情報不足のために十分な支援を行うことができなかった。筆頭演者は能登半島地震後、日盲委の支援員として現地での支援に参加し、この問題に直面した経験を基に、県眼科医会として、県内の大規模災害に備えた支援対策を開始した。 【方法と結果】  埼玉県福祉部障害者福祉推進課(県福祉課)に働きかけ、県福祉課は、県内各市町村の福祉課に対し、発災時には避難行動要支援者名簿を日盲委に開示することを推奨した。また、県内主要4当事者団体に連携を申し出て、連携が約束された。これにより、4当事者団体は、登録者名簿を発災時に開示する準備を始めた。更に、それぞれの団体の登録者に避難行動要支援者登録を推奨した。2団体からは依頼を受け、団体登録者向けの災害対策勉強会の講師に県眼科医会理事を派遣した。 【結論】  視覚障害者の災害支援は、医療・行政・当事者団体の連携が重要であり、埼玉県では県眼科医会が主導し、3者の連携を図ることが可能となった。今後、さらなる連携の強化と具体的な対策を進めていく必要がある。 PA-29 地域における各種支援者の資質向上を目指す視覚リハ専門職の取り組み ○木村 仁美1)、石川 充英2)、島田 延明3)、醤野 晴代4)、白井 夕子5)、高橋 和哉6)、長岡 雄一7)、藤縄 泰彦8) 1)世田谷区保健センター、2)東京視覚障害者生活支援センター、3)日本点字図書館、4)視覚障害者支援総合センター、5)東京都盲人福祉協会、6)NPO法人グローイングピープルズウィル、7)日本盲人社会福祉施設協議会、8)日本視覚障害者職能開発センター 【経緯】  東京都心身障害者福祉センター(以下、都セン)では2003~2020年支援者懇談会を毎年開催。参加者は行政職員から地域の支援者、視覚リハ専門職、医療関係者まで多様。毎回トレンドなテーマで、講演や懇談などを通じて視覚障害者の理解を深める内容。また、都内の関連情報をまとめた冊子「視覚障害者のための東京生活インフォメーション」(以下、情報集)を参加者に配布。  ところが、世界的感染症拡大の影響で、2021年以降開催できぬまま、事業終了。一方、都センから事業継承の打診を受けた視覚リハ専門職らが都センの支援を前提に実行委員会を立ち上げた。2023年度より事業再開。 【活動状況】 ①2023年度:懇談会開催(1回)   12/20各委員の所属紹介と懇談(テーマ「視覚障害の専門家に聞いてみよう」)    32名参加(申込32名) ②2024年度:懇談会開催(2回)   6/7職能開発センター見学と懇談「視覚障害者としごと」    22事業所24名参加(申込27名)   12/10講義と模擬体験「ロービジョンの方の見え方と見えにくさについて」    19事業所20名参加(申込22名) ③2025年度:懇談会開催(2回予定)   6/6日本点字図書館見学と用具紹介「視覚障害者の生活を便利にする」    24事業所30名申込(5月現在)   12/17開催予定(図書館機能を中心に紹介) ④情報集配布(2025年6月公開) 【課題】 ①周知方法:都センは都内全市区町村に一斉配信可能な連絡網を有す。情報は各市区町村が地域の関連施設(含む民間)に転送する。しかし、その連絡網は門外不出。委員会独立後は登録者(約50名)へのメール発信のみとなる。 ②活動費用:予算の拠所がなく、無料開催は限界。今年度は福祉助成金(日本盲人福祉委員会)を申請。安定的な活動継続には、予算確保の道筋を整えたい。 ③事務局の持続性:委員の活動を本務の一環として所属が認めるには、一定の成果が求められる。認知を得て、視覚障害者に不可欠な活動としての位置づけを目指したい。 PA-30 「ビジョンサポート川崎」の取り組み ○澤村 実希、田村 颯人、石川 麻、田中 功一 川崎市視覚障害者情報文化センター  「ビジョンサポート川崎」とは、川崎市視覚障害者情報文化センター(以下、センター)の訓練スタッフと川崎市内やその周辺の眼科医療者との交流の取り組みである。 【補足】  2018年に、センター近隣にある総合新川橋病院の眼科医がセンターの事業に関心を持ったことからスタッフ間の交流が始まった。2019年には病院内で患者向けイベント(センターの事業説明と用具展示)を開催した。2020年6月からは、メンバー間の勉強会をオンラインで月1回実施している。 【方法】  現在は交流の対象を川崎市内やその周辺の眼科医療者に広げ、情報交換、ケーススタディ、テーマ学習を月1回継続して行っている。2024年からは、コロナ禍以降中止していた患者向けの院内イベントも再開した。  年1回は特別会として、レギュラーメンバー以外の近隣の眼科医療者や介護従事者、リハビリ職にも広く参加を呼びかけ、講師を招いてオンライン研修会を開催している。 【経過】  患者が本人の望むタイミングで眼科医療から福祉へ確実につながるためには、普段から互いの仕事を身近に感じておくことが大切である。それぞれの現場で同じ目標に向かって仕事をする者同士がフラットに交流する機会は、単に知識や情報を増やすだけにとどまらない。「患者さんの笑顔と自信を取り戻す」ための具体的な支援に繋がっており、有効な地域支援の取り組みとして、川崎市に根付きつつある。 【今後の展望】  近年、地域における支援人材の不足は大きな課題である。それにより各種連携も不足し、自ら行動を起こしにくい高齢視覚障害者が福祉的支援に繋がりにくい現状がある。  視覚障害者が地域で安心して生活し続けるための支援は、医療と福祉の連携だけで完結するものではない。地域のキーパーソンを巻き込んでいかに連携の輪を拡げていけるか、さらなる可能性を探っていきたい。 PA-31 当事者と考える対話で深める相互理解ワークショップ ○山岡 千鶴、石田 大輝 兵庫県立大学 看護学部 【目的】  令和6年4月1日より改正障害者差別解消法が施行され、事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化された。合理的配慮の提供にあたっては社会的なバリアを取り除くために必要な対応について、障害のある人と事業者等が対話を重ね、共に解決策を検討していくことが重要であるとされている。しかし、視覚障害者の多くは日常的な支援を受ける場面でスティグマを感じており、当事者、支援者双方の“対話力”を醸成することは急務であるといえる。そこで、私たちのボランティアグループでは、市民向けに対話型ワークショップを実施したので報告する。 【方法】  大学教員、同行援護従業者、視覚特別支援学校教員、当事者で構成されたメンバーで数回打ち合わせを行った。まず、メンバー間で支援者側からは支援するなかで説明が難しい状況、当事者側からは当事者が何に困るのか想像して欲しい状況を共有し、対話が必要な10種類のワークに絞った。これらのワークを当事者が支援者を介さず参加者とマンツーマンで対話ができるよう、カードにワーク内容を記載したものを準備した。参加者にはカードを伏せた状態で選択してもらい、当事者にワークの内容を説明するところからスタートした。 【結果】  参加者の多くは、初めは説明する際に当事者の個々の状況に応じた情報の取捨選択が難しく、全ての情報を説明する傾向にあった。しかし、当事者側がどのように説明してもらえばわかりやすいのか、必要な情報の取捨選択を言語化することにより、相互理解が進むことで、一方向の説明から対話へとコミュニケーションに変化が見られた。 【考察】  本活動を通して、支援者側は当事者の個々人の価値観、背景と見え方に付随する困難さを決めつけないよう関わる力、当事者側は自己理解を踏まえた上でどのような支援を必要としているか言語化できる力を獲得することが“対話力”の醸成に必要であることが示唆された。 15 視覚障害リハビリテーション協会主催プログラム「視覚リハ未来への挑戦Part9」 大会連携委員会 委員長 岡島 喜謙  今回の自分ごとプロジェクトは、参加者の皆さんにじっくり話し合っていただくため、大幅に時間を拡大しました。  テーマは「Beyond the barrier ~語ろう!あなたがぶつかった壁~。前回の視覚リハ大会シンポジウムでは3名のシンポジストから、見えない?見えてる? 壁を取っ払え!!「制度・職種・領域の壁を超える視覚リハ」についてお話しいただきました。  今回はあなたの番です。視覚リハを実践していく上で、あなた自身の前に立ちはだかった(ている)壁は何ですか?その壁を乗り越えるためには何が必要でしょう?この問題について、参加者と悩みを共有し、解決策を考えていきます。  視覚リハ協会には様々な職種や地域の方々が在籍しています。今回は、これらの職種ごと、また地域ごとにグループでディスカッションしていただく時間を多くとっています。多くの方との意見交換によって、あなたの、そして視覚リハに携わる多くの仲間の目の前に、新しい道が開けるかもしれません。  もちろん最後には、未来への挑戦として、その壁を解決するために視覚リハで何がやりたいか?何ができるのか?といった夢を語っていただきます。  ぜひ皆さんと素敵な時間を共有できることを楽しみにしています。 日時:2025年8月29日(金) 13:00~16:30 会場:日本教育会館 7階 中会議室(701・702号室) 定員:80名(視覚リハ協会員限定・事前申込制) 内容:未来への挑戦Part9 自分ごとプロジェクト    「Beyond the barrier ~語ろう!あなたがぶつかった壁~ 16 機器展示 ・日時  2025年8月30日(土) 10:20~16:30      8月31日(日) 9:00~15:00 の2日間 ※8月29日(金)は、機器展示会はありません。 ※機器展示会場への入室は、大会参加以外の方も可能です。(無料) ・会場  日本教育会館(東京都千代田区一ツ橋 2-6-2) 701、702、703 会議室 ・出展業者(全27社、50音順) 1.アイネット株式会社 よみあげ拡大読書器「よみあげ名人」 198,000円(税込) 読み取り器にセットした原稿を本体の画面に拡大表示し、文書を音声で読み上げます。 表示倍率は12段階、読み上げ速度は10段階、簡単なキー操作で変更ができます。 本体は画面15.6インチのワイド液晶モニタ、読み取り器は最大A4サイズの用紙がセットできます。 日常生活用具として給付実績があります。 展示内容:よみあげ拡大読書器「よみあげ名人」 住所:埼玉県ふじみ野市霞ケ丘1-2-12-1605 代表電話:049-256-6870 URL:https://www.ainet-jp.net/ 2.株式会社アクセスムーブコンフォート 展示内容:ナビレンスコード 住所:大阪市北区松ヶ枝町6番3号 代表電話:06-6353-4523 URL: http://amcomfort.jp 3.株式会社朝倉メガネ 大学病院眼科を始めとする数多くの病院・眼科指定店として、責任あるメガネの作製に従事しています。 また、四谷本店6階にショールームを設置し、ロービジョンケアの取り組みを多角的に行っています。 展示品:ルーペ/単眼鏡/弱視眼鏡/遮光眼鏡/拡大読書器/視野拡大ルーペ 完全予約制 マンツーマンで使用方法のご案内を行っております。 展示内容:遮光眼鏡、拡大鏡、単眼鏡、弱視眼鏡 住所:東京都新宿区四谷1-8 代表電話:03-3357-2251 URL:http://www.asakuramegane.com/ 4.株式会社Ashirase 株式会社Ashiraseは、視覚障がい者向け歩行ナビゲーションシステム『あしらせ』を開発・販売するスタートアップ企業です。 『あしらせ』は、靴に取り付ける機器とスマートフォン向け専用アプリが連携し、目的地までのナビゲーション情報を靴の中の振動を用いてお伝えします。 聴覚や手を邪魔することなく、日々のちょっとした外出やおでかけをよりスムーズにできるよう、単独歩行をサポートします。 展示内容:あしらせ2 住所:東京都港区虎ノ門二丁目2番1号 住友不動産虎ノ門タワー5F グロース虎ノ門Room3 代表電話:03-6824-2058 URL:https://www.ashirase.com/ 5.有限会社エクストラ エクストラは視覚障害者向け支援機器及びソフトウェアの開発・ローカライズ・販売を行っています。特に視覚障害者の情報支援に関する製品に力を注ぎ、視覚障害者や視覚聴覚の重複障害者の生活をより便利にし、自立支援や就労支援に貢献できる製品を提供し続けています。携帯型マルチプレーヤーのセンスプレーヤー、高機能点字情報端末ブレイルセンスシックスミニ、メガネ型視覚支援端末エンビジョングラスなどをご紹介します。 代表電話:054-368-6886 住所:静岡県静岡市清水区草薙1丁目19-11 展示内容:センスプレーヤー、ブレイルセンスシックスミニ、エンビジョングラス、オーカムリード URL:https://www.extra.co.jp/ 6.株式会社エッシェンバッハ光学ジャパン 私たちは、ドイツの光学機器メーカーです。長年、世界中のご高齢・ロービジョンの方々にルーペをはじめ拡大読書器や単眼鏡・弱視眼鏡等の補助具全般をご愛用いただいています。私たちは、ただ「見える」だけではなく、使用する方の「使いやすさ」「快適さ」を大切にした製品を開発しています。 iPhoneと接続するoptaroを展示します。 展示内容:拡大鏡、読書器 住所:東京都千代田区神田司町2-15-4 代表電話:03-3293-8570 URL:https://www.eschenbach-optik.co.jp/main/ 7.Essence research株式会社 【低光刺激ディスプレイNatural Light Display】 まぶしさや強い眼精疲労に悩む方向けのバックライトを使用しないPC用ディスプレイです。網膜色素変性症や加齢黄斑変性など、光で症状が悪化する方にもお勧めです。 【低光刺激照明・フルカラー調色照明】 眼球使用困難症などの強い光過敏の方向けの低光刺激照明、およびアーレン症候群のような色覚障害の方向けのフルカラー色調照明の展示も予定しています。 展示内容:低光刺激ディスプレイNatural Light Display、低光刺激照明機器 住所:東京都千代田区神田駿河台1-8-2 駿河台アライビル4F 代表電話:03-5801-6789 URL:https://naturallight-display.com/ 8.Emergency吉田 Emergency吉田は、視覚障害当事者による独創的な緊急用品/特許取得(Emergency kit類)の開発と普及、そして災害時の当事者支援に努めています。 世界初の balloon式白杖(エアケーン)をはじめ、赤色SOSラベル付きのサインバトン等、全ての製品が、見て、触れて納得の障害当事者ならではの開発品揃いです。 展示内容:エアケーン、SOSサインバトン、緊急用オレンジバトン、緊急用給水バッグ等 住所:千葉県匝瑳市川辺1687-3 代表電話:0479-67-3433 URL:https://www.youtube.com/live/VCR1PSsHySc 9.株式会社キザキ ポールメーカーが作る白杖(KIZAKI CANE) 子ども達と開発した特殊なグリップで、新しい握りを提案します。 ①手首に負担をかけない曲がったグリップ 手首に負担がかからないようグリップを曲げています ②全ての白杖でサイズ調整可能! 長さが変更が出来るので、好みのサイズに調整することができます。 ③安全機能付きストラップ 強い力が加わるとロックが自然に外れるストラップを採用 展示内容:キザキケーン(直杖、折畳、身体支持杖) 住所:長野県小諸市大字加増字上の平561番地2 代表電話:0267-22-1354 URL:https://kizaki.art-nko.com/ 10.錦城護謨株式会社 視覚障害者の歩行サポート製品(屋内用)を展示いたします。 建物の床面に設置する、合成ゴム製の視覚障害者用歩行誘導マット「歩導くんガイドウェイ」、トイレ入口からトイレブースまでの誘導に特化した、ゴム製の視覚障害者用トイレ誘導ライン「ガイドレット」、仮設の誘導として、必要な場所に必要な時だけテープのように簡単に貼り、自主的な移動をサポートする視覚障害者歩行テープ「ココテープ」、の3点です。 展示内容:視覚障害者歩行誘導マット「歩導くん ガイドウェイ」、 視覚障害者用トイレ誘導ライン「ガイドレット」、視覚障害者歩行テープ「ココテープ」 住所:大阪府八尾市跡部北の町1丁目4番25号 代表電話:072-992-2328 URL:https://www.kinjogomu.jp/welfare/ 11.コアジャパン株式会社 iPhone用アイガイドフィルム スマホ画面の傷を守るのはもちろん、指のタッチ感で画面内のどこを触れば良いかわかります! 基本操作を邪魔せずにわかりやすい目印で文字入力がスムーズになります。 展示内容:iPhone用アイガイドフィルム 住所:東京都墨田区立川3-6-12-503 代表電話:03-4330-0798 URL:https://core-japan.co.jp/ 12.株式会社高知システム開発 PC-TalkerNeoは、Windows11を音声化し、Microsoft Officeを個人用、業務問わずご利用できます。PC-TalkerNeo Plusには、chromiumエンジンを搭載した、ブラウザソフトNetReaderNeoが付属しています。YouTubeアドインもご利用可能でWebページの楽しみが広がります。Edge、Firefox、Chrome各ブラウザに対応しています。 展示内容:PC-Talker Neo Plus 住所:高知県高知市吉田町2-23 代表電話:088-873-6500 URL:https://www.aok-net.co.jp/ 13.株式会社KOSUGE 黒木瞳のあさナビに、昨年末出演しまして当社製品を紹介しました。HPに掲載。 白杖を握る人の負担を軽くし、ガタ付きを抑制し、衝撃に強く、折り畳み部でのチクチクを無くした白杖です。 展示内容:白杖 MyCane II 携帯用、直杖 視覚障害者用読書器 エンジェルビジョングラスリーダー 住所:東京都板橋区氷川町11-11 代表電話:03-5413-7828 URL:https://www.my-cane.com/ 14.株式会社システムギアビジョン システムギアビジョンでは新製品の拡大読書器をはじめ、AI音声読書器「エンジェルビジョンデスクトップリーダー」の最新バージョン、オーカム、電子ルーペを出展します。また、新製品のタッチ式ボイスレコーダー「タッチスピーク」や、音声コンパス、音声色彩判別機などの便利な音声製品も出展します。最新の視覚支援機器をぜひブースでお試し下さい。経験豊富な説明員が皆様の機器選びをサポートいたします。 展示内容:拡大読書器 音声読書器 タッチ式ボイスレコーダーその他音声製品 ルーペ 住所:兵庫県宝塚市高司1-6-11 代表電話:0797-74-2206 URL:https://www.sgv.co.jp 15. 篠原電機株式会社 歩行者信号機は高齢者や視覚障害者の方、小さな子どもにとって渡った側の高い位置に設置されており探し難く、太陽の光などで見にくいため横断歩道の手前に高さ1.2M、直径165㎝のゴム製のポールに音声スピーカー(1Mの高さ)、信号灯を示す赤・青のLED灯、頭部が青信号に振動する装置です。設置前、設置後の交通事故発生率は52.3%減少(大阪府警本部調べ)しています。 展示内容:高齢者・視覚障害者・盲ろう者用LED付音響装置 住所:大阪市北区松ヶ枝町6番3号 代表電話:06-6358-2657 URL:http://www.shinohara-elec.co.jp 16.ダイハツ工業株式会社 カメラと画像認識技術を活用した肩掛け式の歩行安全支援機器です。 白杖を使って一人で歩く視覚障がい者の方が、より安心安全に歩くことができるよう、点字ブロックや特定の対象物が正面にあるときに、音声でお知らせします。 展示内容:白杖歩行安全支援機器 スマートウォーク(試作開発中) 住所:大阪府池田市桃園2丁目1番1号 代表電話:072-754-4939 URL:https://www.daihatsu.co.jp/top.htm 17.東海光学株式会社 まぶしさを感じるすべての方へお薦めの遮光眼鏡を展示しております。 眼鏡の上から掛けられる『ビューナルシリーズ』 サイドを大きくカバーしている遮光フレーム『ルミレス』 サイドカバー付クリップオン『シークリップ』 夜間のまぶしさ緩和レンズ『ナイトビュー』を是非、ブースにて体験してください。 スタッフ一同お待ちしております。 展示内容:遮光眼鏡、ビューナル、ルミレス、シークリップ、ナイトビュー 住所:東京都千代田区神田須田町2-8-2 Daiwa神田須田町ビル7階 代表電話:03-3255-4701 URL:https://www.tokaiopt.co.jp/ 18.株式会社トラストメディカル 株式会社トラストメディカルは据置型拡大読書器、携帯型拡大読書器を取り扱っております。様々なニーズにお応えできる製品を取り揃えておりますので、ぜひブースにお立ち寄りください。 展示内容:トパーズXLHD22インチ、オニキスデスクセットHD22インチ、ルビー10スピーチ、コンパクト8、ルビーHD7インチ、ルビーHD5インチ 住所:宮城県仙台市泉区長命ヶ丘3-28-1 代表電話:022-342-6801 URL:https://www.trust-medical.co.jp/ 19.株式会社日本テレソフト 当社は、点字プリンター・拡大読書器・点字ディスプレイ・点字器を製造販売しています。展示会では、発売前の点字ディスプレイ「清華ミニプラス」をお持ちします。androidを点字ディスプレイに組み込み、SIMカードを使用する事で電話やインターネットが楽しめます。この他にも拡大読書器や点字器バーサスレートをお持ちしますので、当社ブースまでお越しください。 展示内容:拡大読書器 点字ディスプレイ 点字器 住所:東京都杉並区桃井2-1-3 葉ビル3F 代表電話:03-6913-5641 URL:https://www.nippontelesoft.com/event.html 20.社会福祉法人日本点字図書館 日本点字図書館わくわく用具ショップでは、補装具、日常生活用具、音響機器、便利グッズ、おもちゃなど、約900点におよぶ多彩な商品を取りそろえた、日本最大級の視覚障害者用具専門店です。 視覚に不便を感じる方々の毎日をより快適に、楽しくするための商品を多数ご用意しています。オリジナルの財布、雨音を軽減する傘、キッチングッズ、長年愛されている凸点シールなど、ユニークで実用的なアイテムも充実しています。ぜひ一度、手に取ってお試しください。 展示内容:しょうゆさし、ユニバーサル二つ折り財布、お薬手帳ケース、白杖、 ロービジョングッズ等 住所:東京都新宿区高田馬場1-23-4 代表電話:03-3209-0241 URL:https://yougu.nittento.or.jp/ 21.公益財団法人日本盲導犬協会 日本盲導犬協会では目の見えない人・見えにくい人が、行きたい時に行きたい場所へ行くことができるよう、安全で快適な盲導犬との歩行を提供することを使命とし、盲導犬を無償貸与しています。 また、視覚障害リハビリテーションにかかわる個別相談や白杖での歩行訓練、ICT機器訓練、日常生活訓練なども無償で行っています。 今回、盲導犬歩行の体験会を行いますので、ぜひお気軽にご参加ください。 展示内容:盲導犬体験歩行 住所:神奈川県横浜市港北区新吉田町6001-9 代表電話:045-590-1595 URL:http://www.moudouken.net 22.日本弱視者ネットワーク 当会は、身体障害者手帳の有無に関わらず、日常生活・仕事・学業などで不便を感じる見え方を抱える人が集まっており、主に弱視者の関心事について活動をしています。 今回は、弱視者の代表的な複数の見え方をスマホのカメラ機能を通して体験できる「見え方紹介アプリ」、自分の見え方や見え方に由来する困り事を理解するための「私の見え方紹介カード」等を展示します。 テーマ毎の交流や、中途視覚障害者を対象とした交流など、活動紹介もいたしますので、ぜひ、お立ち寄りください。 展示内容:見え方紹介アプリ、私の見え方紹介カード、弱視者生活いろはにほへと(本)、弱視者ネットつうしん(会報誌)、会の紹介リーフレット 住所:東京都国分寺市泉町2-6-2-209 代表電話:050-3631-5095 URL:https://jakushisha.net 23.株式会社フォラケア・ジャパン 弊社は血糖測定器などを取り扱う医療機器メーカーです。今回は、Bluetooth接続した専用アプリから「測定結果を音声で読み上げる」パルスオキシメーターと体温計を展示いたします。測定器は展示会限定特価で販売いたします。今後、取り扱う医療機器のラインナップも拡充する予定です。実際にご体感いただきご意見をお聞かせください。ご来訪をお待ちしております。 展示内容:パルスオキシメーターならびに専用アプリ、体温計ならびに専用アプリ 住所:東京都港区新橋5-10-8 FORAビル3階 代表電話:03-6452-8642 URL:https://www.foracare.co.jp/ 24.松ノ助 磁石を使ったアイデアで、白杖が「ピタッ」とくっつく新しいウエストポーチ、「ツエストポーチ」が誕生しました。 シンプルなウエストポーチですが、視覚に障がいがある方に便利な工夫が満載です。立っているときも、座っているときも、白杖をしっかり固定できるので両手が自由になります。 スマホの操作や買い物、手洗いの時にとっても便利です。使いやすさを、ぜひ体感してください! 展示内容:ツエストポーチ 住所:東京都杉並区高井戸東4-13-30 代表電話:090-2658-2646 URL:https://matsunosuke.base.shop 25.株式会社よむべえ よむべえシリーズは、Google の生成 AI機能を活用した音声・拡大読書器です。 手書き、通帳、新聞、食品パッケージ、細かな文字の薬の説明書等、これまで難しかったものが読めるほか、画像中心の印刷物を説明したり、理解しづらいレイアウトの印刷物を分かりやすく読み上げることができます。 文字起こし機能やAI に対する命令機能も搭載。 拡大モデルでは、画像そのものを拡大し、拡大表示と音声読み上げを融合しています。 展示内容:快速よむべえ一体モデル・拡大モデル 住所:東京都台東区浅草橋1-35-7-501 代表電話:050-1791-2070 URL:https://www.yomube.co.jp 26.株式会社ラビット ラビットのブースでは、視覚障害者向けに開発されたiPhone用の携帯型キーボード3機種と、iPadやPCと接続して利用する点図ディスプレイをご紹介します。キーボードを使ったiPhoneの講習会や出前体験も承ります。 展示内容:①iPhone支援機器テンキーボード「Rivo2」、②iPhone支援機器テンキーボード「Rivo3」、③iPhone支援機器点字キーボード「Hable One」、④点図ディスプレイ「Dot Pad」 住所:東京都新宿区高田馬場1-29-7 スカイパレスビル401 代表電話:03-5292-5644 URL:https://rabbit-tokyo.co.jp 27.株式会社リモートアシスト エルビーフォンは、視覚障がい者向けに最適化されたAndroid端末です。画面読み上げ機能(TalkBack)の調整、拡大表示、色反転など、ユーザーの視力に合わせたカスタマイズが可能です。購入時にヒアリングを行い、利用者に最適な設定やアプリをインストール。さらに、遠隔援護サービスを追加でき、ウェアラブルカメラを通じてサポートを受けられます。スマートフォンの操作に不安がある方でも安心して利用できる設計が特徴です。 展示内容:遠隔援護サービス リモートアシスト  障害者専用スマホ エルビーフォン 高齢者専用スマホ エルダーフォン 生成AIを活用したスマホプロトタイプ 住所:大阪府茨木市彩都やまぶき2-2-C1207 代表電話:090-1070-8266 URL:https://remote-assist.jp/customer/ 17 論文募集要項 「視覚リハビリテーション研究」論文募集要綱 視覚障害リハビリテーション協会では、2010年度の第1回理事会で議題3として研究紀要の復刊が承認されたことを受け、編集委員会を設置しました。編集委員会では、研究紀要の復刊に伴い、これまで通り大会発表論文とともに新たに原著論文を募集すること、そして年2回発行することなど、これまでの大会論文集を一新し、新たに「視覚リハビリテーション研究」を発行することとしました。それに伴い、新しく募集する原著論文に関する執筆の手引きの案を作り、その執筆の手引きは同12月21日の第9回理事会で認められました。 原著論文とは、英語ではオリジナル・ペーパーとかオリジナル・アーティクルとか呼ばれます。内容は研究について記載した論文ですが、研究内容が他の雑誌などに出版されていないオリジナルなものとして認められるものです。また、通常、仮説に基づいて実証的な研究を行い、結果として得られた根拠に基づいて考察している形式であることも求められます。オリジナル・ペーパーとして掲載するのに妥当かどうかは、通常、専門を同じくする複数の人が匿名で査読(ピアレビュー)ということをして決めます。 査読は掲載の可否を決めるプロセスですが、同時に、投稿されてきた原著論文に注文をつけて、より良い論文として掲載できるよう修正を手伝うという側面を持っています。論文の著者と意見が一致しないとか気に入らないというのは査読者にとっては掲載を拒否する理由になりません。専門を同じくする人が、掲載に値するものかどうか、値するようにするにはどういう修正をすべきか意見を述べることで、交換されようとしている専門知識の内容(原著論文の中身)をより高めていくプロセスが査読です。この専門家の査読のプロセスを得て刊行される原著論文だからこそ、一定の信頼と価値が生まれるとも言えます。 研究発表大会で発表した内容についても、これまで通りの査読のない発表論文としてか、あるいは査読のある原著論文としてか、どちらか選んで投稿いただくことができます。査読が終わって採択されたものから、もっとも刊行の近い号に順次掲載していきます。(以前の大会論文集に既に掲載されたり、「視覚リハビリテーション研究」に発表論文として刊行されたりしたものは、同じ内容の再掲になるためいずれの論文としても掲載できません)。 2012年度の第6回理事会では、発表論文と原著論文の他に掲載するカテゴリとして、特定のテーマについて解説・レビューする「総説」と、原著ではないが掲載にふさわしい有用な内容をまとめた「報告」というカテゴリの2つを新設することが認められました。この2つのカテゴリについては上述したような厳密な意味での査読は行われませんが、掲載にふさわしいかどうかについては編集委員会で評価をし、修正をお願いすることがあります。また、原著論文の査読結果、不採択となった場合、「報告」に切り替えて掲載できる可能性もあります。 2015年の編集委員会にて、これらの4つのカテゴリについては一部不文律であったページ数の制約を明記することが決まりました。また、これまで書式の統一性が低かった発表論文や報告について対策を講じる検討がなされ、刊行から5年を経過していることに鑑み、「視覚リハビリテーション研究」における形式を原著論文の形式に一本化することが決まりました。総説・発表論文・報告の執筆についても、原著論文の書式に従ってください。 原著論文等執筆要綱 (2010年12月21日第9回理事会承認、2016年2月1日、2020年8月11日、2021年3月4日編集委員会にて微修正) 1. 原稿の仕様 1.1. 原稿は電子データを以下の1.2.に述べる書類と共に提出する。要約や図表を本文に配置した完成形(以下、レイアウト原稿とする)での提出を原則とする。 1.2. 原稿の構成は原則として次の通りとする。(すべて電子ファイルで提出ください) 1) 連絡票 2) レイアウト原稿(「視覚リハビリテーション研究」のレイアウトに従ってレイアウトをしたもの。Wordファイルの例については以下のJJVRのWebページからダウンロードして用いてください。https://www.jarvi.org/journal_rule/) 3) 写真・図表説明原稿(通常の図表の説明以外に、視覚的な表現では分からない読者のためにテキストだけで説明した内容を別途用意してください。別ファイルでなくても、本文の最後に追加した形で構いません。) 4) 著作権譲渡同意書(著者全員が同意の上、その全員の名前の記載があるもの。提出によって、著者全員から、提出した著者が許諾を得たものとみなします。書式のWordファイルを以下のJJVRのWebページからダウンロードして用いてください:https://www.jarvi.org/journal_rule/) 2. 原稿の提出 2.1. 連絡票、レイアウト原稿、写真・図表説明原稿と著作権譲渡同意書を電子メールで編集委員会へ投稿する。編集委員会のメールアドレスは jjvr@ml.odalab.org である。 2.2. 電子媒体やレイアウト原稿の提出が難しい場合は、編集委員会まで電子メールあるいは郵便にてあらかじめ相談し、提出方法について検討する。 2.3. 提出期限 すべての原稿は、査読や編集委員会での判断・修正作業が終わり次第、近い号に掲載するため、とくに期限を定めない。発表論文については、1号については9月末ごろ、2号については12月末頃におおまかな締め切りを設けているが、掲載論文の数などによって変動する。 3. 著者校正 査読終了後、印刷前に1回著者校正を行う。査読終了後の大幅な内容の訂正は認めない。 4. レイアウト原稿 レイアウト原稿には、タイトル(和文論文題名)、英文論文題名、著者名、著者所属、著者名英語表記、所属英語表記、和文要約、キーワード、英文要約、英語キーワード、本文、文献、図表及び写真が含まれる。ただし、原著論文以外のカテゴリについては、英文論文題名、著者名英語表記、所属英語表記、英文要約と英語キーワードがなくても良い。 レイアウト原稿のフォーマットをJJVRウェブサイトからダウンロードして使用する。(https://www.jarvi.org/journal_rule/)掲載する論文カテゴリごとの長さは、レイアウト後の枚数で以下の通りとする。 ・原著論文・総説 最小6ページ~最大10ページ ・発表論文・報告 最小2ページ~最大6ページ 4.1. 連絡票 連絡票には、下記の1) から9) までの事項を記載する。 1) 論文の種類:原著論文と明記する。 2) 表題:論文内容に即したものとし、一連の研究の場合は類似した表題は避ける。 例:「△△△△におよぼす××××の効果」 3) 著者名:著者が複数の場合は [・] で区切る。 例:視覚太郎・山田里葉子 4) 所属機関名:大学の場合は、学部名等も記す。 例:点字大学教育学部、白杖リハビリテーション医院 5) 表題の英訳: 例:The effects of ×××× for △△△△ 6) 著者名のローマ字表記:原則としてヘボン式を用いる。 例:Taro SHIKAKU and Rihako YAMADA 7) 所属機関名の英訳: 例:Faculty of Education, University of Tenji, Hakujyo Rehabilitation Hospital 8) 所属機関所在地のローマ字表記:市名、郵便番号(7桁)のみとする。 例:Yamahana-shi, 000-0000 9) 発表論文の場合には発表した研究発表大会の年度と発表番号と発表タイトル: 例:2019年度、O-1-3、ICTを利用した視覚リハビリテーションの1事例 4.2. 要約とキーワード 和文については300字以上400字以内の要約と3~5項目のキーワードをつける。それぞれのキーワードの間は半角スペースで区切る。 英文要約をつける場合(原著論文では必須)、ネイティブチェックを受けた200語以上300語以内の英文要約、3~5項目の英語のKeywordsをつける。 和文と英文の要約は内容的に一致している必要がある。ただし一語一句一致している必要はない。 4.3. 本文 本文は、「目的」「方法」「結果」「考察」の4章、あるいは事例・症例について報告する論文の場合には「目的」「症例」「結果」「考察」の4章に分け、章ごとに内容を分けて記載する。ただし、総説については、これに従う必要はなく、記載する内容に合わせて適切に章立てを行うこと。 4.3.1. 論文構成に用いる記号 論文構成に用いる記号は半角数字を半角ピリオドでつないだものを用い(例:1. はじめに、2.1. 実験参加者、3.2. 主観的評価の結果)、見出しの数字で階層が分かるようにする。階層が深くなりすぎないよう、論文構成に配慮する。 1) 大見出し:算用数字1字を用い、上を1行あける。数字の後ろにピリオドをつけ、全角1マス空けて見出しを書く(例:1. はじめに)。本文は改行して始める。 2) 中見出し:算用数字2字をピリオドでつないだものを用い、上の行はあけない。左端から1字あけて書く。全角1マス空けて見出しを書く(例:2.3. 手続き)。本文は改行して始める。 3) 小見出し:算用数字3字をピリオドでつないだものを用い、上の行はあけない。左端から2字あけて書く。全角1マス空けて見出しを書く(例:4.1.2. 先行刺激の効果が無かった原因の検討)、コロン (:) で区切って本文を書き始める。 4) これ以下の小見出しについては、必要な数の算用数字をピリオドでつないで用いる。表記法は小見出しに準じる。 5) リストの表記:算用数字に閉じ括弧 ) をつけたものを用いる。 4.3.2. 表記について 1) 文体:原則として「である」調とする。 2) 句読点:「、」「。」とする。 3) 年号:原則として西暦使用とする。(例:「2004年」) 4) 記号:以下の記号をその使用例のように用いることができる。 ・中点 (・) 並列する同種の語を列挙する場合。 ・ハイフン (・ 外国語の対語・対句の連結の場合。・ ・引用符 (" "または「 」) 引用文に用いる。 ・括弧 ( ) または [ ] を用いる。 ・コロン (:) 例、説明などを導く場合などに用いる。 ・セミコロン (;) 引用文献を列挙する場合、あるいは検定結果を列挙する場合に用いる。 ・省略符 (・・・) 引用文の一部あるいは前後を省略する場合に用いる。 5) カタカナ:本文中の外国語の使用はできるだけ避け、原則として日本語化した外国語を記述する時にのみ用いる。 6) 英数記号:原則として半角英数記号を用いる。 7) 略語:一般に用いられているものに限る。ただし、必要な場合には、初出の時にその旨を明記する。 8) 検定結果の表記:各種統計的検定の結果を示すときには、以下のように検定統計量、自由度ならびに有意水準等を明記する。 (F(1, 50) = 7.05,p< .05)、(χ2(5) = 1.54,p< .05)など F, t, pなどは斜体(イタリック)とすること 4.4. 文献 4.4.1. 引用文献:本文において引用されたすべての文献を、著者名のアルファベット順に論文の後に「文献」として一括リストにして記載する。同一著者の複数の文献は発行年順とする。同一著者による同一年の文献が含まれる場合は、発行年の後に小文字のアルファベットを付けて区別する。また、引用文献においては、題目・雑誌名・巻号の区切り文字の「.」「,」は半角に統一する。 4.4.2. 文献リストの書式 1) 雑誌: 著者名 (西暦年) 題目. 雑誌名, 巻数 (必要な場合は号数) , 開始頁-終了頁. 2) 著書: 著者名 (西暦年) 書名. 出版社, 出版地, 開始頁-終了頁 (必要な場合) . 3) 分担執筆: 著者名 (西暦年) 章題. 編者名 (編) , 書名. 出版社, 出版地, 開始頁-終了頁. 4) 訳書: 原著者名 (西暦年) 原書名. 出版社, 出版地, 訳者名 (西暦年) 書名. 出版社,開始頁-終了頁 (必要な場合) . 欧文の書名 (原書名) および雑誌名は斜体(イタリック)とする。和文著書の場合、出版地は省略する。 5) Webページ: 著者名 (西暦年) 題目. Webサイト名, URL, (アクセス年月日) . 例:1) 雑誌 (和) 同一著者・年はa、bで区別。 鈴木太郎・田中花子 (2010a) 視覚障害幼児への早期リハビリテーションに関する調査研究. 早期研究, 2, 12‐17. 鈴木太郎・田中花子 (2010b) 視覚障害幼児への早期リハビリテーションの一事例. 実践早期研究, 3, 47-51. 2) 雑誌 (欧) :著者3名以上では&の前に (,) を必ず入れる。雑誌名は斜体。 Leg, E. G., Bail, A., & Pel, E.(2007)Effects of early intervention for blind children. International Journal of Videology, 48, 611-618. 3) 著書 (和):田中花子(1995)視覚障害の基礎.拡大社. 4) 著書 (欧):書名は斜体。 Kooman, A. (1997) Visual field. The Sample Press, Amsterdam. 5) 分担執筆 (和) 田中花子 (1988) 視覚障害者のリハビリテーション.鈴木太郎(編),障害者リハビリテーション.山花出版,9‐41. 6) 分担執筆 (欧):編者1名:(Ed.) 、編者複数:(Eds.) 、編者3名以上は&の前に(,)を挿入。書名は斜体。 Keller, A., Miller, B., Dodd, C., & Brian, A. (2001) Vision care. In W. M. Taylor & D. Reynolds (Eds.), The world of vision rehabilitation. Tsunami Press, London, 35‐72. 7) 訳書:原書名は斜体。 Barry, F. & Allen, G. (1999) Rehabilitation and education for low vision. Long Cane Press, New York. 鈴木太郎・山田次郎監訳 (2009) ロービジョンのリハビリテーションと教育.白杖学術出版社,39‐74. 8) Webページ 田中花子 (2015) 視覚障害幼児への早期リハビリテーションの新しい提案. 幼児教育フォーラム, http://www.earlyintervention.org/tanaka/2015/article.html, (2015/12/29) . 4.4.3. 本文中の引用の仕方 著者名の省略は避け、全員の名前を明記する。ただし,著者が3名以上である場合は「 (筆頭著者名) ら」 (欧文の場合は「 (筆頭著者名) et al.」)と記す。著者名の連記は以下の例に従うこととする。 1) 文中の場合 例:鈴木・田中 (1995) および山田 (1987) は・・・ 。佐藤ら (1990) が・・・。 Ryan and Nelson (1984) は・・・。 (&記号は用いない) ・・・Cameron et al. (1991) によると・・・。 2) 文末などの( )内の場合 例:・・・と指摘されている (鈴木・田中,1981;山田, 1980) 。 ・・・と指摘されている (Ryan and Nelson, 1984; ・・・) 。 引用文献が複数の場合はセミコロン (;) で連ねる。カッコ内の引用順は、論文末にあげる文献リストの順に準ずる。 4.5. 図表及び写真 4.5.1. 図表は本文中の適切な位置に割り付け、引用順に図1、表1のようにする。写真も図に含める。それぞれに簡潔で適切な見出しをつける(例:図1 訓練前後での歩行速度の比較)。掲載する図や表について、必ず本文中でその内容についての触れ、十分な説明をすること。 4.5.2. 写真を掲載する場合には、内容が理解できる程度の解像度を確保するとともに、過度に高い解像度のためにファイル容量が増大することの無いよう留意すること。また個人情報保護に特に注意をはらうこと。 4.5.3. 図表、写真にカラーの原稿を用いても構わないが、仕上がりはモノクロとなるので、モノクロでも鮮明な画像となるよう留意すること。 4.6. 註釈 注釈が必要である場合は、本文中にその箇所を明示したうえで、1), 2)のように上付きで通し番号をつけて註を付す。また、本文、あるいは謝辞がある場合には謝辞と引用文献リストの間に、すべての註を1)、2) のように番号順に記載する。 本文例: (前略)ABC共和国における眼鏡の価格はおよそ500円で平均年収のおよそ10%に相当する1)。(後略) 注欄例: 註 1) 2005年当時の為替レートで計算した。なお、本稿掲載時には調査時、執筆時とは状況が大きく異なっている可能性がある。 2)(後略) 5. 写真・図表説明原稿 本誌を点字版やデータ版で読んでいる会員が、図や写真を理解しやすいよう、説明原稿を用意する。図と写真は文章化し、表はテキストデータを提出する。図表の作成に使用した基本ソフトとアプリケーションソフトを明記する。 6. 研究倫理の遵守 投稿者は所属機関等の倫理規定に従い、投稿する論文の内容について充分に人権及び研究倫理上の配慮をしなければならない。また、研究実施の際に配慮した研究倫理に係る事項があれば、論文中に記載すること。なお、二重投稿や著作権・肖像権の侵害などの倫理的問題を避けること。倫理上の問題のある論文は掲載できない。 7. 著作権譲渡同意書 論文を投稿する場合には、著者全員の名前が記された著作権譲渡同意書を1部、他の原稿とともに電子的に提出すること。JJVRのWebページ(https://www.jarvi.org/journal_rule/)からダウンロードした著作権譲渡の書式を用いること。(提出によって、著者全員から、提出した著者が許諾を得たものとみなしますので、提出者は必ず著者全員から同意を得ておいてください。) この譲渡によって、視覚障害リハビリテーション協会は、「視覚リハビリテーション研究」に刊行された原著論文やその電子的形態による利用を含めた包括的な著作権を有する。しかし、これは著者自身が自著の原著論文を複製,翻訳,翻案等の形で利用することを禁止するものではない。ただし、その全部あるいは大部分を他の著作物に利用する場合には,その旨を協会(事務局)に申し出るとともに,出典を明記すること。また一部分を利用する場合にも,文献あるいは図説の下に出典を明記すること。このことは、原著論文にのみ適用される。 8. 投稿の資格 投稿時に筆頭著者が視覚障害リハビリテーション協会の会員であり、年度会費を納入済みであること。 18 第34回大会案内 第34回視覚障害リハビリテーション研究発表大会開催については、今大会の閉会式で発表いたします。 第33回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 抄録集 発行日:2025年8月 編集・発行:第33回視覚障害リハビリテーション研究発表大会実行委員会